知識を得ることで、その製品がたまらなく愛おしくなることもあります。
例えば、溶接痕・・・釈迦に説法かもしれませんが・・・・
金属系のチューブの接続には
①ロウ付け
②ロウ付け+ラグ
③TIG溶接(アーク溶接)
の三種類があります。
①ロウ付け by Casai
一番古典的な方法で、奈良の大仏の製造にも使われたと伝わっています。
最初の状態で充分美しいのですが、
手作業でペーパーで綺麗に磨き上げのようなきれいな曲線になります。
この最大の欠点は、技術も手間もかかるということですね。逆にそれだけ希少性があり価値が高く、貴重な技術の具現化とも言えます。ちなみにこの少し錆びたチューブは、今どきの薄いスチールパイプで、ビックリするような軽いスチールフレームをつくることができます。一番薄いところで、0.38mm~0.4mmくらいしかありません。
これを仕上げると
<コロンバスSLパイプのフィレット仕上>
この艶っぽさは、心がキュンですね~~~
おもわず、自転車に話しかけるている自分がいます・・・・(;^ω^)
<ステンレスの銀ロウ付けフィレット仕上>
息を呑む美しさとは、まさに・・・・
昔から技術なのですがテクと時間が掛かりすぎるという理由で、このように上手に仕上げられる職人さんは少なくなりました。 より生産効率を重視して生まれた方法が・・・・・実はコレ
② ロウ付け+ラグ
元来は、前述のロウ付けのフィレット仕上げがあまりにも手間がかかるので、この手法が生まれました。実際に今でも高級車から軽快車まで広く利用されています。
裏話ですけど、ラグを使うと、ロウの浸透が不完全な状態でもフレームが出来ちゃうのです。
たまに軽快車等であるのですが、金属的なキシミ音がBBやハンドル周りから発生する時は完全にロウがラグ全体に浸透していない場合があります。以前粗悪品の安い軽快車でよくあったようです。外からわからず、とりあえず走れるので困った現象ですね。
さすがに、Tommasini、Casatiについては過去一度もそんなことはありません。製造過程というか職人の腕も雲泥の差がありますから!!!
Tommasiniは、炉で全体を温めてそれからロウ付けをしています。見えないところで手間暇かけてるんですね。
《炉でBB全体を温めているところ》
え!?こんなに温めてダイジョウブ?思ってしまいそうですが・・・
また、ロウ付け溶接(ブレージング)は、母材(チューブセット)に影響を及ぼさない温度で作業するので、寸法が狂いにくいメリットもあるんです。
この全体を温めてから、ロウを浸透させます
なんか神々しいですよね。命を吹き込んでいる感じがします。
言い換えれば、こんな過程を踏まなくても作れちゃうワケですから、見えないところに時間と手間をかけているワケですね。さらにそのラグを単なる継ぎ手部品だけに終わらせずに、意匠性を高めた第一のブランドがTommasiniといえますね。
<Tommasini Sintesi jpy342,000-(w/o TAX)>
<Casati CAMPIONISSIMO / Linea Euro1891.31-日本円で26万円前後 送料込>
わざわざ、ラグの上に爪型のシートスティを綺麗に溶接しています。これもまさに職人技です。
小さな薄いラグで独特の雰囲気を醸し出していますね
③ TIG溶接(アーク溶接)
スチール・アルミ・チタンなどの金属フレームを製造する時に広く普及している方法です。流れ作業ができて生産効率が格段にアップすることができます。このカラミータの溶接のように美しいものは、職人の高いレベルが要求されます。とくにこのカラミータのシルクブラッシュ仕上げの場合は、塗装でごまかせないので歩留まりが低くなりコスト高になるんです。
台湾ですが、かなりレベルの高い職人さんです!
Thank you very much Bill san!!
参考までに、TIG溶接の周辺は高温にさらされるために、金属組成の変化が起きているようで、落車や交通事故でフレームが破断する時は溶接痕の周辺が多いですね。これもロウ付けとの大きな違いだと思います。
業界の裏話的な面白いエピソードをひとつ披露しましょう。ソ連崩壊後東欧では、かつて軍需産業の従事していたTIG溶接職人(ミグ21とか戦車を作っていた!?)さんの仕事が激減していたところに、コストの安さに目を付けたイタリア人はトラックでアルミのチューブセットを東欧に運び込み溶接させて、完成したフレームをトラックでイタリアに戻してアッセンブルして「メイドインイタリー」として輸出していました。まぁ、精度さえでていれば、中国製造のCFRP(カーボン)フレームのようにどこで製造されても性能は一緒なんですが、それをしたブランドとそれをしなかったブランドで、同じチューブセット、同じコンポで上代で5~10万円の差がでていました。20年以上前のはなしですがね(笑)イタリアは職人の人件費が高いんですね! 時を経て、結果的には東欧でのフレーム生産で利益を得たブランドは、今は中国生産のCFRPフレームに移行したブランドが多いようです。
とても大雑把に、弊社のブランドを交えて溶接方法について記してみましたがどうでしょう? 視覚的に耐えうる上手なロウ付け溶接職人は、いまやとても貴重なんです。そして日本の場合、競輪文化があるので上手なロウ付け職人がまだまだいるほうなんです。
個人的には、熟練職人のロウ付けフィレット仕上げに艶めかしい色気を感じます。なぜかイルザ(名画カサブランカに出てくるイングリットバーグマン)を想像してしまう・・・・
たまらなく愛おしく思います(笑)
例えば、溶接痕・・・釈迦に説法かもしれませんが・・・・
金属系のチューブの接続には
①ロウ付け
②ロウ付け+ラグ
③TIG溶接(アーク溶接)
の三種類があります。
①ロウ付け by Casai
一番古典的な方法で、奈良の大仏の製造にも使われたと伝わっています。
最初の状態で充分美しいのですが、
手作業でペーパーで綺麗に磨き上げのようなきれいな曲線になります。
この最大の欠点は、技術も手間もかかるということですね。逆にそれだけ希少性があり価値が高く、貴重な技術の具現化とも言えます。ちなみにこの少し錆びたチューブは、今どきの薄いスチールパイプで、ビックリするような軽いスチールフレームをつくることができます。一番薄いところで、0.38mm~0.4mmくらいしかありません。
これを仕上げると
<コロンバスSLパイプのフィレット仕上>
この艶っぽさは、心がキュンですね~~~
おもわず、自転車に話しかけるている自分がいます・・・・(;^ω^)
<ステンレスの銀ロウ付けフィレット仕上>
息を呑む美しさとは、まさに・・・・
昔から技術なのですがテクと時間が掛かりすぎるという理由で、このように上手に仕上げられる職人さんは少なくなりました。 より生産効率を重視して生まれた方法が・・・・・実はコレ
② ロウ付け+ラグ
元来は、前述のロウ付けのフィレット仕上げがあまりにも手間がかかるので、この手法が生まれました。実際に今でも高級車から軽快車まで広く利用されています。
裏話ですけど、ラグを使うと、ロウの浸透が不完全な状態でもフレームが出来ちゃうのです。
たまに軽快車等であるのですが、金属的なキシミ音がBBやハンドル周りから発生する時は完全にロウがラグ全体に浸透していない場合があります。以前粗悪品の安い軽快車でよくあったようです。外からわからず、とりあえず走れるので困った現象ですね。
さすがに、Tommasini、Casatiについては過去一度もそんなことはありません。製造過程というか職人の腕も雲泥の差がありますから!!!
Tommasiniは、炉で全体を温めてそれからロウ付けをしています。見えないところで手間暇かけてるんですね。
《炉でBB全体を温めているところ》
え!?こんなに温めてダイジョウブ?思ってしまいそうですが・・・
また、ロウ付け溶接(ブレージング)は、母材(チューブセット)に影響を及ぼさない温度で作業するので、寸法が狂いにくいメリットもあるんです。
この全体を温めてから、ロウを浸透させます
なんか神々しいですよね。命を吹き込んでいる感じがします。
言い換えれば、こんな過程を踏まなくても作れちゃうワケですから、見えないところに時間と手間をかけているワケですね。さらにそのラグを単なる継ぎ手部品だけに終わらせずに、意匠性を高めた第一のブランドがTommasiniといえますね。
<Tommasini Sintesi jpy342,000-(w/o TAX)>
<Casati CAMPIONISSIMO / Linea Euro1891.31-日本円で26万円前後 送料込>
わざわざ、ラグの上に爪型のシートスティを綺麗に溶接しています。これもまさに職人技です。
小さな薄いラグで独特の雰囲気を醸し出していますね
③ TIG溶接(アーク溶接)
スチール・アルミ・チタンなどの金属フレームを製造する時に広く普及している方法です。流れ作業ができて生産効率が格段にアップすることができます。このカラミータの溶接のように美しいものは、職人の高いレベルが要求されます。とくにこのカラミータのシルクブラッシュ仕上げの場合は、塗装でごまかせないので歩留まりが低くなりコスト高になるんです。
台湾ですが、かなりレベルの高い職人さんです!
Thank you very much Bill san!!
参考までに、TIG溶接の周辺は高温にさらされるために、金属組成の変化が起きているようで、落車や交通事故でフレームが破断する時は溶接痕の周辺が多いですね。これもロウ付けとの大きな違いだと思います。
業界の裏話的な面白いエピソードをひとつ披露しましょう。ソ連崩壊後東欧では、かつて軍需産業の従事していたTIG溶接職人(ミグ21とか戦車を作っていた!?)さんの仕事が激減していたところに、コストの安さに目を付けたイタリア人はトラックでアルミのチューブセットを東欧に運び込み溶接させて、完成したフレームをトラックでイタリアに戻してアッセンブルして「メイドインイタリー」として輸出していました。まぁ、精度さえでていれば、中国製造のCFRP(カーボン)フレームのようにどこで製造されても性能は一緒なんですが、それをしたブランドとそれをしなかったブランドで、同じチューブセット、同じコンポで上代で5~10万円の差がでていました。20年以上前のはなしですがね(笑)イタリアは職人の人件費が高いんですね! 時を経て、結果的には東欧でのフレーム生産で利益を得たブランドは、今は中国生産のCFRPフレームに移行したブランドが多いようです。
とても大雑把に、弊社のブランドを交えて溶接方法について記してみましたがどうでしょう? 視覚的に耐えうる上手なロウ付け溶接職人は、いまやとても貴重なんです。そして日本の場合、競輪文化があるので上手なロウ付け職人がまだまだいるほうなんです。
個人的には、熟練職人のロウ付けフィレット仕上げに艶めかしい色気を感じます。なぜかイルザ(名画カサブランカに出てくるイングリットバーグマン)を想像してしまう・・・・
たまらなく愛おしく思います(笑)