木曽の伝説ご紹介します。
お楽しみください。
ちさご塚
黒川の野中川集落にある、八幡様のそばに「ちさご塚」と呼ばれる塚があります。この「ちさご塚」にはこんな話が伝わっています。
昔、この黒川は古畑伯耆守という庄屋に治められていました。ある日、この伯耆守(ほおきのかみ)が馬に乗って板野の八幡様の前を通りかかりました。そこには、ちさご様という位の高い神様がいたのですが、伯耆守は別に気にもかけす馬に乗ったまま通り過ぎようとしました。それを見ていたちさご様は、非常に怒り「わしがいることも気づかず、しかも八幡様の前にきても馬から降りぬとは、けしからんやつだ。」と、 怒って伯耆守を馬から落としました。
突然、訳もわからず馬から落とされ、頭にきた伯耆守はそばにあった五輪の塔をつかむと、おもいきり遠くへ投げてしまいました。すっきりして、そのまま家に帰りました。
ところがどうしたことか、古幡伯耆守の家では、不幸ばかり続きました。人が死んだり、怪我をしたりして、ほとほと困り、遂に神様にお伺いしてみました。すると・・「お前は、板野の八幡宮にあった五輪の塔を投げたであろう。それが原因で、不幸ばかり続くのだ。」と、言われました。
そこで、さっそくもとにあった所に五輪の塔を建て、前にとって投げた五輪の塔の石塔は、小さな塚を作り、そこに埋め供養しました。その塚が「ちさご塚」です。
今ある五輪の石塔は、その時建てられたものです。