大阪ブラック

   羅城門址、西寺阯の次に私たちは嵐山へ行こうとしました。近くのバス停から、市バスに乗って移動する。京都の街中のバスってなかなか素人にはわかりにくいですね。でっかいバス路線図を持っていないとどうすることもできません。実は、今回私たちは「京めぐり」という京都観光一日乗車券を使いました。自宅の最寄り駅から京都往復、地下鉄もバスもこれ1枚で乗り放題という便利でお得な切符です。おまけにこの切符を買うと京都市内のバス路線図もついてきます。この切符でバスを乗り継ぎ、嵐山へ行くというもの。西大路四条で乗り換えればよいということが路線図でわかりました。

  嵐山へ着いたら昼ごろだなぁ、蕎麦でも食べるか、夏に湯豆腐はどうなのかなぁなんて車内で夢想している間に、西大路四条のバス停が近づきます。手前の交差点でバスが止まったその瞬間、一同の視線がある一点に…。大阪で大行列ができるというラーメン屋さんに惹かれてしまったのです。
  メンバーの一人はこの店に入ったことがあるらしく、「大阪ブラックが人気。でも私はこれ（と金醤油ラーメンを示す）。」若い人たちはギョーザとかなんとかも食べてました。この店のことを知っている彼はなぜブラックを選ばなかったか。ダシにエビが使ってあるからだそうです。かつて何も知らずにブラックを注文し、「この味わいはエビが使ってある」と気づいたものの、ガマンして半分まで食べて、そこでギブアップしたんだって。甲殻類アレルギーではなく、単に食べず嫌いなだけらしい。

  彼は優しい人です。ラーメンがやってくると自分が箸をつける前に、スープを試せと言ってくれる。金醤油ラーメン。昔ながらの優しい味のスープです。取り立ててここが特徴というような派手さはなくて、明日も食べて問題ないというおだやかな味。ブラックは、その色に比べてこれもマイルドな味。黒醤油にイカのワタ、エビをダシに使っていると書かれています。そらマイルドやわな。
  大阪ブラック、700円也。嵐山の昼食よりずっと財布に優しく、そしておいしかった。
  あら忘れていました。お店の名前は金久右衛門です。
  夏の思い出でした。