北海道函館市の建築設計事務所 小山設計所

建築の設計のことやあれこれ

無題

2014-10-06 13:01:59 | 日記
1989年。時代は昭和から平成に変わる、、、。私の母は、本当は大正15年生まれなのに、

昭和生まれだといって、すましてる、、、。(昭和元年って何日あるの?、、、。3月生

まれなのに、、、。昭和64年も、以下同様。) 平成元年2月24日、その車列は、八王子、

高尾山の麓に向かっている。日産プリンスロイヤルの寝台車。設計者のひとりである、

千野甫さんは、自宅近くの八王子の街道で、その車列を見守る、、。自分の設計した車。

それも、おそらく最後の「御奉公」、、、。(今はトヨタに変わってしまった、、、。)

わかるなー、こういうときの設計者の気持ち。建築の設計者も、かくありたいもので

す、、、。車も建物も、ものを設計する人の気持ちは同じです、、、。



少し長くなりますが、ある文章の最初の部分を引用します、、、。



建築家として、もっとも、うれしいときは、建築ができ、そこへ人が入って、そこでいい

生活がおこなわれているのを見ることである。

日暮れどき、一軒の家の前を通ったとき、家の中に明るい灯がついて、一家の楽しそうな

生活が感ぜられるとしたら、それが建築家にとっては、もっともうれしいときなのではあ

るまいか。家をつくることによって、そこに新しい人生、新しい充実した生活がいとなま

れるということ、商店ならば新しい繁栄が期待される、そういったものを、建築の上に

芸術的に反映させるのが、私は設計の仕事だと思う。つまり計算では出てこないような

人間の生活とか、そこに住む人の心理というものを、寸法によってあらわすのが、設計

というものであって、設計が、単なる製図ではないというのは、このことである。


何度読んでも、うるうるっときてしまって、涙が出そうになる。最後までは長い文章なの

ですが、若い設計の方達には、是非、読んで欲しい、、、。吉村先生の、「建築と設計」

という文章です。(本当は長い副題が付くのですが、ここでは割愛します。)平易な文章

なのに、大事な事がちゃんと書かれいて、相手に伝わり易い文章、、、。吉村先生の設計

と同じだ、、、。同じ明治生まれの、林達夫さんや渡辺一夫さんの文章と似ている、、。

敗戦前も敗戦後も、何も変わらなかった人の、だからこそ書ける、文章、、、。どんな

理不尽があっても、設計にも、依頼主にも、ご自分にも誠実だった、吉村先生、、、、。

あっ、ダメだ、やっぱり涙が出そうになってきてしまった、、、、、。

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