夢色

集めてるもの 見たもの 書きたいものを 思いついた時に。
基本ネタバレ注意。
火月 神の気まぐれ よろずメモ。

まぼろし

2006-12-10 | ま行

視線を上げてガラス越し
軒を叩く雨の音
揺れ踊る葉の緑 鮮やかに
在りし日のピアノの音
声を掛けようと振り向いて
動く空気の影
気付く静かな部屋
あなただけがいない
思い出す ただ一人
雨の昼下がり


月世界

2006-12-10 | た行

砂上の模様
波音を引き寄せて
艶やかに浮かび上がる
青白の世界
密やかに膨らむ蕾
時を追いかけて 囲まれた
小さなものたち
鐘の音に揺られ
ことりと 砂一粒が


月のエナジーは
隠れ家さえも捜し暴いて
内まで染み透り
中から壊しゆく
なんて切なく 剥がれる身体
月よりの道
この世の裏へと足音導く


捨てられた星々 玉座に集め
月へと差し出せ
開き始めた花から
周り広がる宇宙の中心
闇夜の虹は 昼を凌ぐ程に
霧に包まれ
階下ではうごめく青の精
海底で波打つ草原が
風の移ろいを捉え始めてる
ここでなら行き先 見つけられる


雲の中にもう一つの月
その中にもう一人の私
会えたから手を取って
螺旋階段 渦巻いて
降りてらっしゃい
貰った結晶 心に落とす───




                     石川賢治「月光浴」展に寄せて