認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の予防と早期診断による回復(建白書その2:B-92)

2017-10-15 | アルツハイマー型認知症の予防を国民的テー

    

5 「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

○ 私たちの主張の根拠となるのは、「脳機能データ」の解析結果

(1) 世界中の認知症の専門家とされる人達から、発病の原因さえも分からないとされている「アルツハイマー型認知症」について、発病のメカニズムを解明し、理論面から体系化したのは、私たちが世界で初めてなのです。私たちは、脳が壊れてもいないのに、言い換えると、何等の「器質的な病変」が全く確認できないのに、認知症の症状が発現してくることに焦点を当てたのです。私たちが意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す過程で、『何が、どのようにして起きてくるのか、その機序を探ろう』と考えたのです。そこで、脳全体の司令塔の役割を担っていて、左脳、右脳及び運動の脳という三頭立ての馬車の「御者」である「前頭葉」の機能に目を付けたということなのです。私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」を構築し、統括し、支配し、コントロールしている「前頭葉」の機能構造の特徴並びに「前頭葉」を含む脳全体の「機能レベル」とそれに厳密にリンクした症状という視点から、私たちが開発した「二段階方式」という精緻な「神経心理機能テスト」を活用して、14689例に上る「脳機能データ」を集積し、それを解析したのです。その結果、「二重構造の問題」、「正常老化の性質」及び「廃用性の機能低下」という核心的なテーマに辿り着いたのです。

(2) 「加齢」の進行と言う条件下では、「正常老化」のカーブを描いていただけのものが(緩やかに機能が低下していきつつも、正常な機能レベルの範囲内にある)、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無いナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下が加重された条件下では、異常な機能レベルに向かって放物線のカーブを描きながら加速度的に機能低下が進行していくことに気づいたのです。三頭立ての馬車の御者である「前頭葉」の機能が正常なレベル、正常下限のレベル、異常域に入ってきたレベル、更には、馬である左脳及び右脳の機能レベルが異常域に入ってきたレベルという風に、様々な機能レベル(すなわち、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル)に厳密に対応する形での症状(正常なものとしての症状から、異常なものとしての症状迄)を集積し、解析していくことによって、「アルツハイマー型認知症」の症状が廃用性のものであり、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い「単調な生活」の繰り返しの日々とその継続、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続することが、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化を惹き起こす『核心的な要因である』ことを突き止めたのです。様々な仮説の前提とされている「器質的な病変」とは無関係であり、加えて、「記憶障害」とも無関係であることを突き止めたのです。

  

(2)そのノウハウを体系化し、「二段階方式」の手技のソフトという形で実用化し、北海道から九州に至るまで全国440を超える市町村で、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」の実践を指導してきたのです。1995年2月に活動を開始して以降、急速に全国的に導入先が拡大していきましたが、合併前に320に上った導入先の数は、平成の大合併の多大な影響を受けて、合併後の新規締結による導入先の数は120までに減少したのです(吸収合併した市側が吸収された側独自の業務の継続を認めなかったことが、最大の原因です。『合併後の対応の仕方が、民間とは、全くのこと異なっていた』のです)。又、合併後も有償期間は5年のままに維持したこともあり、その活動は、現在下火の状況にあります(民間の企業とは異なり、市町村の場合は、有償期間の満了により使用料が不要になると、なぜか活動が下火になっていくのです。予算化が必要でない事業は、人の配置も考慮されなくなり、いつの間にか消えて行ってしまう)。こうした経験から、現在の使用許諾契約の有償期間は、10年の長期にしてあります。事業の継続という面で言うとき、予算化の必要の有無が極めて重要なものとなる市町村の場合は、有償期間が長期に亘ることにより予算化が必要な期間も長期に亘るので、活動が長期に亘り消滅することは無いのではと考える(期待する)からです。

  

(3)とはいえ、「東日本大震災」の被災地の高齢者達に現在起きていて、認知症の専門家たちから(気づかれないで)見逃されている状況、他のどの市町村でも起きなかった規模と発病率の高さでの「アルツハイマー型認知症」の発病並びに何等の調査も対策も実施されないで放置されたままで居るが為に症状の重症化が進行していくと言う状況が、闇の中に閉じ込められたままで進行しているという状況に対して、何等かの措置が{例えば、30くらいの市町村を対象とし、且つ、「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」(私たちが規定する発病の第一の要件の該当者)を対象とした、「二段階方式」の活用による「全数調査」を実施し、発病者の男女別の人数及び重症度の分類調査を確認する}必要となる状況に在ると考えるのです。「東日本大震災」の被災を「キッカケ」として、何事に対しても「意欲を喪失」してしまうという状況が継続している中で、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無いナイナイ尽くしの「単調な生活」に入って行ったお年寄り達が、『半年から1年が経過した後「アルツハイマー型認知症」を発病する』こととなり、小ボケの期間が3年、次いで中ボケの期間が2~3年、発病してから5~6年目以降は末期の段階である大ボケの段階』に入るという、「段階的症状の各期間」の指標から考えるとき、そろそろ、「大ボケ」の段階に入ってきた「お年寄り」達が、然も大量の規模で発現してきているはずだと私たちは考えているのです。早い人の場合であれば、「大ボケ」の段階の初期の症状が発現してきている人達(「大ボケ」の段階としての前半の症状であり、脳の機能面から言うと、MMSEの得点が10点に近づいている人達、言い換えると、MMSEの下位項目である「時の見当識」が、昼夜の区別はつくものの、今の季節が何時なのかが分からなくなってきている人達)が、認知症の専門家達が想像する以上の大量の規模で発現してきているはずだと、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム及び症状が重症化するメカニズムに照らして、私たちは考えているのです。

これまで市町村で実践してきた住民参加型の「地域予防活動」による成果を、世の中に再び、且つ大規模に広めていき、『もっと小さな「地域単位」で、且つ、講演や予防教室の開催回数をもっと増やし、もっと密な内容での生活改善の実践を指導し展開していきたい』と、「古希」を迎えた今は、強い想いの下で考えているのです。認知症の専門家とされる人達、特に医療現場で診断に従事している医師達がアルツハイマー型認知症の症状であると判定するレベル(私たちの区分で言うと、「前頭葉」を含む脳全体の使い方としての「生活習慣」の改善と工夫に基づく治療である「脳のリハビリ」により回復させることが最早困難となる末期の段階である大ボケ」の段階)或いは、「DSM-4」の基準が「アルツハイマー型認知症」の発病であると規定する段階、即ち、「大ボケ」の更に後半の段階(MMSEの得点が一桁になって、失語や失認や失行の症状が確認されるようになってくる段階)のお年寄り達の存在が大量に確認されると、認知症の専門家とされる人達が、「アルツハイマー型認知症」の発病と考え、且つ、その人数の余りの多さに驚くことになるので、マスコミを含め大騒ぎになると考えられるのです。

そこまで行ってしまったのでは遅すぎるのです。手遅れと言うか、「脳のリハビリ」の実践による回復の途(症状が改善する途)が閉ざされてしまい「介護」の方法しか残されていないお年寄り達ということになる訳なのですから。総選挙の洗礼を受けて信任されたばかりの政権担当与党の政策として、そうした末期の段階のお年寄りを被災した家族が介護する等絶対にあってはならないことだと考えるのです。老々介護、認認介護、介護離職は、世界に冠たる繁栄を謳歌し、世界の将来を先取りする形で進行している超高齢化社会の見本となるべきこの日本に有ってはならない社会現象であると考えるのです。実施の規模が小さくて、密度も緩やかな先行的な実践でしかなかったとはいえ、私たちが指導してきた住民参加型の「地域予防活動」という画期的で具体的な「解決策」が有るのですから。

 

 (4)出来るだけ早く現状を把握して、症状の個別のレベルを判定して、本当の意味での早期の段階にあるお年寄り(未だ、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階にあるお年寄り)に対しては、脳の使い方としての「生活習慣」の改善である「脳のリハビリ」を実施すれば、「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な機能レベルに回復させることが出来る(「アルツハイマー型認知症」の症状を治すことが出来る)のです。

注)世界中の専門家達から今なお原因不明の病気とされている「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明する上で、極めて重要な要素、それは、「前頭葉」の三本柱の機能には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化の曲線」が存在することなのです。それなりに「前頭葉」の出番がある「生活習慣」を維持していても、加齢とともに機能が緩やかにではあるが直線的に衰えて行くという性質があるのです。「左脳」の働きが核となる「仕事」とは無縁の日々となる「第二の人生」が始まったばかりの60~65歳頃には、「前頭葉」の「三本柱」の機能レベルが、最も高い18歳から20歳過ぎ頃のほぼ半分くらいにまで衰えてきていることが注目すべき要点(ポイント)なのです。

二段階方式」を活用して集積した「脳機能データ」の解析により、「前頭葉」を含む脳の機能の加齢による老化という要因を発見し、且つこの要因に着目し、『「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」であること』と言う条件を「アルツハイマー型認知症」の発病の「第一の要件」として私たちは規定しているのです。私たちが集積してきたデータによる予測では、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りの年齢別の割合は、「第二の人生」が始まる60歳代では12%となり、70歳代では30%、80歳代では二人に一人となる50%、90歳代では75%を数えていて、加齢の極まりである100歳代では97%にもなるのです。但し、この数値は、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階の全てを含む数値であって、医療現場が発病と診断している及び厚労省が発病者数として発表しているのは、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である大ボケ」の段階の人達だけであることに注意していただきたいのです。厚労省が推定値として発表している我が国全体で500万人と言う数値には、私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階のお年寄りは含まれていないのです。実は、「小ボケ」と「中ボケ」とを併せた数は、「大ボケ」の数の2倍にもなるのです。

 

老化のカーブを左右する要素は、脳の使い方としての「生活習慣」

(1)自分なりの生き甲斐や達成すべき目標があり、趣味や遊びや交遊や運動を楽しむ生活の機会が多くあり、地域興し等の活動にも興味があるお年寄り、日々の生活の中で、たくさんの量と質のよい情報が「前頭葉」に送られてくるような「生活習慣」が継続されているお年寄りは、老化の曲線は緩やかなものとなり、身体が持つ限り脳も保てる、所謂「かくしゃく老人」への道が開けてくるのです(「かくしゃく老人」である場合の特徴として言えることは、脳の使い方としての「生活習慣」が、早々とボケていく「お年寄り」のそれとは、対極の内容の「生活習慣」を送っているということなのです。世の中で言われているような「食生活としての生活習慣」ではなくて、「脳の使い方としての生活習慣」の顕著な相違が存在するのです)。

「アルツハイマー型認知症」は、老年性アルツハイマー病とも別称されているように、発病する対象者は60歳を超える年齢の高齢者であり、60歳代よりは70歳代の方が、70歳代よりは80歳代の方が、80歳代よりは90歳代の方が、発病率が高くなっていくのです。「発病の原因」そのものが、加齢と言う要素と脳の使い方としての「生活習慣」という要素に起因したものであるが故に、年齢が上がれば上がるほど、発病するリスクが高くなっていくという特徴が、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症の特徴なのです。

(2)上述した年齢別の発病率からも明らかなように、「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」であれば(私たちが規定する発病の「第一の要件」の充足)、誰もが「アルツハイマー型認知症」を発病する訳ではないのです。そこには、もう一つ別の明確な条件が存在するのです。それこそが、発病の「第二の要件」として私たちが規定する条件、脳の使い方としての「生活習慣」なのです(ここに言う、生活習慣とは、「食生活」ではないことに注意してください)。

私たちが規定する発病の「第二の要件」とは、脳の使い方としての生活習慣、即ち、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が、継続されていることなのです。ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていて、量も少なく、質も劣る情報しか脳に送られてこない(左脳、右脳、運動の脳を介して、最終的には「前頭葉」に送られてくる種々の情報)「生活習慣」が継続されているお年寄りは、発病の「第一の要件」(正常老化による機能低下)と「第二の要件」(廃用性による機能低下)とが同時に充足される相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の機能が加速度的で異常な機能低下の曲線を描き、急速に低空飛行の状態に入っていくことになるのです(「二段階方式」の活用により集積した14689例にも及ぶ「脳機能データ」が示す「加速度的な老化曲線」のデータが、実証データなのです)。

   

○ アルツハイマー型認知症の症状は「前頭葉」の機能レベルを基礎

(1)「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の「高齢者」が、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」(脳の使い方としての「生活習慣」)を継続させていると、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていき、その行き着く先に「アルツハイマー型認知症」の発病が待っていると言いました。  

そこに言う廃用性の機能低下の場合は、「前頭葉」の機能(就中、「前頭葉」の三本柱の機能)が最初に衰えを開始し進行していき、次いで、左脳、右脳、運動の脳の順に衰えが開始され、進行していくのです(詳細については、後述)。廃用性の機能低下が原因で、「前頭葉」の三本柱の機能が衰えていくとき、注意の分配力、注意の集中力、意欲の機能の順に早くに衰えていく、即ち、機能がより高度で複雑なものから、より低いものへと順番に衰えていくのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです(添付の資料である「MMSE下位項目の項目困難度」の指標のデータを参照してください)。

(2)脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」の機能が廃用性の加速度的で異常機能低下の進行により異常なレベルに衰えてきたその時から左脳も右脳も運動の脳も、その全てが未だ正常な機能レベルに在ることに注意すること)、「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベルのアウトプットとしての症状が、「アルツハイマー型認知症」の症状として発現してくるのです。以下に要点を概説するように、私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」では、「前頭葉」が「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」により構成される三頭立ての馬車の「御者」の役割を担っているのです。「前頭葉」の機能レベルこそが脳全体としての機能レベルの核心なのであり、認知症の症状、「アルツハイマー型認知症」の症状自体も、『「前頭葉」の機能レベルを核心とした脳全体の機能レベルを直接に反映したものとなる』のであって、「記憶障害」に起因した症状ではないのです。

(3)私たち人間の意識的な世界では、全ての思考、行為、行動や言動が、或いは、感情や表情の表出が、必ず「前頭葉」の機能を介してアウトプットしてくる機構になっているのです(「前頭葉」が、脳全体の司令塔の役割を担いつつ、「意識的な世界」を構築し、統括し、支配し、コントロールしている=三頭立ての馬車の御者が「前頭葉」)。もう少し詳しく説明すると、私達の「意識的な世界」では、「前頭葉」が、脳全体の司令塔の役割を担っていて、左脳、右脳及び運動の脳と協働し、且つそれらを統括し、支配し、コントロールしながら、状況の理解と判断、状況の判断に沿った「テーマ」の発想と選択、選択した「テーマ」についての実行すべき内容の企画や計画、実行結果に対する考察、洞察、推理やシミュ・レーション、シミュ・レーションに基づいた実行内容の修正、実行手順の組み立て、実行の程度及び態様の考察と選択、更には、実行の決断、決断に基づく脳の各部への実行の指令等を行っているのです(Executive Function)。こうした過程での個別認知機能の機能の発揮度を左右し/下支えしているのが「前頭葉」の三本柱の機能と私たちが名付けている「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能であり、就中、「注意の分配力」の機能の働きが極めて重要なものとなっているのです(猶、「前頭葉」の三本柱の機能の働き具合、機能レベルを精緻に判定できるのが、「かなひろいテスト」なのです。このテストは、この点の精緻な判定に関して言うと、f-MRIやPETよりも優秀なのです!)。

(4)このメカニズムの下で脳全体が機能するが故に、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、「キッカケ」を契機としたナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の開始とその継続の下で、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により異常なレベルに衰えてきたことに起因して(リンクして)、それを直接反映したアウトプットとしての症状、「アルツハイマー型認知症」の「段階的な症状」が発現してくることになるのです。そして、脳の機能が「小ボケ」の段階では、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに在るその総体としての脳機能レベルのアウトプットそれ自体が「小ボケ」の症状として発現するのです。脳の機能が「中ボケ」の段階では、「小ボケ」の段階よりも更に加速度的に機能が低下してきた「前頭葉」の機能に加えて、「左脳」及び「右脳」の機能も異常なレベルに衰えてきて、その総体としての脳機能レベルのアウトプットそれ自体が「中ボケ」の症状として発現するのです。脳の機能が「大ボケ」の段階では、「中ボケ」の段階よりも更に加速度的に機能が低下してきた「前頭葉」の機能に加えて、「左脳」及び「右脳」の機能も「中ボケ」の段階よりも更に異常なレベルにあって、更には「運動の脳」の機能も異常なレベルに衰えてきて、その総体としての脳機能レベルのアウトプットそれ自体が「大ボケ」の段階の症状として発現するのです。認知症の専門家とされる人達は、(小ボケ及び中ボケの段階の症状が存在していることを知らないで、見落としているが故に「アルツハイマー型認知症の症状」と単に考えている(実は「大ボケ」の段階の)症状だけを(治せないものとの前提に立っていて)、単に羅列しているだけなのです。

  

(5)「脳のリハビリ」により回復させることが可能である(認知症の症状を治すことが可能である)本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う小ボケ及び中ボケの段階)の症状は、認知症としての症状であることが気付かれないで居て(見落とされていて)、「アルツハイマー型認知症」の発病としての症状であることが見過ごされているのです。その内の一部の症状が、MCIMild Cognitive Impairment)とか言う極めて杜撰で粗雑な概念であり、基準である考え方の下に、「アルツハイマー型認知症」を発病するリスクが高い状態(発病の予備状態)として、説明されていたりするのです。

これらの場合に注意すべきことは、「アルツハイマー型認知症」の症状は、「器質的な病変」が発病の原因となっているのではなくて、及び「記憶障害」に起因して症状が発現してくるものでもなくて、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の加速度的で異常な脳機能低下の進行が発病の直接の原因だと私たちは主張しているのです。そうであるが故に、極めて微量のアミロイドベータの蓄積、或いは、タウ蛋白の蓄積を、どれ程早い段階で検出しようとも、「アルツハイマー型認知症」の発現を検知することにはならない、「早期発見」には繋がらないのです。ハーバード大学や東京大学が向かおうとしている新たな方向は、根本的な誤り、極めて重大な誤解を前提とした発想に過ぎないのです。

 

廃用性の機能低下が原因であるからこそ、本当の意味での「早期の段階」で見つければ、「回復」させる(治す)ことが可能なのです

(1)発病の最初の段階となるのが、「軽度認知症」(小ボケ)の段階で、次いで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階があって、最後に、「重度認知症」(大ボケ)の段階があるのです(小ボケに始まり、中ボケの段階を必ず経由して、大ボケの段階に至るという経路が「アルツハイマー型認知症」に特有な症状重症化の過程の特徴なのです)。

医療現場では、誤りだらけの内容が規定されていることにも気づかないで居て、あの「DSM-4」の規定の基準に依拠して診断が行われているのです。第二の要件で確認が要求されている失語や失認や失行の症状が確認されるお年寄りとは、末期の段階である「大ボケ」の段階の枠の中でも更に後半にならないと発現が確認されない極めて重度の症状が発現しているお年寄り達なのです(MMSEの得点が14点以下 0点までが「大ボケ」の段階なのですが、失語や失認や失行の症状が確認されるお年寄り達は、30点が満点であるMMSEの得点が一桁の得点にしかならない程、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが低下してきている人達、言い換えると、極めて重度の症状を呈している人達のことなのです)。

(2)医療現場では早期診断と銘打った診察が横行しているのですが、それは、「脳のリハビリ」により正常なレベルに「前頭葉」を含む脳全体の機能を回復させることが出来る(認知症の症状を治すことが出来る)本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)ではなくて、「失語や失認や失行の症状」の発現が未だ確認されない段階とはいえ、あくまで、末期の段階であり、「脳のリハビリ」により回復させることが困難となる「大ボケ」の段階で見つけて居るにすぎないのです。『早期診断とは名ばかり』なのです。末期の段階であり、回復させることが困難となる「大ボケ」の段階で見つけることに何の意味があるのか、医師としての良心の呵責を感じないのかと問いたいのです。その上、効きもしない「薬」を処方してもいるのです(『症状を治す効能は有しないが、ケースにより、半年から1年程症状の進行が遅くなることが有るかも知れない』等と、製薬会社の受け売りのままに処方しているのです。医師が気にするのは、副作用の有無とその程度だけなのです。「症状を遅らせる効能を有する薬は存在しないのです(このブログの「A-34」を参照)。

(3)「脳のリハビリ」により正常なレベルに回復させること(厳密にいうと、前段階の中ボケの段階にさえも)が困難となるという意味での末期の段階である「大ボケ」の段階は、症状の重さの幅が大河の川幅のように極めて広いのです。「大ボケ」の枠組みの中で、何等かの他の病気(老衰を含む)が原因で死を迎えることになるその時まで、症状の更なる重症化が進行していくことになるのです(「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なのであり、「アルツハイマー型認知症」が直接の原因で死亡するということは起こり得ない事なのです。「アルツハイマー型認知症」が直接の原因で死亡したとの診断は、診断した医師が、「アルツハイマー型認知症」の本態について無知と言うだけのことなのです)。

上述した意味、回復させることは困難であり、「大ボケ」の枠の中で更なる重症化が進行していくだけという意味からも、「大ボケ」の段階の症状の発現が確認されているお年寄りの「家族介護」は、介護する家族側に精神的、肉体的、経済的な負担を強いるだけでなく、介護する側の社会生活自体を奪うものであり、「老老介護や認認介護や介護離職」を生むこととなり、国の採るべき政策としては、絶対に避けるべきものであると言うことを強調しておきたいのです。

住民参加型の「地域予防活動」を全国展開し、介護関連総費用の増加に歯止めをかけ、更には、絶対額自体を大幅に減少させて、何等かの理由で「大ボケ」の段階にまで症状が進行してしまった「お年寄り」の介護にこそ、「介護保険」を全面的に適用すべきものと考えるのです。政権与党の責任ある政策の実施を期待するものなのです。

 

○ 食生活ではなくて、脳の使い方としての「生活習慣」が原因

「アルツハイマー型認知症」の発病の予防も症状の回復の方法も、「仕事」とは無縁となる「第二の人生」での、脳の使い方としての「生活習慣」、即ち、「生き方」が問われることになるものなのです。

お昼にはココアを飲んで、夕食時には赤ワインを飲んで(カマンベールを食するとより効果的という説がテレビで紹介されてもいるのですが)、出来るだけ青魚を多く食するようにして、更には「サプリメント」をたくさん摂ってDHA&EPAを補おうとも、自分なりの「目標」となるものが無い生活、生きがいなく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無いナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」を日々続けていたのでは「アルツハイマー型認知症」の発病を回避することは出来ないのです。「前頭葉」を含む脳全体の機能を活性化させる「生活習慣」の確立こそが、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防し並びに「脳のリハビリ」を工夫し実践させることが、早期の段階(小ボケ及び中ボケ)から正常なレベルに回復させることができる(症状を治すことができる)唯一無二の方法なのです。

 

〇「アルツハイマー型認知症」の治療薬/予防薬の開発は、発病のメカニズムから考えて、未来永劫不可能な事なのです

(1)極めて重要なことなのでここで付言しておくと、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防したり、又は症状を治癒させたり、若しくは症状の進行を遅らせたりする効能を有する薬が開発されることは、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムからして未来永劫有り得ないことなのです(詳細な説明の内容は、kinukototadaoと入力して検索し、Gooブログ「認知症の早期診断、介護並びに回復と予防のシステム」のB-73及びB-74を参照 してください)。

何故なら、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状が重症化する上での核心となる要素は、今日でもなお認知症の専門家達の間で世界的に権威があるとされる「DSM-4」が診断の第一の要件に規定する「記憶障害」の症状(或いは、「記憶障害」に起因した症状)ではなくて、廃用性の加速度的で異常な機能低下を原因とした「前頭葉」の機能障害(「実行機能」の障害)に起因した症状だからです。

『生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い「単調な日々」の暮らし方、「脳の使い方」としての視点で言う、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されている状態下で(私たちが規定する発病の「第二の要件」の充足)、薬を飲むだけで/貼るだけで、発病を予防することができたり、症状の進行を遅らせることができたり、或いは、症状を治すことができたりする効能が発揮されるということは、廃用性の加速度的で異常な機能低下に直接起因して発病し、症状が重症化していくという「前頭葉」を含む脳全体の働き方/衰え方のメカニズムからして、絶対に有り得ないことなのだ』ということを指摘し、強調しておきたいのです。

   

(2)「前頭葉」を含む脳全体の働き具合(総体としての機能レベル)のアウト・プットそのものが、三段階(小ボケ、中ボケ及び大ボケ)に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状として発現してくるものなのです。アミロイドベータ説やタウ蛋白説や脳の委縮説を唱える人達が言うように、(神経細胞の大量死という)「器質的な病変」が原因で脳内での「情報の連絡」機能の不具合による「記憶障害」を惹き起こし、そのことに直接起因して、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してきている訳ではないのです。

 分かりやすく説明しましょう。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。「アルツハイマー型認知症」は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維)に支障が起きてくることが認知症の症状発現の原因だというのが、アミロイドベータ説やタウ蛋白説や脳の委縮説の考え方なのです。これらの考えに立脚しているので、ゴム管を繕って空気が漏れる量を少しでも抑える効果を期待できるはずとされているのが、現在販売されている4種類の薬ということなのです(治療薬ではなくて、「症状」の進行を遅らせる効果を狙うだけのものだそうですが、私たちはそのことの因果関係の確認自体が粗雑だと考えています。「生活要因」による影響という要因を見落としているからなのです。「A34」を参照してください)。

 私達は(廃用性の機能低下説)、ゴム管の部分に支障があるからではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を処理・発信してやる前頭葉等の機能)に支障が起きてきて(「廃用性の加速度的で異常な脳機能低下」)、脳が正常に働かなくなったことが「症状」発現の原因だと考えているのです(「二段階方式」の活用により私達が集積してきた「脳機能データ」は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットそれ自体が「アルツハイマー型認知症」の症状だということを示唆しているのです)。いくらゴム管を繕っても(神経細胞を壊すアミロイドベータの量を少なくしたり、脳の外に排出してやる)、そもそもポンプを押す作業をしない限り(脳の機能を意識的に働かそうとしないのでは)、空気は十分に流れない(情報の処理も発信もない)ということなのです。

(3)アミロイドベータ説やタウ蛋白説の考え方の人達が開発を目指している「アルツハイマー型認知症」の「治療薬」とは、異常なレベルに機能が衰えている「前頭葉」を含む脳の機能レベルを、飲むだけで(貼るだけで)、正常なレベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。ナイナイ尽くしの単調な生活が日々繰り返され継続されている生活習慣の下で(ポンプを押してやろうとはしない生活状態下で)、飲むだけで/張るだけで、失語や失認や失行の症状が確認されるところまで機能が低下していた「前頭葉」を含む脳全体の機能が正常なレベルに回復してくる(空気が管全体に激しく流れ出していく)効能を有する薬が開発されることは有り得ないのです。

そもそも、アミロイドベータ(老人斑)の蓄積やタウ蛋白(神経原線維変化)の蓄積により、情報を伝達する役割を担っている神経細胞の大量死が惹起された状態下で、言い換えると、「器質的な病変」が惹起されていて、薬を飲む/貼るだけで、当該薬の効能により、神経細胞の大量死という器質的な病変がなくなり、症状が消えるという発想自体が、奇想天外な発想と言うしかないのです。権威ある著名な研究機関に所属していて、且つ、認知症研究の専門家とされていて、「アルツハイマー型認知症」の発病原因に関する様々な仮説(アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説、脳の萎縮説)を唱えている人達は、その社会的な影響に対する責任を自覚して、自説の内容と「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状重症化との間の因果関係実証して見せるべきだと思うのです。何時まで、推測憶測に基づいただけの「空想物語」を語り続けるつもりなのですか。貴方が拠って立っているはずの「権威」が泣いていませんか?

(4)「重度認知症」(大ボケ)のお年寄りを抱えて介護に追われる家族の精神的、経済的負担は筆舌に尽くし難い程大きいので、治療効果がある新薬への期待はとても大きいのです。とは言え、そこに現実の可能性は存在しないのです。治療薬の開発は、絵空事だからです。飲むだけで(貼るだけで)正常レベルに回復させることがあたかも可能であるかのような「新薬開発」の言葉がマスコミの記事で踊る度に、市町村による住民参加型の「地域予防活動」への取り組みが遠のいていくことになるのです。過去何度繰り返されてきたことか。

  

(5)日本全体での高齢化率が30%を超えた時(現在は、27%を超えたところ)、取り返しのつかない状態が来るのです。予防は、啓蒙活動(講演会の実施やパンフレットの配布)だけでは足りないのです。早期診断による回復の窓口と小規模単位集落ごとの住民参加型の「地域予防活動」の密で活発な実践が不可欠だと考えるのです。

我が国の医師や研究者や学者が、「前頭葉」のことを、或いは意識的な世界の機能構造のことを知らなさ過ぎるのです。正常老化の性質、機能発揮上の二重構造の問題、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に陥っていくその「キッカケ」、更には、脳の使い方としての「生活習慣」に起因する廃用性の機能低下などと言う基本のテーマについてさえ、何も知らなくて、マウスばかりを追いかけまわして、有り得ない事なのに薬(治療薬や予防薬)の開発という夢を追い掛け回しているだけなのです。若く有為な人材の無駄遣い、税金の無駄遣い、時間の無駄遣いに過ぎないと言うのに!無駄なことに人材や税金や時間を使う前にやるべきなのは、『アルツハイマー型認知症の発病とそれらの仮説との間の因果関係を立証して見せるべき』なのです。

必要な因果関係の立証というテーマを脇に置いたままで居て、発病する前の状態、「認知機能」が未だ正常な状態時に、アミロイドベータの蓄積の兆候を捉えて、アミロイドベータそのものを脳内から排除する(解消させる)などという発想は、「世迷い事」なのです。

注)本著作物「Bー92」に記載され表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリックしてください)

 脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)


 

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