古今輪風@自転車ふぁん

わからない事だらけのレストア&メンテナンス備忘録

ホイールの組み方 JIS

2014-02-13 19:17:10 | 手組ホイール

初めてホイールを組んだ際、スポークの通し方がわからず苦労したので自分なりに整理(理解)して備忘録にしました。タンジェント組と呼ばれるスポークをクロス(交錯)させる方法は、「イタリアン」と「JIS」という2通りが基本で、今回はJIS組みと呼ばれる方法。

使用したハブはSANSINのスモールフランジハブで36穴。JISの8本組を行います。本来スポーク長さがとても重要ですが、元のスポークを使うので今回は考えません。そのうち一から組む機会も有るでしょうから、その時には勉強します。

同一方向のスポークを通します。同一方向なので、一方はフランジの外から内へ、もう一方はフランジの内から外へ通します。左右のフランジは同じ位置に穴が有るように見えて半ピッチずれています。写真(上)の様にフランジ外から内へ向かって真っすぐにスポークを通すと、逆側のフランジ内側で突き当たります。この突き当たったスポークを基準として、逆側のフランジ内側から通すスポークを半ピッチ右に通すのか、半ピッチ左に通すのかがJIS組とイタリアン組への分かれ道。

別の角度で。写真(上)のようにハブを正面から見た時に、上のフランジ外側から通したスポークに対し、下のフランジ内側から通すスポークを半ピッチ右に通すとJIS組になります。逆に、半ピッチ左に通すとイタリアン組になります。今回はJIS組なので写真(上)のように通します。このあと、左右共にフランジの穴を1個飛ばしにして同一方向のスポークを全て通します。

左右両方向共、全てのスポークを通しました。

最初の2本をとります。初めて行う際は最初の2本を選ぶのが難しいと感じましたが、理屈が分かってくると簡単です。この辺りは実際にやってみるしかありませんが、基準となる最初の2本の選び方は次項から。

写真(上)の1と8をクロスさせてリムに通していきます。4本組、6本組、8本組とかっていうのは、1から数えて何本目をクロスさせるかという事で、今回は写真の様に8本目をクロスさせています。基準とする1の場所は、バルブ穴とハブの刻印を合わせたり、バルブ穴の下でスポークをクロスさせない為に適切な場所を選ぶ必要があります。※バルブ穴の下でスポークがクロスすると、空気を入れる際に邪魔となる。

最初にクロスさせた2本は、リム側のバルブ穴左隣の穴と3個目の穴に通します。内から出たスポークは外へ、外から出たスポークは内へ、クロスする場所で内外を入れ替えます。JIS組みでは、バルブ穴左隣に入るスポーク(基準となる最初の1本)は必ずフランジの内側から外側に出るスポークです。

JIS組みの場合、ホイールを裏返しても(左右入れ替えても)進行方向は変わりません。ただし、後輪のフリー側はフランジの内から外へ通したスポークが必ず回転方向と逆の後方に広がっていかなければいけないので、例えば上の写真を後輪と仮定した場合、手前がフリー側、奥(床を向いている側)が反フリー側となります。あとで間違いに気付くとやっかいなので(やり直せば良いのですが)一番最初のクロスで確認を忘れないように。

ハブ側は、リムのバルブ穴からハブを覗いた時にハブのロゴが見える様に組むのがセオリー(ハブの刻印とバルブ穴の位置を揃える)。最初にクロスさせた2本をリムに通した後でバルブ穴から覗き、刻印の位置を確認します。納得できる位置になければ、最初に選んだ2本のスポークを違うフランジ穴(一つ飛ばしの前後)から出ているスポークに選び直す事で適切な位置を探します。

ここまでが最初の2本の選び方ですが、一度やってみて理屈が分かってしまえば、2度目からはそんなに悩む事はありません。

リムによって、スポークを通す穴は左右に振られています(振られていないリムもある)。当然、ハブの右フランジから伸びるスポークはリムの右へ振られた穴へ入り、ハブの左フランジから伸びるスポークはリムの左に振られた穴へ入るのが正しい姿。

次に、2つ目のクロスを組んでいきます。写真(上)で赤の1が最初に組んだ2本。そこから左へ一つ飛ばしとなる青の2と印のある2本をクロスさせます。

最初のクロス2本と、2番目のクロス2本の位置関係は写真(上)の通り。このあとは同じように片側全てのスポークを組んでいきます。正しく組んでいくと、逆側分の逆側に振られたリム穴が一つ飛ばしで残るようになります。※リム側の場所は6本組でも8本組でも変わりません。

片側のスポークを全て通しました。

スポークのクロスに間違えが無いか全周確認します。フランジの外から伸びるスポークは内側へ、フランジの内から伸びるスポークは外側へクロスしていればOK。

ホイールを裏返して反対側の作業に入ります。繰り返し書きますが、JIS組みの場合、ホイールを裏返しても(左右入れ替えても)進行方向は変わりません。バルブ穴左隣に入るスポーク(基準となる最初の1本)も逆側と同じで、フランジの内側から外側に出るスポークです。※裏返してもスポークの向きは同じになる。

基本的な作業は表側と同じで、最初のクロスはリム側バルブ穴左に入るスポークを基準とします。写真(上)でハブ側とリム側にそれぞれ印を付けた赤の1が最初のクロスです。手順通りに組んでいくとバルブ穴の下ではスポークがクロスしない事が分かります。緑の丸で印をつけたのは、裏側の最初のクロス。

写真(上)は赤の1が最初のクロスで青の2が2番目のクロス。最初のクロスが終われば表と同じように次のクロスを組んでいきますが、片面は終わっているのでリム側は空いている穴に通していく形。ですので、リム側の穴の選定は表面よりは楽に出来ます。

写真上はリムに振られた穴の左右確認と、スポークのクロスの上下確認。

両面全てのスポークが通し終わりました。正しく通せていれば、全体的にバランスよくスポークとニップルが噛み合います。規則的にスポークとニップルのバランスが悪い場所があると、組み方が間違っていたり、想定していたクロス(6本組や8本組)と異なったクロスで組んでいる可能性があります。

左右の赤く塗ったスポークに注目します。

ホイールを裏返しました。裏返しても赤く塗ったスポークの位置関係が同じになります。これがJIS組みです。上の写真はフロントホイールですが、リアと仮定して手前がフリー側とすると、進行方向は右側になります。駆動輪となるリアの場合、フリー側のフランジ内側から外側に通したスポーク(上の写真で赤く塗った位置にあるスポーク)は必ず回転方向と逆の後方に広がっていきます(これはJIS組、イタリアン組どちらも共通のルールです)。 

現在はイタリアン組が主流。両切りのハブでは両面を使えるJIS組が有効。他にも、逆イタリアン、逆JIS、クロスさせないラジアル組との併用などなど。好みや考え方の違いもあって相当にマニアックな世界。ですが、基本となるイタリアン組とJIS組は覚えておくと良い。

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