ロイター
ロシア軍、ウクライナ東部要衝トレツク制圧
By ロイター編集
2025年2月8日午前 12:42 GMT+917分前更新
https://jp.reuters.com/world/ukraine/SJWV7O2D7BMK7JPMKC7DYMF27Y-2025-02-07/
TASS通信
2月8日 00:15
②Ukraine loses over 26,000 troops in five-month battle for Dzerzhinsk
ウクライナ、ジェルジンスクでの5か月にわたる戦いで26,000人以上の兵士を失う
2月8日 00:50
Dzerzhynsk was one of Ukrainian outposts before Konstantinovka — DPR official
ジェルジンスクはコンスタンチノフカ以前のウクライナの前哨基地の一つだった - ドネツィク人民共和国当局者
2月8日 00:21
Dzerzhinsk liberation to speed up start of battles for Konstantinovka — security sources
ジェルジンスク解放によりコンスタンチノフカの戦いの開始が早まると治安筋が報道
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最近、驚くこと。西側のメデイアがロシア国防省の発表を報道するのが、すごく早いです。
ロシアのTASSが、00:15。ロイターが、00:42。
いつから、英露で速報を競うようになったんだ❓
日本で一番早い産経は夜中なので、まだです。
しかし、すごい記事があります。
『停戦交渉見据え、ロシア・クルスク州で激戦 ウクライナの越境攻撃から半年』
2025/2/7 19:42
https://www.sankei.com/article/20250207-GHD327ERNZNQPNVS62JXDURUFA/
この記事の中でゼレンスキーが発表したクルスク州でのロシア軍の死傷者数を書いています。それだけならいつもの通りですが、ロシア側の主張も、チビっと書いていてロシア国防省発表のウクライナ軍の死傷者数も書いています。両方書くことは、これまでなかったと思います。しかも、ウクライナ軍の死傷者数の方が多いというオマケ付きです。
やはり、このような報道姿勢の変化には、トランプ政権のウクライナに対する姿勢がはっきりしてきたことがあると思います。トランプ政権はキエフ政府に対する特別扱いを止めて、単なる紛争の片方の当事者として扱っています。
もう国際開発局(USAID)は事実上閉鎖されましたから、ここからウクライナに流れていた資金は止まります。それどころか長年、陰からウクライナに深く関与していたCIAの人員削減まで始めました。
CNN
米CIA、「全職員」を対象に早期退職を提案
2025.02.05 Wed posted at 16:40 JST
https://www.cnn.co.jp/usa/35229085.html
<まだあります。>
ロイター
トランプ政権、(ロシア)オリガルヒ制裁作業部会を解散 麻薬組織への対応重視
2025年2月7日午後 12:56 GMT+99分前更新
https://jp.reuters.com/world/security/DIMLM25QZFMGLN2SP6TKODA6ZQ-2025-02-07/
米国際開発局、全世界職員1万人以上のうち294人のみ維持=関係筋
2025年2月7日午前 10:09 GMT+93時間前更新
https://jp.reuters.com/world/us/3XLVN7O4FRJ27OHWLOQ7USNNCA-2025-02-07/
(ロシア)オリガルヒ制裁を止めました。これはロシア政府との関係改善の予告でしょう。
バイデン政権と西側政府は、大した根拠もなく(ロシア)オリガルヒの海外資産を没収して売却していました。これは、普通に見るなら強盗行為です。後日、返還請求か損害賠償請求が来たらどうするんでしょうね❓
と言うような皮肉は止めにしますが、バイデン政権が対ロシア政策をどう考えているかは明らかです。ウクライナ紛争とは無関係に関係修復に動くと思います。トランプ氏にとって最重要外交は、対中国外交なのは明らかです。中国に強く出るならロシアとの関係改善は不可欠です。
これが、ロイターの報道姿勢を変化させた理由でないかと思います。
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本題のトレツクТорецькです。ロシア名、ジェルジンスク。
TASSの②の記事から引用
『「敵はジェルジンスクとトレツク首都圏の他の集落を占拠するため、8個旅団からなる大軍を集結させた。敵軍の総数は4万人を超えた。この軍には、アゾフ旅団(ロシアではテロリストに指定され非合法)を含むバンデラ政権に最も熱心で忠誠心のある民族主義部隊や、外国人傭兵部隊が含まれていた。我々の部隊はジェルジンスクをめぐる5か月間の戦闘で敵に多大な損害を与えた。ウクライナ軍は兵力の70%以上、つまり2万6000人以上の兵士を失った」と声明は述べている。』
トレツク攻防戦が長かった理由が、分かります。ウクライナ軍はトレツク防衛のために4万人を超える大部隊を集結していたからでした。兵士の数を集めれば、これほどウクライナ軍は強く戦えると言うことを示しています。南ドネツクと中部ドネツクでウクライナ軍がボロ負けしているのは、圧倒的な兵力差が理由です。クルスク侵攻作戦をしなければ、これほどまでにドネツク州でウクライナ軍が劣勢になることは、なかったでしょう。
そしてウクライナ軍の冷酷な作戦も分かります。トレツクにこれほどの大兵力を集めていたと言うことは、中部ドネツクと南部ドネツクは、最初から捨てる予定だったことが分かります。そうであるなら、さっさと後方に部隊を撤退させるべきです。そうすれば、かなりの兵力が温存できていたでしょう。中途半端に拠点防御して死守命令を出したために相当数の死傷者が出ています。
これでトレツクをロシア軍が制圧しました。
航空万能論 2025.02.1
ロシア軍が東部戦線で前進、ウクライナは国産武器の供給停止リスクに直面
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/as-russian-troops-advance-on-eastern-front-ukraine-risks-cuts-to-domestic-arms-supplies/
この記事の5枚目の略図がトレツク方面です。もうこの段階でロシア側の軍事サイトでは、ほぼ全域をロシア軍が制圧しています。その後、市内の掃討戦を行っていたのでしょう。
略図を見てわかる通り幹線道路T-0516を北上すると、その先にコンスタンチノフカ(Костянтинівка)があります。この間に集落はありますが、それほど強い抵抗拠点には、ならないでしょう。早ければ3月には、コンスタンチノフカ攻防戦が始まると思います。
略図の4枚目が、チャシブ・ヤル(Chasiv Yar)です。
ここもTASS通信の伝えるところでは、北側の主要な市街地は、ほぼロシア軍が制圧し、南のより小さな市街地のシフチェンコに対する攻撃が始まっているようです。北側の守りの固い方を制圧すれば、南はもっと攻略しやすいと思います。長かったチャシブ・ヤル(Chasiv Yar)の攻防戦も終わりが近いです。チャシブ・ヤル(Chasiv Yar)を攻略すると幹線道路のT-0504を西に行くと8km程度でコンスタンチノフカ(Костянтинівка)に行きつきます。
いよいよ、南と東からコンスタンチノフカ(Костянтинівка)攻撃が始まるでしょう。コンスタンチノフカ(Костянтинівка)は北部ドネツク要塞都市の一番南の玄関口です。
航空万能論 2025.02.6
侵攻1078日目、ロシア軍がオスキル川を渡河して新たな橋頭堡を確保
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-1078th-day-of-the-invasion-russian-forces-cross-the-oskil-river-and-secure-a-new-bridgehead/
この記事の2枚目の戦況図が、ドネツク州一番北の要塞のリマンЛиман~クレミンナ方面です。
ここでもロシア軍は、ゼレベツ川の北側で渡河作戦を実行中です。もう、かなり経ちますがウクライナ軍はロシア軍を排除できないようです。排除できなければ、直接リマンЛиманに進撃することが出来ます。
仮にロシア軍がリマンЛиман攻略に成功すると、北部ドネツク要塞都市群の一番北のスラビャンスクСлов'янськへの攻撃路が開けます。
ロシア軍の春の目的は、ドネツク州北部の要塞群を南北から攻めることでしょう。その体制が着々と整いつつあります。
※最も、航空万能論はトレツクに関してはロシア国防省とは違う見解を示しています。
航空万能論
2025.02.8
ウクライナ軍はクルスク州で、ロシア軍は東部戦線で支配地域を広げる
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-forces-expand-control-in-kursk-oblast-while-russian-forces-expand-control-on-the-eastern-front/
※関連日記目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑧
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27