今朝の神戸は雪でした。
家を出て山を見上げるとこんな感じ。
このあと激しく降り出して、
店に着く頃には山の木々のシルエットなど何も見えないほど白一色に変わっていました。
が、街には積もらず。
みぞれまじりの冷たい雨がびちゃびちゃと音を立てています。
神戸っていつもそうね…。
さて、店の方は相当のヒマを覚悟して、今日は文庫本持参。
ずっと気になっていた、数年前の芥川賞受賞で一躍有名になった西村賢太さんの本。
好き嫌いははっきり分かれそうですが、私は好きの方。
とにかくもう、止められない。
すれ違う人全てを睨みつけ、裸でぶつかっていくようなスピード感と生々しさ。
脚色も、ええかっこしいも、なんもない。
そして、読んでみてびっくりの、なんと暗渠の宿の解説が友川カズキさん。
私が昨年はじめて知って、その生き方と歌とギターにこころ掴まれている人。
その友川カズキさんが西村さんに最大の賛辞を贈っている。
さらにはこの西村賢太さん、作家の町田康さんと対談してとても気が合ったらしい。
町田康さんといえば、私が愛するミュージシャン田島貴男さんが、
その町田さんの言葉の世界が好きで、楽曲の作詞もしてもらったこともある人。
田島貴男さんは岡本太郎さんの生き方や残した言葉、哲学的な部分に多分に影響を受け、
今は渋谷にある巨大壁画「明日の神話」の復元設置の際に、
「明日の神話」という曲を作って披露したほどの関係。
そしていわずもがな、岡本太郎さんは私が子どもの頃からずっと好きで敬愛している人。
この繋がり方は必然か。
あ、友川カズキさんは大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」のヨノイ大尉(坂本龍一が演じた)役に、
最初に出演依頼を受けた人で、結局秋田なまりをなおすのが嫌で断ったんやけど、
大島監督はその頃から友川カズキさんという人間の魅力に気付いていた。
さて、
先日DVDで見たのは大島渚監督の「太陽の墓場」という映画。
大阪は西成、萩之茶屋界隈を舞台に、
ドヤ街で生きる人たちの、生身の救いのない生活がむきだしに映し出された映画。
大島渚さんは西村賢太さんと同じく、本当に起こっている汚らしくて凄惨な日常を描いた人。
同じ時代、これの対極にあったのが、石原慎太郎原作「太陽の季節」。
裕福に育った若者の愛や友情の物語。
大島渚監督はこの太陽の季節や太陽族というものに対する痛烈な批評として
「太陽の墓場」を撮ったといわれてるのです。
私が興味を持つ人がつぎつぎ繋がって面白い。
最後に。
そんな石原慎太郎が西村賢太の作品を絶賛して芥川賞選考の際に強く推し、
苦役列車の解説を書いているということがまた、なんだか憎い絡み方。