婆さんはジュディーと言えなかった

2018年09月06日 | 日記
昔私が小さかった頃、雑種犬を飼っていた。

名前はジュディー。笑

私が付けた。

洒落た名前を付けたくて、田舎の子どもが精一杯考えて出てきた名前だった。

ある日、ジュディーを連れて歩いていたら、近所のお婆さんが名前を聞いてきた。

私が得意気に

「ジュディー」

と答えると、お婆さんは、

「あ?なに?」

と聞き返すので、大きな声でまた

「ジュディー!」

と答えた。

するとお婆さん、

「ああ、じゅでーか」

と言うので、

「違うよ、ジュディー!ディッ!」

と子ども心にもイラッとして言い返した。

「はあ?じょでい?」と婆さん。

いやますます違う名前じゃないか。

「ジュ!」

とかいうやり取りを何回もしたのを、今でも覚えてる。

やだな、年を取ると上手くしゃべれないんだ、と、幼い私は悟った。



ところで話は違うが、私の息子は高校生の時まで、漫画とかアニメとか全然興味がなかった。

ところが大学に入って時間ができ、余裕が出てきたのをきっかけに、友達の影響もあり、今さらながら興味を持ち始めている。

更には先月東京に、コミケという大きなイベントにも行って来た。

その東京旅行時も、友人達からいろいろアニメのことを聞かされていたようだ。

そうして息子が一番ハマったアニメが、正式なタイトルは私は知らないが、「まどマギ」とかいうアニメ。

レンタルでまどマギのDVDを全部借り、漫画本もたくさん借りている。

更には趣味のエレクトーンで、主題歌の楽譜を手に入れ、夢中で弾いて練習している。

まどマギ。

私は息子にそのまどマギってどういう内容なの?と聞こうとして言った。

「そのまどバギ、あ、バドまぎ、あれ?まどば…」

え?

なに?

上手くしゃべれない。

息子が若干イライラして言った。

「まどマギね?」


「うん、まーどーマーギー…」

ハア…やっとしゃべれた。


ちょっと待ってよ自分。

小さい「ュ」とか「ィ」とか無いにしても、上手くしゃべれないって、あの時の婆さんじゃないか。

まどマギ。

たまに密かにしゃべって練習しておこう。

まどマギ。

ジュディー。