皆さんは、アナトール・フランスと言う人の「聖母の曲芸師」(または軽業師、または
道化師)と言うお話をご存知ですか? こんなお話です。
フランスはルイ王の治世に、バルナベと言う草色の衣服を着た曲芸師
(ジャグラー)が何故か修道士になった。だがバルナベは他の修道士の
ような学問もなくラテン語も解らない。石も彫らなければ、絵も描け
ない。バルナベに出来るのは曲芸だけ。バルナベは夜に、御堂に勝手
に入って、聖母の像の前で曲芸をする。(自分も何かして差し上げたい
けど、自分にして差し上げる事が出来るのは曲芸しかないから、、。)
それを見た他の修道士達はバルナベが精神錯乱を来たしたと思ってしま
い、御堂から引きずり出そうとする。その時、なんと、祭壇から聖母が
降りてきて、バルナベの前額の汗を上着の裾で拭くではないか、、、。
それを見て、修道院の院長は驚き、そして、こう呟く、、、
「心、愚直なる者は幸いなるかな、彼等神を見るべければなり」
京都に行くと、いろいろな職業の神様の神社があります。料理人の包丁の神様の神社、
針の神様の神社、醸造業のお酒の神様の神社、大工道具の神様の神社もあるかも知れませ
んし、染物屋さんの神様の神社もあるかも知れません。みなさん、針を供養したり、道具
を供養したりします。私達、設計士も対価や名声のためだけに設計をするのではありませ
ん。バルナベと同じような気持ちが、どこかにあるのです。
追記 最近、この「バルナベと同じような気持ち」と言うのが、日本人の場合は 一種の
「 健気 (けなげ) さ」みたいなものなのかな ? と思うようになって来ました、、、。
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