「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階の症状は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きだけが異常なレベルに衰えている(左脳と右脳と運動の脳は正常レベル)ので、「前頭葉」の機能障害の症状と同じなのです。「認知度」と直結していて、認知に不可欠の「意欲」、「注意集中力」及び「注意の分配力」が状況に相応して必要なレベルで働かない、的確に働かないゆえの症状を示します。認知症は、「生活の自立度」がどうであるかを問題にする性質のものなので(社会生活や家庭生活やセルフケアにどのような支障があるかを問題とする)、原因である脳の機能は前頭葉だけが異常なレベルであっても、そのアウトプットである「症状」には、コントロールタワーの前頭葉の機能レベルが直接反映されるので、正常なものではなくなります。この点が、認知症の定義にも反映されるべきだと思います。DSMーⅣの定義を含めて、「アルツハイマー型認知症」を診断する精神科医も治療薬を開発している研究者も、「前頭葉」の機能の仕方及びその衰え方に対する理解が浅いのではないかと思います。
「軽度認知症」の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。
4つ以上に○が付くときは、軽度認知症(小ボケ)を疑うことになります。
□ 複数のことに注意を分配できなくて、3つの用事を同時に並行してさばけない
□ 何かに感動することがなくなり、顔つきが無表情で目の光がどんよりしている
□ 発想する力が乏しくなり、何事にも画一的な行動が目立つようになる
□ 料理の献立が単調になり、同じ食材ばかりを買ってくる
□ することを何も思いつかない様子で、一日や一週間の生活面の計画を自分で
立てようとはしない、
□ 根気が続かなくなり、中途半端なことを繰り返すようになり、やりかけの状態 が目立つ
□ 歩行や手の動きなどの動作がもたもたして、足腰が悪くはないのに、階段を
ゆっくりとしか下りられない
□ ぼんやりしていることが多くなり、自分からは何もしようとしないが、指示される
とできる「指示待ち人」になる
□ 歩くときは前屈みになり、小股でトボトボ歩き、反応が遅く動作がもたもたする
□ 自分に自信がなくなってきて、何かにつけて人を頼ろうとする
□ 朝は遅くまで起きてこないのに、やたらと昼間に居眠りする
□ 本人はそのことに気づかないで、同じ内容を繰り返し話したり尋ねたりする
□ 思い込みや思い違いをすることが多くなり、一旦言い出したら、間違いを指摘
されても訂正や変更ができない
□ 自分が言いたいことだけを一方的に言い、相手の話を聞こうとはしない
□ 簡単な計算ができなくなり、お札ばかりで買い物をするために、やたらと小銭が たま る
注1) 小ボケの脳の機能レベルのアウトプットが、小ボケの症状なのです。情報を連絡する神経線 維に器質的な変化が起きて、支障が出てきている訳ではないのです。
注2) 上記は、認知症の小ボケの症状です。アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「前 頭葉」の機能レベルの判定及び「脳機能の衰え方 のパターン」を基礎とした「二段階方式」によ る別のチェックが必要です。
来週は、「中等度認知症」と「重度認知症」に特有に見られる症状について整理したものを報告し ます。確定的な診断の基準にはなりませんが、一応の目安としては利用できるはずです。
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