今回は、みなさんがインターネットで検索してこられる関心が高いテーマについて、これまでのブログの中から選択的に関連内容をまとめ、総集編として、整理してみました。「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム、症状の進行の原因とその段階の区分、早期診断による回復の可能性と薬の服用による効果等について、比較的簡便に概観できることと思います。
あれもこれも ナイナイ尽くしで
出番が少ない 脳は老化を加速する By kinukototadao
○ 「アルツハイマー病」と「アルツハイマー型認知症」との差異に注意が必要
「アルツハイマー病」と「アルツハイマー型認知症」とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ人達がいますが、世間一般の人達に誤解と不必要な恐怖を生じさせるだけで、「百害あって、一利なし」だと思うのです。両者は本質が全く異なる病気なのだから、それぞれの呼称を「アルツハイマー病」(或いは、「若年性アルツハイマー病」)及び「アルツハイマー型認知症」(或いは、「老年性アルツハイマー病」)と使い分けるべきなのです。
両者は解剖所見ベースでは似ていても、発病の原因も、発病のメカニズムも、発病後の症状の進行の度合いも、回復の可能性も全て異なるものなのです。認知症の専門家とされながらも「アルツハイマー型認知症」のことをよく知らない人達が、「重度の記憶障害」の症状と「解剖所見」による特徴とが似ていることで両者を混同し、両者を総称して「アルツハイマー病」と言っているだけなのです。
○「アルツハイマー病」とは、そもそも「アルツハイマー病」とは、ドイツの精神科医アルツハイマー博士が1907年、52歳で発症し、急速に記憶障害や認知障害が進行して数年で亡くなった女性の症例を、新しい病気として発表したことに名前の由来がある認知症なのです。「アルツハイマー病」は、30歳代から50歳代までの若い年齢を対象に発病するので、厳密な呼称では「早発型アルツハイマー病」(或いは、「若年性アルツハイマー病」)とも言います。発病の原因は遺伝子の異常であり、特定の遺伝子に生まれつき異常がある人だけが発病する、極めて特殊なタイプの認知症なのです。博士は気づかなかったのですが、その後の研究により、アミロイド前駆体タンパク遺伝子 (APP)、プレセニリン1遺伝子(PSEN1)及びプレセニリン2遺伝子(PSEN2)の3つのタイプの遺伝子が「アルツハイマー病」(「若年性アルツハイマー病」)を発病させる「原因遺伝子」として同定されています。
働き盛りの「若い年齢」で発病し、僅か2~3年で寝たきり状態になるほど症状の進行が極めて急激です。「アルツハイマー病」は、現代の医療技術では、治すことも予防することも出来ません。幸いなことに、「アルツハイマー病」が認知症全体に占める割合は1%程度です。一般の皆さんの場合は、この本来の「アルツハイマー病」(厳密な呼称では、「若年性アルツハイマー病」)の人にお目にかかる機会は稀なはずです。
○ 「アルツハイマー型認知症」とは、認知症の大多数、90%以上を占めるのが「アルツハイマー型認知症」なのです。「アルツハイマー型認知症」は、主に60歳代以降の高齢者を対象に発病するので、厳密な呼称では「晩発型アルツハイマー病」、或いは「老年性アルツハイマー病」とも呼ばれます。皆さんが普段お目にかかるのは、実は殆どがこのタイプの認知症なのです。「アルツハイマー型認知症」は、60歳代より70歳代、70歳代より80歳代、80歳代より90歳代と高齢になる程発病する人の割合が多くなっていきます。その「アルツハイマー型認知症」については、原因も分からないし、治すこともできないと言うのが認知症の専門家とされる人達の主張です(日本だけでなく、世界中)。
自分なりの生き甲斐や目標がある生活を過ごすことで、日々使ってやることが脳の機能を正常なレベルに保つ上で不可欠の条件となるので、使われる場面が極端に減少するような生活は、極めて危険な生活ということになるのです。「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体のメカニズムからすると、これといった生き甲斐もなく、楽しんだり熱中したりできる趣味もなく、親しく交友する友達もなく、散歩程度の運動もせず、達成しようと心に決めた目標もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が来る日も来る日も繰り返される毎日を生きているということは、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の出番が極端に少ない毎日を過ごしていることになるのです。
そうした脳の使い方が日々繰り返されるだけの「単調な生活」では、「前頭葉」の根幹をなす機能(基礎的な機能)である「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」という「三本柱」の機能の出番が極端に少ないことになるのです。この「三本柱」の機能には、加齢と共に働きが衰えていくという「正常老化の性質」が備わっているのです。そのため、60歳を過ぎた「高齢者」と呼ばれる年齢のお年寄りが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々継続していると、お年寄りなら誰でも経験があるあの体験、「膝」の筋肉の衰えと同じようなことが、「脳」の機能にも起きてくるのです。
高齢者と呼ばれる年齢のお年寄りが、例えば足腰が痛いとか痺れがあるとか、何かの拍子に、出不精を決め込んで外に出ていかないで部屋にこもったままの生活をしていると、膝の筋肉が加速度的に衰えていくのと同じように、「三本柱」の機能を使う機会が極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続されていると、廃用性の機能低下が起きてきて、「前頭葉」を含む脳の機能が加速度的に衰えていくのです。脳の機能が加速度的に衰えていく結果として、異常なレベルに衰えた脳の機能レベルの直接のアウトプットとしての「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくることになるのです。
世間で認知症の専門家とされる人達から原因不明と言われている「アルツハイマー型認知症」は、「加齢とともに脳の老化が進む」(加齢に伴う正常老化)という(「第一の要件」)と「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」(廃用性の異常な機能低下)という(「第二の要件」)の二つの条件が重なり合うことの「相乗効果」によって、脳の老化が「加速度的に進んでいく」ことにより発病し及び更なる脳機能の低下の進行により症状が段階的に進行していき重症化していくというのが私達の考えであり、主張なのです(「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、ここを「クリック」してください)。
○ 三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状 「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベルのアウトプットそれ自体が認知症の症状となるのが特徴です。従って、「前頭葉」を含むどの「脳の機能」がどの程度異常なレベルに衰えると、どのレベルの「認知症の症状」が発現してくることになるのかという一定の診断基準を持たないと、正しい診断をすることもできないし、回復させることが可能な本当の意味での「早期の段階」を見つけることもできないのです。
症状の進行について言うと、「アルツハイマー型認知症」は、発病後の症状の進行が緩やかで、何年もかけて徐々にしか進んでいかないのが特徴です。発病後急激に症状が進行していき、僅か2~3年で寝たきり状態になってしまう狭義の「アルツハイマー病」とは、発病の原因だけでなくて、発病後の症状の進行度合いも全く異なるのです。
「前頭葉」を含む脳の機能レベルのアウトプットそれ自体が認知症の症状として発現する「アルツハイマー型認知症」は、回復の可能性という視点から「三段階」に区分される認知症の症状が発現してくるのが特徴なのです。このことが、認知症の専門家とされる人達に未だに認識されていないところに重大な問題があるのです。私たちは、「前頭葉」を含む脳の機能レベルとその直接のアウトプットである症状とをリンクさせて計測し及び判定し、回復の可能性の有無及び程度という視点から、症状を私たち独自の区分である回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)及び回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の3段階に区分しているのです。この視点と区分とは、正常な脳の機能レベルに回復させるために(「アルツハイマー型認知症」に対する治療)必須の条件である、「前頭葉」を含む脳を活性化させる「生活習慣」の構築及び実践の程度並びに周りのサポートの態勢を考える上で極めて重要な指標なのです。
(コーヒー・ブレイク) 米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断規定である「DSM-4」という、間違った内容の「診断基準」を金科玉条として信奉し続けている医師達は、治すことが期待できない末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて発現してくる症状だけに注目して「アルツハイマー型認知症」だと診断しているのです。そのため、「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達には、症状の区分などという発想自体が全くないのです。「二段階方式」を活用した早期診断による「回復」と地域予防活動による「発病の予防」という実践の成果に裏づけられた私たちの主張から見ると、「DSM-4」の規定は権威は世界最高でも内容がない(内容に重大な誤り)と言うしかないのです。
「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の機能だけが最初に異常なレベルに衰えてくるのが特徴なのです(「軽度認知症」の段階:発病の最初の段階であるこの段階では、左脳も右脳も運動の脳も未だ正常な機能レベルにある)。そのため「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「セルフケア」や「家庭生活」の面では何らの支障も起きてこなくて、「社会生活」の面だけに種々の支障が起きてくるようになります。
次いで、「左脳と右脳」も異常なレベルに機能が衰えてくる「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、「家庭生活」の面にも支障が起きてくるようになります。
最後に、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きだけでなくて、「左脳」も「右脳」も「運動の脳」までもが極めて低いレベルでしか機能できなくなってくる末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、「セルフケア」の面にも支障が起きてきて、日常生活に「介助」が要るようになるのです。
○「軽度認知症」(小ボケ)の脳の機能レベルとその症状の特徴 額のところにある「前頭葉」は、脳の最高次の機能です。運動の脳、左脳及び右脳を統括し、「脳全体の司令塔の役割」をしています。私達人間に特有な機能である意識的な(選択的な)思考や言動や行為の世界では、「左脳」が「デジタルな情報」の処理を行なうときも、「右脳」が「アナログな情報」の処理を行なうときも、「運動の脳」が「身体」を動かすときも、三頭立ての馬車(左脳、右脳及び運動の脳の「三頭の馬」)の御者の役割をしている「前頭葉」の状況判断とその指示なしには、勝手には働かない仕組みになっているのです。三頭の馬のどれかが働くときには、必ず事前に「前頭葉」からの指示があるのです。言い換えると、「前頭葉」自体が、三頭の馬を主導しつつ同時に協働して働くというのが、「意識的な世界」で人間の脳が働くときのメカニズムなのです。
「脳の働き方とその機能の発揮レベル」という視点から言えば、「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「左脳」も「右脳」も「運動の脳」も未だ正常なレベルにあるのです。3頭の馬はどれもまだ正常なレベルにあって、脳全体の司令塔の役割を担っていて「三頭建ての馬車」の御者である「前頭葉」の働きだけが「異常なレベル」に衰えてきている状態なのです。そのため、「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、発想、計画、創意、工夫、洞察、推理等「前頭葉」の各構成機能によるその「認知度」を左右している「三本柱」の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」が、様々な場面で、的確且つ十分には働くことができなくなっているが故の「認知症の症状」が発現してくることになるのです。
「軽度認知症」(小ボケ)の段階になると、発想が湧いてこないし、見通しも立たないし、何をどうするのかという「テーマの構想と計画や工夫」が的確に出来なくなるのです。意欲が出てこなくなって、毎日ボンヤリと過ごし、居眠りばかりするようにもなります。何かの「テーマ」に取り掛かっても、「注意集中力」が続かなくて、「あれも遣り掛け、これも遣り掛け」という風に、中途半端になってしまうのです。頭の回転が鈍くなってしまって、かってのようにテキパキと用事を処理することができないのです。その人らしい生活態度が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようにもなるのです。「人柄の本質」自体が変わっていくような症状を示してくるのですが、それは、「前頭葉」の評価の物差しとしての機能レベルのゆらぎに起因するものなのです。「軽度認知症」(小ボケ)のイメージは、何事も人を頼るようになって、一日や一週間の計画も立てられず、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」が特徴です(「小ボケ」の症状の詳しい類型については、ここを「クリック」してください」。
○「中等度認知症」(中ボケ)の脳の機能レベルとその症状の特徴 「アルツハイマー型認知症」を発病した後も、発病していることに気づかないままに相変わらず、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もせず、何らかの社会活動に参加する機会もない、文字通りナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していると、脳全体の廃用性の機能低下が更に進行していき、「中等度認知症」(中ボケ)の段階に入っていくことになります。「軽度認知症」(小ボケ)の段階が3年も続くと、私達の区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階に進んでしまうのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続している状況の下で、「前頭葉」を含む脳全体の加速度的な機能低下が更に進行していくことが原因なのです。
「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、脳全体の働き具合が異常なレベルになってきているのです。三頭建ての馬車の御者だけでなく、3頭の馬さえもが異常なレベルに衰えてくる、それが「中ボケ」の段階なのです。脳全体の働き具合が異常なレベルに入ってきた「中等度認知症」のお年寄りの脳の働き具合は、見かけ上は立派な大人の様相を呈していてもその実質は「4~6歳児」相当のレベルと考えれば、実態によく合致します。
「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、「前頭葉」の各構成機能によるその認知度を左右する「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能が「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその情報の記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなるのです。左脳がらみの論理的思考や計算、或いは言葉に対する理解や判断力、更には右脳がらみの色や形や時間や空間などに対する認知能力にも支障が出てきます。自分が置かれている状況の判断も、状況判断に基づく「テーマ」の発想や企画も、「テーマ」を構成する内容の組立或いはそのやり方の工夫も、実行するに際して事前に行われる洞察や推理やシミュレーションも、最終的な実行の決断も、「5~7歳児」相当のレベルの脳が行っているのです。
状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」面に支障やトラブルが起きてくるようになります。但し、「中等度認知症」の段階では、「家庭生活面」で支障が出てくるとは言え、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(セルフケア)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。そのため家族も、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えもせず、「年のせい」と考えて悠長に構えているのです。
「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできなくなります。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「DSM-4」が「第二の要件」に掲げている「失語や失行や失認といった重度の症状」及び第一の要件に掲げている「重度の記憶障害」の症状が発現してきていないので(「中ボケ」の段階では、こうした症状は未だ発現してこない)、せっかく家族が病院に連れて行っても、「アルツハイマー型認知症」とは診断されないのです。その診断基準自体には種々の問題がある「軽度認知障害」(MCI)という診断がくだされればまだマシな方、それが医療現場の実態なのです。
「中等度認知症」(中ボケ)のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできないのに口だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、未だ自覚があります。「意欲もわかないし、根気が続かないし、用事をてきぱき処理出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・・・」と自身が感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に大きな「不安」を抱いているのです。ところが「中等度認知症」(中ボケ)の段階になってくると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなってくるのです。自分の状態に対する自覚がもてないので、不安も全くと言っていい程に感じていないのです。逆に、「こんなところが、おかしい」と家族が指摘すると、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と言い張るのです。自分のおかしな言動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのです(「中ボケ」の症状の詳しい類型については、ここを「クリック」してください」。
「中等度認知症」(中ボケ)の段階までに見つけることが出来れば、本人が取り組む意欲が出てきそうな「テーマ」をメニューとした脳を活性化する「生活習慣」を構築し、日々それを実践することにより「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに回復させることは未だ可能なのです。ところが「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて(そもそも、本人には自覚がないのですが、家族を含む周りの人達にも状況が理解されていなくて)、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されたままでいると、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいき、「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていくことになります。
「重度認知症」の段階にまで「前頭葉」を含む脳の機能レベルが衰えてきてしまうと、もはや回復させることは困難となり、何らかの他の病気によって死を迎えることになるまで(身体が保つ限り)、症状の重症化が更に継続的に進行していくことになるのです(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の各期間については、ここを「クリック」してください)。但し、殆どの医療機関では、「アルツハイマー型認知症」の診断基準を米国精神医学会が定める「DSM-4」の規定の基準に依拠しているので、この「重度認知症」の段階の症状が発現してきて初めて、「アルツハイマー型認知症」と診断しています。その上、(インターネットで検索してみればその実態を容易に知ることができるのですが)末期の段階である「重度認知症」の枠内で比較的軽い症状の段階で見つけることを(回復させることが困難な「重度認知症」の段階で見つけることでありながら)「早期診断」と言っているのです。
○「重度認知症」(大ボケ)の脳の機能レベルとその症状の特徴 「アルツハイマー型認知症」の末期の段階であり、回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階は、「前頭葉」を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきているのです。左脳と右脳と運動の脳の働きも、幼稚なレベルの機能が僅かに残っている程度である上に、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」は殆ど機能しなくなっているのです。そのため、「前頭葉」の各構成機能の認知度を左右する「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能が僅かにしか働いていない状態なのです。「重度認知症」(大ボケ)の段階のお年寄りの脳の働き具合は、「3歳児~零歳児」のレベル相当と考えて下さい。
脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が言わば「寝たきり」の状態になっている「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、(その最も軽い段階でも)これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「状況」或いは「テーマ」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や身体に浸みこむほどの経験がないテーマに対しては殆ど対応できないのです。
脳の司令塔の「前頭葉」は、僅かにしか機能しなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「重度認知症」(大ボケ)は、脳の機能を回復させることは困難となり、且つ症状が更に進行していく中で、自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」の面にも支障が出てきます。最も軽い段階でも、食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分でできなくなり、日常生活に「介助」が要るようになります(「大ボケ」の症状の詳しい類型については、ここを「クリック」してください」。
○ 「アルツハイマー型認知症」の治療の方法と脳機能回復の可能性 「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する日々の下で、「前頭葉」を含む脳の機能が「廃用性の機能低下」により、加速度的に異常なレベルに衰えてくる結果として、認知症の「症状」が発現してくる病気なのです(異常なレベルに衰えた「前頭葉」を含む脳の機能レベルの直接のアウトプットが認知症の症状として発現する)。従って、「アルツハイマー型認知症」を治療する方法とは、脳の使い方としての「生活習慣」の改善によって、異常なレベルに衰えた「前頭葉」を含む脳の機能を正常なレベルに引き戻すこと、それしか他に方法はないのです。
日常生活の様々な場面で「前頭葉」を含む脳全体を活性化させてやること、「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」、或いは「社会活動」への参加等を自分なりのやり方で楽しむ生き方を「生活習慣」化し、自分なりの目標や生き甲斐がある生活を日々送ることが不可欠となるのです。言い換えると、「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」という「前頭葉」の「三本柱」の機能の出番を増やしてやる(しっかり使ってやる)ことにより活性化されるような「テーマ」の継続的な実行を「生活習慣」化することしか他に方法はないと言うのが、脳の機能データと実践に裏付けられた私達の結論なのです。但し、「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えてしまった時は、「前頭葉」の機能自体が殆ど働かなくなってきているので、本人が状況を理解することができない上に、脳を使おうとする「意欲」や脳を使うときに必要な「注意集中力」及び「注意分配力」の機能が僅かにしか(或いは、希にしか)働かなくなるので、正常なレベルは愚か、「小ボケ」や「中ボケ」のレベルに回復させることさえも、もはや期待できなくなってしまうのです。
○「軽度認知症」(小ボケ)の段階で見つけた場合の治療と留意点 「軽度認知症」(小ボケ)の段階で見つけて対策を講じると、容易に回復させることができるのです。「アルツハイマー型認知症」の最初の段階、「軽度認知症」(小ボケ)の症状が出てきているお年寄りの症状を治す(「前頭葉」の働きを正常なレベルに引き戻す)には、「前頭葉」の出番が多い生活に変えて、「前頭葉」の働きを活発にしてやることが必要不可欠、唯一無二の方法なのです。飲むだけで(あるいは、貼るだけで)、「前頭葉」の3本柱の機能である「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能が活性化してくるような薬等開発できるはずがないのです。
ところで、脳を使うとか、脳を活性化させる方法というとみなさんは、すぐに読書や計算、つまり、「左脳」を使うことだと考えていませんか。お年寄りと言われる年齢の高齢者にとって、「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり楽しむ機会をできるだけ多く日々の生活の中に取り込むことなのです。趣味や遊びや人づきあいなどを楽しむことで、自分なりの目標や喜びや生き甲斐があって、取り組む意欲が湧いてくるような「テーマ」を日々の生活に取り込んで暮らすようにするのです。
やるのが楽しくて、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲や注意の集中力や注意の分配力」の出番が多くて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような、趣味や遊びや人づきあいを楽しむ生活とその仕方を工夫するのです。周りが助けて、本人なりに毎日を楽しめる「生活習慣」を組み立てるのです。過去の生活習慣にさかのぼって、どんなことに熱中していたのか、どんなことなら意欲を持って取り組めていたのかを調べてあげることも必要です。
趣味も遊びも人づきあいも苦手と言う人には、「運動の脳」からの刺激が意外と効果的なのです。一日一時間の「速歩での散歩」が目標(5000歩が目安)です。その場合も、散歩をするのが楽しくなるような工夫が大切です。散歩するのに安全な場所を選び、散歩してみたくなるような場所を探し、家族や友人が談笑しながら一緒に歩いてあげると一層効果が大きくなります(ここを「クリック」してください)。
○「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけた場合の治療と留意点 「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけて対策を講じると、回復させることは未だ可能なのです。治療としての「脳の機能」を回復させるための考え方及び方法については、「中等度認知症」の場合も「軽度認知症」と基本的には同じ考え方をします。
「軽度認知症」の段階で見つけた場合、異常なレベルに機能が衰えた「前頭葉」の働き具合を正常なレベルに回復させるには、やるのが楽しくて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような、趣味や遊びや人づきあいを楽しむ生活の仕方の工夫とその継続が大切(「右脳」の活性化を主たる目的とした「生活習慣」)だと言いました。「前頭葉」の出番が多い生活に変えて、「前頭葉」の働きを活発にしてやることが必要不可欠、唯一無二の方法だと言いました。「中等度認知症」で見つけた場合は、「前頭葉」の機能が更に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常な機能レベルにあった「左脳」も「右脳」も「運動の脳」も異常なレベルに機能が衰えてきているので、その分、「前頭葉」を含む脳を活性化させる「テーマ」の選別や実行させる程度や態様の在り方に対する工夫及び配慮並びに周りの支援が格段に強く要求されてくることになるのです。
○ 「中ボケ」の脳リハビリに対する家族の心構え 「中ボケ」は、「小ボケ」より達成目標を下げると共に、本人が頑張って実践すべき脳活性化のための「テーマ」自体の計画や実行について、家族自身も一層の関与と手間をかけることが必要不可欠になります。「中ボケ」のレベルになると、「左脳も右脳」も異常なレベルに衰えてきているために、「時の見当識」や「所の見当識」と呼ばれる認知機能が異常なレベルに衰えて、揺らいでくるのです。そのため、「今日が何月何日なのか」が分からなくなってくるのです。今までに行き慣れている所に行くのにも、間違うようになってくるのです。
その上、「自分の脳の働き具合が、どこかおかしいという自覚もない」のが普通なのです(自分の脳の働き具合がどこかおかしいという自覚がもてるのは、「小ボケ」のレベルまでになります)。脳を活性化させるための生活習慣に取り入れる「テーマ」は「小ボケ」と同じでも、やり方や程度や態様及び頻度を変える必要があるのです。従って、家族の深い理解と十分な後押しとが、「小ボケ」の段階よりはるかに重要な役割を担ってくるのです。そのため、家族の負担が極めて重くなります。但し、「中ボケ」までなら、未だ脳の機能レベルが正常なレベルに回復する可能性があるので、家族には自分自身のためにも頑張って欲しいのです。
●家族がいくら説明して、おかしな言動があるといっても、「わたしは、ボケてなんかいないよ、何ともないよ」と言い張って、一向に家族の話を聞こうとはしなくなります。「中ボケ」の段階に特有な色々な症状が出てきていて、「家庭生活」面に様々な支障やトラブルが起きていても、脳の機能レベルが原因となり(性格が原因ではない)自分自身の問題としての理解ができないのが「中ボケ」の特徴でもあるのです。
●「中ボケ」のレベルでは、脳を活性化するための努力の必要性を理解することも出来ません。それでいて、理解力や判断力が衰えてきている割に口は立つので、口先だけの色々な理由を並べ立てます(単にやりたくないが故のヘリクツのたぐい)。家族が必死になって前から引っ張ったり、後から押してあげないと、脳が活性化するような生活習慣の改善(脳リハビリ)に真剣に取り組もうとはしないのです。
●周りの人(できれば同居の家族)が、本人の過去の趣味や遊びや人づきあいの仕方の程度とか生活環境などを考えて、「テーマ」自体とそのやり方を具体的に計画してあげてください。具体的な生活習慣の改善を計画し、家族全員で本人を支えて、「脳リハビリ」の実行に一緒に取り組んであげることが、改善への道につながる不可欠の条件になります。
●口先だけが達者な「中ボケ」に対する脳リハビリのコツは、本人の発言に惑わされずに、行動を根気よく観察することが大事です。着衣・食作法・トイレや入浴・家事(炊事・洗濯・片付け・掃除・庭や畑仕事)等の面での行動や言動或いは実行のレベルをよく観察することが大切です。身についた行動は、スムーズにできることもたまにありますが、判断が必要な状況になると、とたんにトラブルが発生します。その状態を、幼児の行動レベルと比較してみると、よく理解できるはずです。幼稚園の年少・年中・年長に相当するレベルと考えると、納得がいくはずです。
●行動は幼稚園レベルに低下していても、数十年生きてきた体験そのものは消えるわけではないので、「言葉遣い」や「態度」にはそれなりの注意が必要です。「左脳」よりも「右脳」の方が衰え方の進行が緩やかなので、「言葉や論理」に対する理解が十分でなくなっても、感覚的或いは感情的な部分は家族が思っている以上に未だ働くのです。
●「脳リハビリ」の項目や「テーマ」は「小ボケ」と同じでも、幼稚園児に対する指導と同じように、噛み砕いて簡単にすることが必要です。目標レベルが高すぎないことが肝心です。本人が過去に熱中していたり、得意だった分野や「テーマ」があれば、必ずそれを取り入れるのです。「昔取った杵柄」が頼りとなります。
(コーヒー・ブレイク) 「大ボケ」のレベルにまで脳の機能を衰えさせてしまうと、回復の可能性はなくなります。その一方で、「身体だけは何時までも保ちつつ、脳の機能が更に衰えていく」のが「アルツハイマー型認知症」の特徴なので、家族自身が共倒れになってしまうのです。老老介護のケースでは、介護している家族自身が、介護に追われる生活の中で、自分なりの人生を楽しむ機会を殆どなくしてしまい、或いは身体も心も疲れ果ててしまい、自身も「アルツハイマー型認知症」を発病することになってしまうのです。「小ボケ」や「中ボケ」のお年寄りを介護する場合は、頑張れば頑張るほど「回復という成果」がついてくるのです。ところが、「大ボケ」のお年寄りを介護する場合には、尽くしても尽くしても其の甲斐はなく、症状が進んでいくだけなのです。
○「アルツハイマー型認知症」の診断に関わる医療現場の問題点 前述したように、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であり、早期の段階(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階)で見つけると「回復」させることができる病気なのです。更には、脳の使い方という視点での「生活習慣」の見直しと「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる「生活習慣」の実践により発病自体を「予防」することができる病気なのです。
ところが、認知症の専門家とされる人達は、発病自体を「予防」する何等の対策も講じず、回復可能な実質的な意味での早期の段階(「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階)を見つけるための研究も工夫もせず、回復困難な末期の段階(「重度認知症」)でしか見つけられないでいるのが現状なのです。医療機関が早期診断と銘打って行っているその診断の実態は、「重度認知症」の枠内での早期の意味であって、実質的な意味での早期診断ではないのです。「重度認知症」の枠内での早期で見つけたところで、もはや正常なレベルに脳の機能を回復させることはできないのです。何種類かの薬を飲ませてみたところで、症状の進行を遅らせる効果があるという処方の効果自体が極めて疑わしいものと私たちは考えているのです(服用の効果については、ここを「クリック」してください)。医療機関では、「重度認知症」の段階にあって、且つその後半になって初めて発現してくるいくつかの典型的な重度の症状(「重度の記憶障害」や「失語」や「失行」や「失認」等の末期の段階にならないと発現することのない極めて重度の症状)を基準にして「アルツハイマー型認知症」と診断するので、せっかく見つけても治すことが出来ないのです。
○「軽度認知障害」の概念を主張する学説が抱える問題点 「軽度認知障害」(「MCI」:Mild Cognitive Impairment)とかいう、意味不明の概念が認知症の専門家とされる人達のあいだで最近もてはやされていて、診断の基準にまでされているのです。その「軽度認知障害」とは、正常(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」は、彼らは認知症と認めていないので、この中に含まれることになる)と認知症の中間ともいえる状態であるとされているのです(この説明自体、意味不明というしかないのですが)。正常でもなければ、認知症でもないという説明なのです。認知症というのは、そもそも認知機能自体が異常な状態なのですから、「正常でもなければ異常でもない状態を指す」という定義は意味不明と言うしかないのです。
その定義によると、以下のような5つの要件が提示されているのです。(1)年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない「記憶障害」が存在すること。(2)本人または家族による「物忘れ」の訴えがあること。(3)全般的な認知機能は正常範囲であること。(4)日常生活動作は自立していること。(5)但し、「認知症」ではない。
すなわち、「記憶の障害」があって「物忘れ」の自覚があるが、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はないかあっても軽度のものであるとされているのです。その上、「軽度認知障害」と判定された人は年間で10~15%が認知症に移行するとされ、「認知症」の前段階とされているのです。そもそも「記憶の障害」を「アルツハイマー型認知症」診断の要件にしていること自体が時代遅れというしかないのです(「DSM-4」の改訂版となる「DSM-5」では、「DSM-4」で第一の要件とされていた「記憶の障害」という要件は診断の要件から外される見通しなのです)。
その上、「前頭葉」の機能レベルを含む脳全体の機能レベルを判定することもしないで、「記憶力の低下以外には明らかな認知機能の障害がみられない」としていること自体、重大な欠陥を内包しているのです。「認知機能」を問題にするのであれば、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能がどの程度の機能レベルにあるのかを判定することが不可欠の条件になるはずなのです。そもそも「前頭葉」の機能レベルの判定なしに、「前頭葉」を含む脳の認知機能の機能障害の有無及び程度を判定することはできないからです。
注)本著作物(このブログA-98に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。
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機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)
http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist
http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a
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