「地球に優しく」という言葉がよく聞かれます。でも、たいていの場合、そこには生きものや野生生物、自然環境のことは出てきません。
はっきり言います。地球に優しくしなくたって、地球という星は壊れたりしません。私たち人間がダメージを与えていて危機的状況にあるのは、人間以外の地球上の生命やその生息環境、それらの集合体である自然環境です。
地球の上に乗っかっている生きものたちの生息生育している範囲の環境を「生物圏」といいます。「地球に優しく」という言葉は「生物圏に優しく」と言い換えた方が良いと思うくらいです。少なくとも私は「地球に優しく」などという言葉は使いません。
「地球に優しく」という言葉は「従来のものより環境に負荷を与えない製品ですよ。」という意味で用いられますが、そういった製品をたくさん買って使用したからといって野生生物やその生息地、自然環境が守られるわけではないのです。
もちろん、そうした製品を使わないよりは使った方が環境に負荷をかけずに良いでしょう。ただ、だからといって、それで自然や野生の生きものたちを大切にしているわけではないということです。
問題は私たち一人一の自然の生きものたちに対する姿勢です。たとえばこのブログの「横浜市のカエルの現状」という記事も時々、最近アクセスのあった記事のトップに来ることがあります。それだけ横浜市に生息するカエルに関心をお持ちの方がいらっしゃるのでしょう。私も幼少期に知人のお宅に呼ばれて、お庭にある小さな池でおたまじゃくしを採らせてもらった思い出があります。私の家の庭にもヒキガエルが棲んでいて、たまに姿を現しました。「お前、まだいてくれたのか。元気だったのか!」と喜ばしく思ったものです。
ヒキガエルは陸生のカエルで人家の庭にも棲んで、庭の主などと親しみを持って呼ばれます。そんな風景や経験、当たり前でした。なのに、おたまじゃくしが子ガエルになって庭に入ってくると気味が悪いので、おたまじゃくしのうちに駆除してくれという話があるそうです。このため自然共生型ということを唱えたマンションの流れや池にも塩素が注入されて、トンボ(やご)やカエル(おたまじゃくし)も棲むことができないのです。こうした人間以外の自然の生きものがたちに対する非情なまでの姿勢が、どれだけ身近な自然や生きものたちを消滅させているかということです。