昔、害虫といえば農作物を食い荒らすものでした。チョウやガの幼虫やイナゴなどです。そしてそういった害虫を食べてくれたり、花粉を運んで受粉してくれたりする昆虫を益虫と呼んでいました。チョウの成虫やハチ、トンボなどがそうです。
私たち日本人は元々農耕民族です。里山と呼ばれる環境で暮らし、自然環境と共存した生活をしてきました。だから自然や生きものたちに対して一定の理解と親しみを持っていたのです。
ところが今という時代は、そのようなものは一切なくなってしまい、ただ便利に生活できれば良いというようになってしまいました。それで本当に良いのでしょうか。温暖化をはじめ、海洋プラスチックゴミ問題のことを知っていれば、決して良くないということはわかると思います。
環境に負荷をかけないようにとよく言われます。でもそれは、従来の製品よりも電気を使わないだとか、排気ガスを出さないだとかということで、どこか具体的な場所の環境に負荷をかけずに大切にするということではありません。
地球、それぞれの地域の気象や気候は誰がどうやって調節しているのでしょうか。それは人間などではありません。人間は環境に負荷をかけるか、できる限りかけないように負荷を低減することしかできません。調節しているのは、森であるとか草原であるとか水辺であるとかいった自然環境です。そして自然環境は人間が作るものではありません。自然の木々や草花、鳥たちや昆虫、カエルやトカゲなど、自然の動植物によって自然に形成されるものです。人間の利用を考えると、管理は必要ですが、木々や草地を消失させてしまってはいけません。
今の私たちの生活は持続が無理だと言われています。あまりにも環境に負荷をかけすぎているからです。そして負荷をかけないようにするならば、環境を調節してくれている森や草地、水辺を大切にしなければいけないはず。
できるかぎり環境に負荷をかけない製品を開発することやその使用ばかりにとらわれて、身の回りの森や草地、水辺やそこに棲む生きものたちを守っていくことをせずに壊してばかりいては、本末転倒だと思うのです。
だから私は、こうした活動をやっています。