アメリカの大学の日本人オフィスに、空輸した雑誌が毎週届いていた。
新聞や女子生徒向けの大人のファッション誌などもあったが、
主にジャンプとマガジンを楽しみに読みに行っていた。
各1冊ずつしかないので、混んでいる時は必然的に順番を待つようになる。
ある日、長椅子に座ってマガジン片手に午後の至福のひと時を過ごしていると、
北斗の拳のザコキャラのような鎖をたらした後輩が「うぇーい。次いいっすか」
というようなことを言いながら、ドカドカと入って来て横に座り、
なぜそうまでして言動を一致させなければならないのかわからないが、
絵に描いた悪役のような態度で終始ふるまっていたので、
ゆっくりと読み終わって渡す際、にっこり笑っておもむろに
(きの)「首狩り武者の正体は・・・」 (鎖)「えっ!?何?」
(きの)「知りたい?首狩り武者の正体」
(鎖)「いいいいえっ知りたくないっすよ。今から俺が読むんだから。俺ひとりの、この手で!」
という、非常に勤勉な読書欲を見せてくれた。
一緒にいた仲間に(鎖)「ヒドイよっあの人犯人バラそうとしたっ!」
言いつけているのをしり目に部屋を出る。
その日は、いつにもまして天気が良かったように思う。
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