風のたより

電子計算機とは一極集中の現象が大であるが、その合間を縫って風の一頁を

一任  お任せします

2021-02-15 16:30:51 | 世評
報道機関の報道によると、12日に公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の評議員と委員(理事)の合同の臨時懇談会が開催され森喜朗会長が辞任したと

後任の人選は有力だった評議員会議長の川渕三郎が会長を辞退したと。会長の人選は透明性を持ってと。成程もっともな意見である

臨時懇談会では懇談会であるためか議事録は公表されていない。従って報道による推察になる。何故森喜朗は会長を辞任したか。そして何を反省して、今後何を改めてゆくかである。それらのことが懇談会で話し合われたと思われるが、分からない

オリンピック憲章とは、オリンピズムの根本原則6によると、このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。と

森喜朗はこの女性蔑視により、オリンピック憲章を逸脱したと。世の男と女は半々であるな。女から大多数である女から批判、罵倒され、協賛企業からは性差別であると反対されて辞任に追い込まれた。辞任して次だな。次の頭は誰か、誰にするかであろうな

下馬評では川渕三郎の名があがったが、汚名を着せられた前任者が選出して良いかと批判されて消えた。川渕三郎は、懇談会の前日11日に組織委員会の武藤敏郎事務局長から「2,3回電話がかかってきて、遅くまで話したと」その際に白紙に戻る可能性を感じ取ったと。ある筋からの賛意を得られなかったのだろうな。12日の臨時懇談会では、後任を選定する選考検討委員会を発足して、その委員の人選を司る委員長には名誉会長の御手洗富士夫に一任すると

組織委員会の定款によると、評議員会は評議員をもって構成し、理事、監事の選任及び解任をすると。そして理事会で会長、副会長、専務理事及び常務理事の選定及び解職をすると。即ち評議員が理事を選出して、理事が会長等を互選すると

2020年6月29日現在での評議員は、川淵三郎(公益財団法人日本サッカー協会相談役)、 遠山敦子(公益財団法人トヨタ財団顧問・元文部科学大臣)、出資元である公益財団法人日本オリンピック委員会名誉委員(JOC)から木村興治と福田富昭、同じく出資元である東京都副知事から梶原洋と武市敬の合計6名

2020年10月30日現在の役員等は、名誉会長は御手洗富士夫(キヤノン株式会社代表取締役会長兼社長CEO)、会長は森喜朗(公益財団法人日本スポーツ協会最高顧問)、副会長は
遠藤利明(衆議院議員・公益財団法人日本スポーツ協会副会長)、津賀一宏(パナソニック株式会社代表取締役社長)、河野一郎(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構顧問)、山下泰裕(公益財団法人日本オリンピック委員会会長)、山脇康(公益財団法人日本障がい者スポーツ協会理事)、多羅尾光睦(東京都副知事)の6人。専務理事(事務総長)は武藤敏郎(株式会社大和総研名誉理事)。常務理事(副事務総長)に布村幸彦(元文部科学省スポーツ・青少年局長)と福井烈(公益財団法人日本オリンピック委員会専務理事)の2名。理事は秋元康(作詞家)、麻生泰(麻生セメント株式会社代表取締役会長)、荒木田裕子(国際オリンピック委員会オリンピックプログラム委員会委員)、泉正文(公益財団法人日本スポーツ協会副会長兼専務理事)、王貞治(福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長)、河野雅治(日本政府代表・中東和平担当特使)、小山くにひこ(東京都議会議員)、髙島なおき(東京都議会議員)、高橋治之(株式会社コモンズ代表取締役会長)、田嶋幸三(公益財団法人日本オリンピック委員会副会長)、田中理恵(オリンピアン・体操)、谷本歩実(オリンピアン・柔道)、豊田周平(トヨタ紡織株式会社取締役会長)、中村倫治(東京都オリンピック・パラリンピック準備局長)、中森邦男(公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会参事)、成田真由美(パラリンピアン・水泳)、蜷川実花(写真家・映画監督)、馳浩(衆議院議員)、東村邦浩(東京都議会議員)、松本正義(公益社団法人関西経済連合会会長)、丸川珠代(参議院議員)、室伏広治(スポーツ庁長官)、ヨーコ ゼッター(公益財団法人日本スポーツ協会常務理事)、横川浩(公益財団法人日本陸上競技連盟会長)、渡邉守成(国際オリンピック委員会委員)の25名。

以上の名誉会長を除いた35名の理事で選考検討委員会を構成して、35名の理事から会長を推薦選出することに原則的にはなるであろう。どの社会でも名誉会長は現役を退き、ただ眺めているだけであり、助言を求められれば提言するであろうが、昔で言えば隠居である。今回は選考検討委員会の委員長になり、しかも委員の選出まで一任されたと。閑職から一気に時の人となった

一任とは、物事の処理・決定のすべてを任せることだと。臨時懇談会では専務理事(事務総長)の武藤敏郎から次期会長選出の選考検討委員には内部の理事で男女半々で構成して、その人選は名誉会長の御手洗富士夫に一任すると。今後の議事は非公表で結果は発表すると

武藤敏郎は大蔵・財務事務次官、日本銀行副総裁、株式会社大和総研理事長、学校法人開成学園長兼理事長を経歴している。事務総長でもあり、今後の組織委員会はこの男を軸に進んでいくのであろう

一任と言う言葉は聞かれる。政治の党大会や会議で、主に選出過程で聞かれる。最近ではアベシンゾウの辞任の後、菅義偉を選出した自民党大会に代わる両院議員総会である。どのように総裁を選ぶか方法について所属国会議員に加えて都道府県連の票数について二階俊博幹事長に一任した

また前原誠司は2017年9月の民進党代表選挙に立候補して、枝野幸男に勝利し第3代民進党代表に就任した。しかし、幹事長に予定していた山尾志桜里のスキャンダルにより白紙になり打撃を受けた。その後にコイケユリコが立ち上げた希望の党への合流に色気をなした。両院議員総会での決定は代表への一任になった。対立した枝野幸男も前原誠司に一任したが、不服で立憲民主党を立ち上げた

どうも一任された時にはもう決まっていることが多い。一任とは身を任せることにも通じるであろう。昔の時代劇では二足の草鞋を履く者がいた。「男はつらいよ」の場合には二足の草鞋を履く者は居ない。ヤクザだけれど取締役には加わらないんだな。もっともヤクザと香具師との違いであろうな。例えれば、お控えなすって、手前、生国と発しまするは葛飾柴又の生まれ、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と申します。一任とはそんな口上を連想させる

まあ、今回の一任劇では、ある筋からの力があるような感がする。オリンピックとはどうも商売と国家の力が大きい。開催国だけでなく、商売には国境は無い、国境や人種の差別なく世界を股にかける。外国で暮らしていけるのは画家と音楽家であるとか。映像は世界を駆け巡る。これほどの媒体は無い。このコロナ禍ではオリンピックの開催すら危ぶまれる。世論調査では開催に疑問符を生じると。開催希望は商人と政治家とオリンピック関係者であろうな。

筋を通すとは首尾一貫させるとか道理にかなうことをするとか。反対に筋者とは俗にヤクザのことを言うとか。川筋者とは北九州炭鉱の町でのオキナカシを指したと。同じ川筋者でも箸にも棒にもかからない者もいれば、無法松の一生もいたし、中村哲もいたな

開催できなければ協賛企業との間で違約金も生じる、無観客開催では入場券収入が入らない。組織委員会長はじきに決めるだろう。決まればその選出過程から、あるいは頭によって、どの筋からか推察は出来るだろう。まあ、一任が丸投げにならぬように・・・