妖怪大魔王・コバ法王日記

オートバイを分解して磨き、正確に組み立て独自理論でラインを探り、ストップウォッチと頭脳で感性を磨き、日々の想い語ります

ホンダ、新規特許申請の内容を読み解く(10/11/2023)

2023-10-11 17:37:29 | オートバイのアレコレ

Cycle World Magazine 発
( source : Cycle World Magazine  )
   



ホンダが新たに申請した特許では、オートバイ本来の操縦性に逆らわない、ライダーにとって受け入れやすい特性を狙っている様です。< 画像は、2017年、自立&自律走行を狙った試作車で、ライダーの感性や操作に逆らう可能性が高く、私自身、全く受け入れられない車両で、今回の申請とは無関係です>

  
   ** 概要 **  


オートバイ本来の運動特性とライダーの感性や操作を邪魔しないシステムとして、今回新たに申請されたシステムの特徴は、車体中央部と前輪ハブ(中心部)に配置された 3つのモーターです。
    


車体中央部に配置された 2つのモーターは、車体の左右に1つずつ、モーター回転軸を進行方向に配置して、それぞれのモーターから後方へ伸びる ドライブシャフトで後輪を駆動します。この時、ドライブギアの特性として自然な事ですが、左右のモーターはそれぞれ逆の方向へ回転させます。そしてここがポイントですが、左右のモーターの駆動力(トルク/電流で制御)の ‘反力’ を利用して車体の制御を狙っています。つまり、左右のモーターの駆動力に ‘差’ をつける事で、コーナリング開始時にはバンク・傾斜を補助して、コーナーから脱出時には車体を起こす様に補助を行なう事を狙っています。当然、左右に ‘差’ を付けず、‘補助’ を行なわない事も可能なシステムです。


    

もう一つの前輪ハブに装着されるモーターは、記事の解説によれば、加速時に前輪が浮き上がるのを制御する働きを狙っている様です。つまり、これもモーター駆動による ‘反力’ を利用していますが、仮に前輪が路面から離れた場合、前輪を逆方向へと回転させる、或いは逆方向への回転駆動力を掛ける事で、車体前部を路面方向へ向ける ‘反力’(モーメント)を与え、前輪の路面接地を助けるシステムの様です。
     

   ** 考察 **  
   

今回申請された内容には大きな関心を抱いています。それは、今回の申請は車両メーカーとして「完全自律走行」(自動運転)を目指した一段階だと思いますし、車体中央部に配置するモーター駆動は無駄が多過ぎますが、その一方で、2017年発表のコンセプトとは異なり、オートバイ本来の運動特性に逆らわず、ライダーの操作を助ける意図が汲み取れるからです。
  
そして、前輪ハブに内臓されるモーターには大いに関心があります。今回の申請内容には含まれていない様ですが、前輪も駆動する事により、四輪駆動車(自動車)の操縦特性がモータースポーツを通じて劇的に進化したのと同様に、前後両輪駆動はオートバイの新たな可能性を開くと強く信じているからです。その意味でも ‘全輪’ 駆動の電動車に大きな期待を抱いています。




f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain 










 


右手と左手の違いに合せて...

2022-05-16 06:06:38 | オートバイのアレコレ

  
オートバイ用に、グリップテープを買いました。
初めての試みで、左右で仕様を変える事にしました。
   
オートバイでは、右手と左手の役割は全く違うもの。
握り方、手の滑らせ方に合せて、仕様を変える試みです。
  


弱い握力でも正確にコントロールしたい右手はウエット仕様。
ハンドルの動きを邪魔したくない左手にはドライ仕様に。
 
吉と出るか、凶と出るか。
新しい発見に繋がりますように!



f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain 

















鉛筆の選び方、オートバイの選び方 ( 鉛筆とオートバイ シリーズ第3編 )

2022-03-26 02:23:30 | オートバイのアレコレ

  
 ・ ・先に書いた記事(第2編)が分かり難いという指摘を受けた。
         実際、改めて読み直してみると、やっぱり、分かり難かったので、
    追加で説明したい。

 


『 オートバイの “芯” の硬さ 』


では、多くの人は鉛筆を選ぶ時、シャープペンシルの芯の選択と同様に、一番書きやすい芯の硬さを選ぶ。一般的に、「HB」を基準にして、書き味や文字の印象が柔らかいのが好みの人は 「B」から「1B」、「2B」へと芯が柔らかい鉛筆を選ぶ。 そして、書き味と文字の印象が硬めが好みの人は 「F」から「H」、「1H」へと芯が硬い鉛筆を選ぶ。
とは言っても、人によって筆圧も違えば書き味の好みも違うので、「B」で硬いと感じる人もいれば、「2H」でも柔らかいと感じる人がいる。つまり、基準を参考にしながら、一人ひとりが手の大きさや体力、何に書くかに合わせて選ぶのが一番大切だ。

f:id:youkaidaimaou:20220326020417j:plain

 

そんな鉛筆の芯の選び方はオートバイの選び方と同じだ。つまり、低速域から乗り味が柔らかい乗り味が好みの人は “芯” の柔らかいオートバイを選ぶべきだし、多少乗り心地が硬めでも高速域でしっかりとした手応えのある乗り味が好みの人は “芯” が硬いオートバイを選ぶべきなのだ。 そして、オートバイメーカーは、鉛筆の場合と同じ様に、販売するオートバイ毎に“芯” の硬さを表示すべきなのだ。

鉛筆の場合、好みと違っていて、思った様な文字が書けなければ買い替えれば良いが、高額なオートバイの場合には、簡単に買い替えれない。しかも、思った様に乗れなければ、楽しくないだけではなくて、オートバイを適切に使い切れない事になり、事故に繋がる危険性が高くなる。だから、“芯” の硬さに相当する基準をオートバイメーカーははっきりと示す責任がある。

 

f:id:youkaidaimaou:20220326020538j:plain

 

 

『 “芯” の硬さの見分け方 』

とは言っても、オートバイメーカーが自発的に責任ある行動を待っていても、よほど大きな社会的批難を受けたり、経済的メリットが大きくならない限りは簡単には変わらない。だから、購入する際にはオートバイの仕様書から以下の項目をチェックするのがお勧めだ。

  1. ホイール ストローク量
  2. 車重
  3. 最高速度
  4. 乗車定員
  5. 主な用途

1. 「ホイール ストローク量」とは
、サスペンションの働きによって、前輪と後輪が上下方向に移動できる量の事で、車体設計時に決めてある量だ。良識ある情報サイトでは mm単位で表記されているので、それを確認して、前輪では 130㎜ 以上、後輪では 140㎜ 以上あればストローク量は長めの設計になっていて、一般的にスプリングレートは低目で、乗り味は柔らかく感じられる。

2. 「車重」は、乾燥重量で 160㎏ 以下、装備重量で 180㎏ 以下の車両であれば車重は軽い部類に入り、軽い程に スプリングレートは低く、当然、乗り味も柔らかく感じられる。

3. 「最高速度」も車両設計時に決まっていて、速度が高ければ高い程(速度比の2乗に比例して)路面からの衝撃が大変に大きくなるので、最高速度が高い車両ほど スプリングレートが一気に高くなっていて、乗り味はとても硬く感じられ、100㎞/h 以下、中速以下では乗り味はとても硬く感じられて、車両のコントロールが難しい場面も増えてくる。

4. 「乗車定員」は 1人乗り用か、2人乗りが可能になっているかで、当然、車両重量の場合と同様に、1人乗りで設計された車両の方が スプリングレートは低く設計され、乗り味も柔らかくなる。

5. 「主な用途」は、高速道路など高速走行を主な用途として設計されているか、オフロードなど舗装路以外の路面での使用を主に考えて設計されているかで、当然、高速走行が主な用途の車両の方が スプリングレートが高く、乗り味は硬くなる。

以上 5項目を確認すれば、その車両の乗り味が 硬いのか、柔らかいのか判断する際の有効な指標になる筈だ。

f:id:youkaidaimaou:20220326020648j:plain

 



『 “芯” の硬さの変更 』

とは言っても、好きになってしまったオートバイだったら、「乗り味は硬い筈」と判っていても、購入したいのは人情だ。それに、既に購入済みのオートバイの乗り味に悩んでいる人の為に、購入後に出来る “芯” の硬さ変更の方法を紹介すると以下の通りだ。

  1. スプリングの変更
  2. 主要なボルトの締結トルクの変更
  3. プリロード量(イニシャル荷重)の変更

1. 「スプリングの変更」は、最も確実な “芯” (乗り味)の硬さの変更手段で、この方法が正真正銘の王道であり、それ以外の方法は便法と言える程だ。だから、リアサスペンション ユニットを交換する際には、必ず数種類のレートのスプリングを用意して、最も体格や体重、感性に合うスプリングレートのスプリングを選ぶのが当然と言える。スプリングの選択や交換が容易な社外製のユニットだからこそユニット選択の価値があると言っても過言ではない。

f:id:youkaidaimaou:20220326020739j:plain

f:id:youkaidaimaou:20220326020748j:plain

 

また、同様に、フロントスプリングについても数種類のスプリングを用意して、最適な乗り味の硬さが選べる。 ただ、特にフロントのスプリング選択は、よほど優れたエンジニアの方がいないと最適スプリングと巡り合えないかも知れない。

f:id:youkaidaimaou:20220326021232j:plain
 
2. 「主要なボルトの締結トルクの変更」は、前後のアクスルシャフトやサスペンション ユニットやリンクの固定ボルトの締付けトルクを、整備マニュアルで指定してあるトルク値から変更する方法だ。当然、作業と作業結果は各自が責任を持つ必要があるが、乗り味を柔らかくしたい場合には、指定トルク値から 10~30% 程度を目途に低くする手法は珍しくない。但し、ボルトのねじ山のケアは適切に行ない、ねじ山の汚れや変形、座面の歪みなどは最適に整備・修正するのが先に必要だ。

3. 「プリロード量の変更」は、簡単に誰にも出来る様になっているから、多くの人が知っている事で馴染みがあるから、「プリロード(イニシャル荷重)を調整すれば硬さも変わる」と思われているが、それはプリロード本来の意味を理解してないだけの事。便法としてのプリロード量の変更はあり得る程度に理解するべきだ。

 

f:id:youkaidaimaou:20220326021411j:plain

 

 


f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain 










 

 

 

 

 

 


鉛筆の選び方、オートバイの選び方 ( 鉛筆とオートバイ シリーズ第2編 )

2022-03-22 15:18:55 | オートバイのアレコレ

『 鉛筆の選び方 』

鉛筆の選び方を改めて考えてみた。
そこで、初心に帰った気持ちになって、国内2社と海外4社の有名な鉛筆製造会社の公式Webサイトを訪ねて、「鉛筆の選び方」を探してみたが、その製品の詳細な材質上の特性や製法上の特徴の説明も無く、数種類ある “芯の硬さ” 別の適した選び方の説明は全く見当たらなかった。

f:id:youkaidaimaou:20220322150227j:plain


まあ、良い。 かと言って、「鉛筆の選び方」で検索してヒットするサイトの多くがアフェリエイト付きのページの記事だから、収益目的で書かれたページを見る際の常識、半信半疑でしか参考にならない。そこで、個人の寄付と寄稿だけで運営されている Wikipedia で検索すれば、やっと、以下の様な詳細な表を発見する事ができた。

 

f:id:youkaidaimaou:20220322150203j:plain


小学生の頃から、「HB」とか「1B」で鉛筆を選ぶのが常識だったから、殆どの人は経験的に自分自身に合った「硬さ」は知っているとは思うけど、単価の低い商品だとは言え、高級鉛筆を謳うメーカーとしては疑問に残る販売姿勢だろう。

 

f:id:youkaidaimaou:20220322150342j:plain




『 オートバイの選び方 』

鉛筆に続いて、オートバイの選び方を初心に帰って考えてみたが、実は、鉛筆以上に問題が多い事に改めて気付かされた。それは、鉛筆の芯の「硬さ」選びの様に簡単ではなく、安全性に大きく関わる問題をメーカーが見て見ぬフリをしている結果だからだ。
     
一般的に、オートバイを選ぶ際には、オンロードタイプなのかオフロードタイプか、アメリカンタイプなのかスポーツタイプか、排気量や性能、配色、メーカー名、価格や近所の販売店、そして “ジャーナリスト” と言われる人による車両解説記事を参考にして決めるだろう。中には、僕の様に、車両重量、ホイールベース(前後の車軸間距離)、前後タイヤサイズ、トレール量、6,000rpm(回転)以下のエンジントルク特性(曲線)、前後サスペンションのストローク量 などを一番最初にチェックする人も居るだろうが、それはきっと稀だろう。

f:id:youkaidaimaou:20220322150449j:plain


では、これら全てを全部チェックすれば、確実に購入する人に適したオートバイが選べるかと言えば、全く情報や対応が不足しているとしか言えないのだ。それは、ライダーの身体に適しているのかどうかが全く不足しているのだ。それは、その車両の販売状態で、どんな “身長” や “体重” 、“足サイズ” 、“握力” の人に合わせてあるかが示されてないから、そのままの状態ではどんな身長や体格の人には適していないかを全く判断出来ず、購入後に適していない箇所に気付いたとしても、例えそれが要因となって事故を起こしたとしても “自己責任”、“運転操作のミス” と警察やメディアによって公式に扱われてしまうのだ。




『 無責任なメーカーとオートバイ関係者 』

これは全く奇妙で無責任な販売方法だと言うしかない。特に、その無責任さが表われているのが「対応する足サイズ」と「対応する体重や用途」が欠けている点だ。
まず「対応する足サイズ」の件は、殆どのオートバイは 少なくとも 26㎝以上の 足サイズの人の使用に適していて、23㎝ サイズの足の人ではステップを “土踏まず” に合せたままでは微妙なリアブレーキ捜査は無理だから、例えブレーキ操作用に足を移動したとしても危険な操作を強いる事になるが、メーカーの解説書では一切触れられておらず、足サイズ別に対応可能な部品の用意さえされていない。

【 足のサイズ : 27.5㎝ の場合 】

f:id:youkaidaimaou:20220322150526j:plain

【 足のサイズ : 23 ㎝の場合 】

f:id:youkaidaimaou:20220322150542j:plain

f:id:youkaidaimaou:20220322150726j:plain

    ・・・( 靴の中を見れば、指先がペダルに届いていない )


本来ならば、下図の様に、足のサイズに合わせられるペダルセットを装備するべきなのだ。

f:id:youkaidaimaou:20220322151240j:plain


次に「対応する体重や用途」の件は、オートバイが備えている運動性能を、低速域から高速域まで、安全に発揮する事を保証する “体重” や “用途” が示されていないので、適していない “体重” のライダーを危険な目に遭わせているのだ。
それが最も顕著な例は、欧州市場などで主流になっている排気量1000㏄以上の ツーリング・スポーツ車を 体重 50㎏ 程度のライダーが運転する場合だ。 それらの車両の多くは、体重 100㎏ 程度の人が二人乗りして、時には荷物を満載したまま、最高速度 200㎞/h 以上で走行しても安定性が破綻しない様に設定されている。そして、国内でも販売されているそれら車両の多くでは、欧州仕様の車体設定(主にサスペンション周り)を基本にしているから、体重 50㎏ 程度の人と積載物程度では、適切にサスペンションが作動せず、楽しく感じないばかりか、時にはタイヤのグリップを失いがちな不安定な挙動を我慢させられている。実際、そういう車両とライダーの組み合わせを嫌という程に開催するイベントで見てきているが、正しく安全性能を発揮できない事は完全に間違っている。

f:id:youkaidaimaou:20220322151311j:plain


本来ならば、体重や積載物の重量や用途別に、最適なレート(バネ定数)の前後サスペンションのスプリングをオプションで用意するか、或いは推奨するスプリングのレートを示すべきなのだ。
   
鉛筆という身近な題材を使って短くまとめるつもりだったが、日頃から溜まっていた事が多過ぎたのか、思っていたよりも長い文章になった。が、これらの事実をオートバイ関係者の多くが指摘しない事も問題だし、オートバイ販売や記事作成で利益を得る者達こそ最も責任を負うべきだと強く言いたい。

f:id:youkaidaimaou:20220322151330j:plain



f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain 










 

 


スズキRG500、内容が充実した動画を紹介します

2021-10-28 22:18:27 | オートバイのアレコレ


スズキさんが製作した動画を紹介します。

日本メーカーは、かつて小排気量で GPレースを席巻する活躍をしていた時代があったのですが、元々は貴族階級・欧州中心の大会運営体質の為か、急なレギュレーション変更によって活躍の芽を摘まれた時がありました。(今も、様々なスポーツで似た話はありますが  ・・・)

その後、1973年、スズキが当時の常識を覆した 2ストロークエンジンで、ピストンを正方形の形に配置した 4気筒エンジン・スクエアフォアを GP500 に投入して、1976年以降、バリー・シ-ン氏やフランコ・ウンチーニ氏などが乗って、全盛時代を築く事になった RG500 が紹介されています。

それまでは、ノートンやアグスタなど 4ストローク中心の世界から 2ストローク中心へとレースを変え、英国車全盛から日本車全盛へと転換させた車両とも言えるのが RG500で、スズキに続いて ヤマハ や ホンダ も 2ストロークで参戦して、ケニー・ロバーツ氏や フレディ・スペンシャー氏などが活躍した事を覚えている人も多いでしょう・

時代は その後、2ストロークから 4ストロークへと変わり、今は 電動車へと変わる過渡期に入っています。
これからの世界を読み解く為にも、以前の様子を詳しく解説した、この動画の視聴をお勧めします。

   


  

f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain