Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

発掘

2014-01-29 01:22:11 | Weblog
昔だれかが言った言葉を、今ぼくが追体験したい。
ぼくは言葉や思想を創造するのではなくて、掘り当てたい。

小説を書くのも、論文を書くのも、書くという行為は全て発掘であって、創造じゃない。たしかミケランジェロだったか、彫刻というのは形を創ることなのではなくて形を取り出すことなのだ、という意味のことを述べたらしいけど、その言葉に共感する。

つまり、ぼくの言っていること・書いていることに独自性なんかありはしない。それはこの世界に既に埋まっているものであって、ぼくはそれを取り出しているに過ぎない。このようなぼくの考え自体がまさにそう。

独自性がなければならないと焦る必要はない。誰もが既に書かれたものを書いていると諦める必要もない。

誰かの言葉や思想をぼくはなぞりたい。ぼくはぼく自身によってその言葉や思想を体験したい。

今ぼくは以前に自分が書いた文章を再発見している。その文章は、ほとんど全て誰かからの借り物だった。他人の発掘したものをぼくは盗んでいた。でも今ぼくは自分でものを発掘しようとしている。たぶん、これが本当の意味で考えることであり、書くことなんだと思う。

それらは全て他人が既に考えたことであり、書いたことなんだけれども、ぼくはそれを盗むのではなく、改めて掘り当てようとしている。

もしかしたら、学問の世界では盗んだ思想や文章を積み重ねた方が、受けがいいかもしれない。学問を発展させられるかもしれない。明日誰かが相対性理論を発見したとしても、誰からも見向きもされないだろう。でもぼくは、自分で「相対性理論」を見つけ出したいと思ってる。

ぼくは「理解」と「発見」とを混同しているのかもしれない。学問の本質を見誤っているのかもしれない。けれども、誰かが言ったことを追体験したいと思っている気持ちに嘘はない。

自分の思いつきが誰かの思いつきに等しいことを知ったとき、ぼくはとてもうれしい。