コウタさんに希望を託して

2021年06月15日 | 日記
春に正社員になったコウタさんだが、いろいろ苦労をしているようだ。

見ていてもわかる。

100㎏近いトシくんの入浴介助など、大変な仕事を同じ正社員のユウやササキから押しつけられていたり、残業を一番多くさせられたり、ユウ達は希望休を取っているのにコウタさんは取りにくい感じにさせられたり。

その上、残業だらけなのに月給は13、4万円で、ボーナスはいっさい無いらしい。

今日の勤務は最後の戸締まりまで居たのが私とコウタさんとカズトさんの三人だったので、職員の駐車場で三人で1時間ほど話をした。特にコウタさんのグチを聞いた。

カズトさんは30代半ばのパート職員。

奧さんと二人の娘さんがいるお父さんでもある。

カズトさんは真面目で控えめな人で、前職では鬱病を発症し、5年間仕事ができなかったそうだ。

昨年からウチの職場に来て、少しずつ仕事量を増やして社会復帰している。


ユウだのササキだのバカ男性職員の中にあって、カズトさんの存在はコウタさんにとって、安心できる存在だろうなあと思う。

そんなコウタさんはまだ25歳。

将来は自分でこういった施設を経営するのが夢らしい。

だから今は我慢して頑張っていると言う。

優しいし、仕事がデキるコウタさんなら、良い経営者になるだろう。

「コウタさん、社長になったら私を遣ってね!その頃は年寄りになってるけど、掃除でも何でもやるから。カズトさんも一緒に」

「じゃあ、今まで辞めた人達を集めてみんなで」

と、笑いながらコウタさん。

「うんうん、エリナさんとかね。え、でもセキトリさんも?」

と真顔で聞いたらコウタさん、

「いや、セキトリさんはちょっと…」。

カズトさんも、

「ちょっと、何もやらなそうで困りますものね」

と言い、三人でいろいろ思い出して笑った。

帰り際、

「いやぁ、久し振りに吐き出せて良かったです。ありがとうございました」

とコウタさんがスッキリした表情で言った。


いつか本当にコウタさんには経営者になって欲しい。

そして本当に私を働かせて欲しい。

将来、セツに連絡待ってるから。