「アルツハイマー型認知症」は、日本だけでなくて世界中の医師や学者や研究者など認知症の専門家と言われる人達が、「原因もわからないし、治すこともできないし、予防することもできない」病気と主張しています。そうした主張の中核に「米国精神医学会」という特別な権威があり信望が厚い組織の存在があるが故に、誰もがその主張内容に疑問を抱こうとはしないのです。パソコンで「アルツハイマー型認知症」を検索すると、団体や医療機関や大学などにより開設されている驚くほどたくさんの「ブログ」が出てきます。そうしたブログの殆どが、「米国精神医学会」が定める「アルツハイマー型認知症」の診断規定である「DSM-4」の診断基準を金科玉条として引用したり、主張や説明の根拠にしているのです。
「DSM-4」の基準には、重大な過ちがあり、そのために、回復が可能な「早期の段階」を見落としていて、回復が困難な「末期の段階」でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけられないでいることに、認知症の専門家とされる人達の誰一人として気がついていないのです(ここを「クリック」してください)。「アルツハイマー型認知症」の症状とされているものが「末期の段階」の症状であることに気づかないで且つ、「末期の段階」でしか見つけられていないことが原因で、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」にされてしまっているのです。
私達は、「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストを開発し、その活用により、早くから脳の司令塔である「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の働きに焦点を当ててきました。その結果、「脳の機能レベル」とその直接のアウトプットである「症状」との関係に関する極めて多数の「脳の機能データ」を集積し、解析してきました。「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であり、早期の段階で見つけて、脳の使い方としての「生活習慣」を改善することにより脳の機能を正常なレベルに回復させることで「治せる」し、脳を活性化する生活習慣の構築とその維持により発病を「予防」することもできる病気だという結論に到達したのです。
その結論に基づいて、1995年から市町村における「地域予防」活動の展開を主張し、440を超える市町村での実践を主導してきたのです。今日は、これまでの主張の集大成として、「アルツハイマー型認知症」の症状の進行と三つの段階に区分される段階的症状及びそれに直結している脳機能のメカニズムについて、順を追って説明したいと思います。
(コーヒー・ブレイク) 但し、私達の主張の内容に重大な関心を抱きつつも権威が不足していることに不安を覚える人が居るとしたらその方達は、東日本大震災の被災地の「高齢者」達の、今後3~5年年後(震災の被災から起算すると、5~7年後)の動向に関するマスコミ報道に注目しておいていただければと思うのです。我が国の他のどの地域の高齢者達の間にも見られない割合と規模での大量の「アルツハイマー型認知症」の発病者達の出現が、マスコミを賑わせ、世間を驚かせ、認知症の専門家と呼ばれる人達を仰天させることになるはずだからです(但し、マスコミや認知症の専門家とされる研究者や医師達が騒ぎ出すその段階は、末期段階の「重度認知症」の段階のことなのですが)。
さらに、「重度認知症」の人達の数の多さに注目するだけでなくて、「重度認知症」の段階の人達の数の4倍にも上るそれより軽い段階であり、「重度認知症」の予備軍である「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階の人達の存在が認知症の専門家達から見落とされていることも問題なのです。その極めて不幸な事実が「疫学的証明」となり、私達の主張が正しいことを証明してくれることになるのです。その不幸な証明を未然に防ぐには、関連する市町村の保健師さん達が中核となって展開する、地域密着型の「地域予防活動」を直ちに密に展開するしか方法がないことを注意喚起しておきたいと思います。
更に一言付け加えることがあります。それは、「アルツハイマー型認知症」の治療薬のことです。世界中の製薬会社が治療薬の開発にしのぎを削っていて、時々新薬なるものが世の中に出てきます。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム及び「前頭葉」を含む脳の構造と機能とに関する私達の知見からすれば、飲んだり貼ったりするだけで「アルツハイマー型認知症」を治す効能を有する薬が開発できるとは考えられないのです。どこまで行っても、どんなに手を尽くしても、出口を見つけることができない、迷路にはまり込んでいる、前途ある研究者達に、警鐘を鳴らしたいのです。既に市販されている薬が3種あります。治療の効能はないが、症状の進行を遅らせる効果があるとの触れ込みですが、私たちはその薬の服用による効能に関する因果関係自体に疑問があると考えています。当該服用の効果とされる周辺条件の中から、脳機能に関するデータの解析に基づいて脳を活性化させる要因として私達が例示的に取り上げている要素が排除されていないから(これらの要因は、脳を活性化させるので、症状の進行を遅らせ或いは僅かとはいえ回復させる効果があるからです。介護施設に居る認知症のお年寄りに、皆んな輪になり手拍子をつけながら唱歌を歌わせたり、簡単な炊事の手伝いをさせたり、遊戯をさせたり、運動をさせたりして賑やかに楽しませている事例を思い起こしてください)なのです(ここを「クリック」してください)。
○ 意識的な世界を支配している「前頭葉」の働き
頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す「運動の脳」があります。脳卒中で、半身麻痺になる人がいます。運動の脳の左の部分が壊れると、右半身麻痺が起きます。右の部分が壊れると、左半身麻痺が起きます。運動の脳の左の部分が右半身を動かしていて、右の部分が左半身を動かしているのです。脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする為の「左脳」があります。左脳は、言葉や計算や論理や場合分けなど「デジタルな情報」を処理しているのです。脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあいなどを楽しむ為の「右脳」があります。右脳は、色や形や空間や感情など「アナログな情報」を処理しているのです。
額のところには、脳全体の司令塔の「前頭葉」があります。その前頭葉には、発想したり、計画したり、工夫したり、推理やら洞察をしたりするための様々な働きが詰まっています。更には、自分の置かれている状況を判断し、種々ケースワークしたうえで、実行テーマの内容や実行の仕方を選別して、最終的に決定するために必要な「評価の物差し」という大事な働きがあります。
私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、どのような「テーマ」をどのように実行するか、「運動の脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(身体を動かす「テーマ」)、「左脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(言葉や計算や論理や場合分けなどデジタル情報を処理する「テーマ」)、「右脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか」(色や形や空間認知や感情などアナログ情報を処理する「テーマ」)、全ては司令塔の「前頭葉」が周りの状況を判断して決定し、「左脳、右脳及び運動の脳」に対し必要な指令を出して実行しているのです。
これが、意識的な行為或いは思考の実行における脳の働き方の全体像なのです。言い換えれば、運動の脳、左脳、右脳という三頭建ての馬車をあやつる御者の役割をしているのが、「前頭葉」なのです。三頭の馬を十分に働かせられるのも、不十分にしか働かせられないのも、前頭葉の働き次第ということなのです。御者が馬をあやつれなくなったら、どうなりますか? 馬はどこへ行ったらいいのか分からなくなってしまうでしょう。
○ 加齢とともに誰でも脳の機能が衰えてくる「正常老化」の性質
脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、感動したり、抑制を働かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右する「前頭葉」の三本柱の機能、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きには、上記「意欲、注意集中力及び注意分配力 」のグラフにみられるように、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要なしかし専門家達からは見過ごされている性質があるのです。
「前頭葉」の各種認知機能の認知度及び発揮度を左右しているこの「三本柱」の機能には、上図のグラフが示すように、18歳から20歳代までがピークで、20歳代を過ぎるころから100歳に向かって緩やかではあるが、一直線に衰えていく性質があるのです。 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60代後半にもなると、脳の使い方としての生活習慣の如何に関わらず、「前頭葉」の三本柱の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳代の頃に比べて、半分以下のレベルにまで衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、「前頭葉」の三本柱の働きがさらに衰えていって、正常なレベルを保ちつつもどんどん「低空飛行」になっていくのが特徴なのです。
認知症の大多数90%以上を占めていて、専門家達からは原因も分からないし治らないし、予防することもできないと言われている「アルツハイマー型認知症」の正体は、加齢による脳の老化という性質(正常老化の性質)が基本に存在するのです。「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるからこそ、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが発病の対象になる」のです。
正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた高齢者と呼ばれる年代の「お年寄り」(年齢が「第一の要件」)が、脳を積極的には使わない生活、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(単調な生活の継続が「第二の要件」)、出番が少ないために使われることが極端に減った「前頭葉」が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により、「前頭葉」を含む脳の老化が加速されていくことになるのです。
廃用性の機能低下により「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくその先に、「アルツハイマー型認知症」(晩発型アルツハイマー病とも言います)の発病が待っているのです。(注)第一の要件と第二の要件との相乗効果により廃用性の機能低下が進むときは、直線的ではなくて放物線を描いて加速度的に脳の機能が衰えていくのが特徴です(脳機能の加速度的な低下を示す下図を参照)。
その場合、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、左脳や右脳が異常なレベルに衰えていくのです。更には、「アルツハイマー型認知症」の場合は、MMSテストで判定される下位項目(「左脳及び右脳」の機能に関する項目)の衰え方にも、明確な規則性があることが重要な特徴なのです(衰えていく明確な順番とそのパターンがある)。「前頭葉」と「左脳及び右脳」のそれぞれの衰え方が、他の種類の認知症或いは認知症と紛らわしい病気(側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行など)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです(ここを「クリック」してください)。
脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当しているのが「前頭葉」なのです。中でも、意識的に何かの「テーマ」を実行をする場面で、「前頭葉」の各種の機能を発揮する上で不可欠で基礎的な働きをする「認知機能」を正常に発揮するには、一定レベル以上の「認知度」が確保されていることが必要となります。脳の機能についての専門家と世間で言われている人達でさえ未だ気づいていないのですが、その「認知度」を左右する機能の三本柱が、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きなのです(「前頭葉」の各種機能の発揮度に関わる「二重構造」の問題)。
然もこの三本柱には、上述したとおり、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質があるのです。生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、「前頭葉」の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」を左右する働きをしている「三本柱」の機能の出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。言い換えると、内在する「正常老化」の性質によって、もともと加齢により機能が衰えていく性質を持つ「前頭葉」の三本柱の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っている中で、膝の筋肉と同じように、廃用性の加速度的な機能低下を起こしてくることになるのです。
(またまた、コーヒーブレイク) 意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では(例えば、ゴルフ仲間を家に招待して、男の手料理でもてなすという「テーマ」を考えてみてください)、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等、「前頭葉」を構成している各種の高度な機能を発揮する上で不可欠の働きをする「認知機能」を正常に発揮するには、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠なのです。認知度が一定レベル以下だと、「前頭葉」の各種機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。「認知度」の高さ或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とがともに、「三本柱」の機能レベルと「リンク」している)。ところが、この「三本柱」の機能自体に、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質があることは、前述したとおりなのです。脳の司令塔は「前頭葉」であり、その「前頭葉」の三本柱の機能に加齢と共に働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が内在していることがミソなのです。このことに誰もが気づいていないことが、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らないし、予防することもできない病気」などと勘違いさせてしまう主犯だったのです。
世間で認知症の専門家達から原因不明と言われている「アルツハイマー型認知症」は、上述したように、「加齢とともに脳の老化が進む」という(「第一の要件」)と「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」という(「第二の要件」)の二つの条件の「相乗効果」によって、廃用性の機能低下というメカニズムにより、脳の老化が更に「加速」されることにより発病するというのが脳機能データに裏付けされた私達の結論なのです。
このメカニズムのもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であって、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件ということになります。言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という、第二の人生での「生活習慣」と密接不可分の関係がある病気なのです。「原因も分からないし治せないし、発病を予防することもできない」病気と言われ放置されたままになっている「アルツハイマー型認知症」という病気は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないというのが私達の見解(主張)です。
(ここで、コーヒー・ブレイク) 高齢になればなるほど、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が増えていきます。実態がそうであるとはいえ、どんな年齢の高齢者であろうと、年をとっているだけ(「第一の要件」の充足だけ)では、「アルツハイマー型認知症」を発病しないのです。他方で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達は高齢者に限られていて、年齢の若い人達がナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続して送っていても(「第二の要件」の充足だけ)、発病することはないのです。
(注) 働き盛りの50歳代で「アルツハイマー型認知症」になる人が増えているなどとテレビで放映されることがありますが、認知症ではなくて認知症と紛らわしい病気である「側頭葉性健忘症」や「感覚性失語症」、或いは「緩徐進行性失行」等の病気とまちがえている場合が相当あるので、注意が必要です。これらは、若年性の認知症と誤診されるケースが多いのです。重度の「記憶障害」の症状や記憶障害と誤診されやすい「感覚性失語」による症状、或いは「緩徐進行性失行」の症状があっても、「前頭葉」の機能レベルが正常な場合は、認知症ではないのです。
○ 脳の機能レベルのアウトプットとリンクした段階的症状
脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えてきている段階、私達の区分に言う「軽度認知症」(「小ボケ)の段階では、左脳も右脳も未だ正常なレベルにあるのです。そもそも、「脳の働き具合」のアウトプット自体が、「症状」となって現れるのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。
左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、それらをコントロールしている脳の司令塔の「前頭葉」が異常なレベルとなり正常に機能しなくなった段階で、その働き具合のアウトプットも同時に異常なレベルのものになってしまうのです。つまり、この段階で既に、思考や行為の面で認知症の「症状」が発現してくるのです。この「小ボケ」の段階では、「社会生活面」に支障が出てきます。
(注) 脳の働きが異常なレベルに衰えてきて、そのために社会生活や、家庭生活やセルフ・ケア等に支障が起きてくるのが、「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能できなくなった段階で、ほんの少し前に食事をしたばかりなのに、そのことさえ思い出せないような「重度の記憶障害」の症状が出てくるようになるはるか前の段階で、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっていることに、認知症の専門家と言われる人達が気づいていないのです。
(再度コーヒー・ブレイク) 私達は、この始まりの段階を「軽度認知症」として区分しており、「軽度認知症」の次の段階、セルフケアには未だ支障が出てきていないが、 家庭生活に支障が出てくる段階を「中等度認知症」(中ボケ)の段階として、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階と区分しているのです。(注)「アルツハイマー型認知症」は、前頭葉を含む脳の機能レベルが認知症の症状として発現してくるものなのです。従って、上記三つの区分は、脳の機能レベルの三つの区分(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の各レベルごとの脳の機能レベル)に対応した症状の三つの区分(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の各レベルごとの症状)として区分し定義されていて、それらは全て極めて多数の「脳機能データ」により裏付けられているのが特徴です。
世間で認知症の専門家と言われる人達は、世界的に権威がある米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の規定の影響を強く受けているので、「重度の記憶障害」の症状を認知症診断の「第一の要件」と考えています。そのため、私達の区分である「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて出てくる「重度の記憶障害」の症状が現れるようにならないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。つまり、世間では、私たちが「アルツハイマー型認知症」の始まりの段階と考えている「軽度認知症」(「小ボケ)を単なる「不活発病」として、「中等度認知症」(「中ボケ)を「老化現象」としてしかとらえていなくて、見逃してしまっているのです。
(注)廃用症候群に属する生活習慣病である「アルツハイマー型認知症」は、脳の機能レベルのアウトプットが認知症の症状として現れてくるので、専門家達が騒ぎ出す末期の段階の症状(私達の区分で言う「重度認知症」の段階の症状)が現れてくるまでに、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階と回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階があるのです。 「DSM-4」は、「アルツハイマー型認知症」の要件について、「記憶の障害」(程度についての規定が欠けている)を第一の要件とし、失語、失行、失認又は実行機能の障害を第二の要件としているので(最後の項目に挙げられている実行機能というのが「前頭葉」の機能のことです)、回復可能な「早期の段階」を見逃してしまうことになるのです。定義に掲げてある要件自体に重大な誤りがあることをここで指摘しておきたいと思います。
○ アルツハイマー型認知症の症状の進行とその期間
60歳代以降の「高齢者」と呼ばれる年齢の人達の仲間入りをしたお年寄りが、趣味や遊びも知らない、友達づきあいもない、運動もしない、目標や生き甲斐もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続していると、左脳、右脳、運動の脳のどこからも十分な情報がこなくなった脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が、働く機会が極端に少ないために居眠りし始め、そのうち「寝たきり状態」になって、間違いなく「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです(この場合、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階が回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階で、次が回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階で、最後の末期の段階が回復が困難な「重度認知症」(大ボケ)という3つの段階の症状を示すのです)。
「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)では、「社会生活面」で支障が出てきているとはいっても、家庭生活面にもセルフケアの面にも特別の支障は起きてこないので、本人も家族も「意欲が少し衰えてきたのかな」くらいに軽く考えて、そのままナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されていくことになります(ここを「クリック」してください)。
その状態が3年間も続くと、左脳や右脳も老化を加速し機能が異常なレベルに低下していくので(使われる機会が少なすぎることに起因する廃用性の加速度的な機能低下)、症状が更に進んで「中等度認知症」(中ボケ)の段階になります。「中ボケ」のレベルになると、「家庭生活面」でも支障が出てくるようになります(ここを「クリック」してください)。なお、「中ボケ」の期間は、短い人で2年、通常は3年が基準となります。
それでも、セルフケアには特別支障がないし、言い訳をする時の口先だけは未だ達者なので、家族も「年のせいかな」くらいに考えて、そのままの単調な生活を続けていると、脳全体の老化が更に加速されるので、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の症状が発現してくることになります(「大ボケ」の期間は、身体がもつ期間、言い換えると何らかの病名で死亡するまでの期間続くことになります。「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてしまうと、回復する可能性がなくなるのです。)。「重度認知症」(大ボケ)の段階になってくると、「セルフケアの面」にも支障が出てくるので、日常生活面での全面的な介助または介護が不可欠となります(ここを「クリック」してください)。
○ 「アルツハイマー型認知症」の進行と段階的症状
「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが症状として現れてくるのが特徴です。「小ボケ」の脳機能レベルに対応する「小ボケ」の症状を示し、「中ボケ」の脳機能レベルに対応する「中ボケ」の症状を示し、「大ボケ」の脳機能レベルに対応する「大ボケ」の症状を必ず示すのです。私達は、「二段階方式」による神経心理機能テストを全ての被験者に実施して、各人の前頭葉を含む「脳の機能レベル」を三段階に区分して判定するとともに、定型フォームによる各人の生活実態を調査して認知症の症状の有無、個別の症状及び三段階に区分される「症状の段階」を判定します。その膨大なデータを解析し整理したものが標準化され様式化されています。従って私達の様式では、各段階ごとに軽い症状から重い症状へと症状が列記されているのです。皆さんは、表面に現れた症状しか観察することができないわけですが、私たちの区分と順番に照らしてみれば、発病者がどのレベルにいて、この先どのように症状が進行していくのかの大まかな参考資料にできると思いますので、活用してみてください(各段階ごとの「症状」を参照するには、ここを「クリック」してください)。
注)本著作物(このブログA-83に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。
エイジングライフ研究所のHP(ここを「クリック」してください)
脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)
http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist
http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a
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