横浜にお住まいのM様から、IRのメンテナンスを承りました。
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IRはアラジンの原点となるストーブで、歴史はここから始まっています。
芯の固着や汚れはあるものの、タンク、チムニー、フレームともに状態は良好で
とても70年以上経っているストーブには見えません。
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ただし、外観の見た目の良さでは分からない、IRや#15の致命傷があるかどうかが心配。
以前にご紹介した、タンクから垂直に芯を上下させるツマミが出ているタイプの
機構をもう一度ご紹介すると、
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コレは壊れた#15から取り出した芯を上下させる部品です。
左上のツマミ部分以外はタンクの中に隠れてしまっているので普段は見えません。
次に挙げるもう一枚と比べてください。
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ツマミの下の方に「ネジ」のようなものが出てきているのが分かります。
ツマミ直下の円筒形の部分の中にネジが切ってあり、ツマミを回すことで
ネジが出たり入ったりして、その動きをシーソーの原理を使って芯を
上げ下げさせるのが、このタイプのアラジンの特徴。
先ほど「致命傷」と言ったのは、ネジ山が摩耗していることが原因で
ツマミを回していると、持ち上げてきたネジ棒がストンと落ちてしまう
ことがあるんです。
この部品はタンクの中に隠れており、普段は見ることも手を入れることも
できないので、もしこの症状があった場合は残念ながら直せません。
ただ、新兵器を使って見ることはできるようになりました。
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スネークカメラです。
給油口からカメラレンズになっている先端を差し込み、
タンク内のネジ棒部品のある所まで送り込んでいくと見られるんです。
カメラにはメモリーカードが付いているので、写真も撮ったのですが、
撮影した写真をこのブログに載せる方法が分からず、今回は諦め。
このスネークカメラで確認したところ、ネジ山はしっかりとしており、
まだまだ十分に使用できることが確認できました。
さて、一番の心配事が解決できましたので、あとはいつも通りに
磨いていきます。
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タンクの裏には、こんなスタンプが。
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Made in Englandじゃなくて、「GREAT BRITAIN」
GREAT BRITAINという言い方はいつまでされていたのかを
調べてみたくなりました。
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この時代のアラジンは、上部リングという部品までキチンとホーロー処理
されていて丁寧なモノづくりだったことが偲ばれます。
マイカを交換し、燃焼系回しの部品を磨き上げて完成。
窓枠のネジは可能な限りオリジナルのマイナスネジを使うことにこだわります。
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また一台、眠っていた往年の名機を復活させることができました。
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なんとか年内の仕上げに間に合いました。
Mさん、IRと過ごす暖かい冬をお楽しみください!
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