先日(6/20)、新型コロナウイルス用ワクチンの第一回目の接種を、事前にPC(パソコン)で専用の予約サイトで予約を行なった後で、神戸市の集団接種会場で受けてきました。 「問診票」の設問内容や、それを巡っての医師の対応などに問題とすべき課題はありましたが、それ以上に、神戸市全体で解決が急がれる問題がありましたので、ここで報告します。
『 それ、手書きですか? 』
無事に一回目の接種が終わった後、待機場所で暫く待ってくださいとの案内を受けた。当然、報道などを通じて、副反応の確認が必要な事は知っていたので、案内された椅子で座っていました。見ると、目の前にカウンターがあり、中では 係員がノートPC を前にして、接種を終えた人を番号で順番に呼び出して何かをしている様子。 日本人の特性を備えた僕としては、“ 番号で呼び出されるのを待つのが当たり前 ” の雰囲気をくみ取り、大人しく座っていました。
やがて、番号で呼び出され、カウンター前に座りましたが、副反応対策として、「 気分はどうですか? 」とか「 気持ちの悪い所はありませんか? 」の問い掛けは一切無いまま、「次(第二回目の接種)はいつにしますか?」と言われたのです。
肝心な副反応の有無を口頭で確認も無く、“半強制的” に 第二回目接種の予約を行なうシステムは明らかに間違いです。 接種を受ける一人ひとりの体調や体質は大きく異なるので、健康被害を防ぐために、見た目で判断するのではなく、必ず一人ひとりへの確認は必要です。また、何の説明もなく 二回目の予約代行を “半強制的” に行なうシステムは、個人の選択の自由や意志や制限する事に繋がり、公共サービスとしては問題あるシステムである事を市当局や担当者は認識を持つべきでしょう・
担当者から「 二回目の接種予約を代行して PCで予約しますが、どうでしょうか?」という声は無かったものの、カウンター内で対応している20代前半に見える人の、ボランティア的サポーターとして働いている素直な対応を見て、あえて予約代行を任せる事にしました。 しかし、その予約代行のシステムは不安要素と欠陥が満載のシステムだったのです。 その一番目の不安要素は、二回目の予約内容を用紙に “手書き” して渡すだけのシステムだったのです。
次の接種会場名と日付、接種受付時間帯、そして15桁の数字の「予約番号」を列記しただけのもので、人為的な記載ミスを防げるシステムになっていないし、接種受けたい人が勝手に記入するのを防げるシステムでもない。
PCを利用しての予約システム(プログラム)を導入しているのは、単に利便性を高める為ではなく、ワクチンの接種記録システム(VRS)と連動させて、国民一人ずつの接種記録を記録して、ワクチンパスポート発行などに欠かせないから導入されているシステムの筈です。その意味や重要性を担当者や責任者は充分に理解していないとしか思えません。
『 パスワード、ありませんけど・・ 』
帰宅後、 “半強制的” な 予約代行システムの結果を確認したくて、PCで、神戸市の予約内容照会サイトを開けば、困ったものです。「パスワード」が教えられていないのです。
この「パスワード」とは、予約を行なう度に自動的に作成されて案内される 半角英数字 10桁のコードで、一回目接種の予約と二回目の予約で案内される「予約番号」と一緒に、操作画面上で案内されるのですが・・、「手書き」で渡された二回目接種の予約内容には書かれていなのです。
困ったものです。 これでは、本当に接種予約が出来ているかどうかを確認できない上に、万が一、予約変更が必要な際には面倒で不正確な電話での依頼をしなくてはなりません。それでは、短期間で非常に多くの人へのワクチン接種を行なう為に導入されたシステム(プログラム)の意味が薄れてしまいます。
かと言って、“手書き” で「パスワード」を伝えるのはもっと良くありません。というのは、パスワードは単なる数字ではなく、大文字と小文字を含めた半角英数字 10桁のコードですから、正確な表記は難しく、益々不正確な通知にしかなりません。
PC 等の利用が難しい人々への 予約代行 であれば、せめて、導入されたシステム(プログラム)の画面で表示される「予約番号」と「パスワード」を印字して渡す必要があるでしょう。渡された当人にとって利用価値が無くても、接種会場の担当者にとっては大切な情報になるのですから。
『 アクセスできないシステム 』
PCを前にして、何とか予約確認ができないかと調べてみると、「利用者登録している人はログインした後で確認できます」の旨の説明がありました。助かりました。
早速に、登録した時の アカウント と パスワードを使って、ログインをして 予約内容照会 ページを開いて、予約状況を確認すれば、システムのもっと深刻な状況が確認できたのです。
予約番号の入力欄に 手書きで渡された「2回目接種の予約番号」を入力して、(日付け入力に神経質なこのプログラム特有の欠点を避ける為に) 予約日は幅をとって検索をしても、2回目接種予約状況が確認できないのです。
2回目の接種予約内容が表示されない代わりに、どういう訳か、1回目の接種予約内容が表示されてしまうのです。当然ですが、それぞれ予約番号は違うので、2回目の接種予約内容だけが表示されなければならないシステムの筈ですから、市当局の確認不足の可能性が大きい欠陥です。
1年以上の準備期間があり、高額なシステム(プログラム)を導入して、相当数の日数が経過している時期だと言うのに、こんな大きな設計ミスが放置されている状況では、ワクチンパスポート発行に欠かせない VRS(ワクチン接種記録システム)の利用さえ危ぶまれる状況です。
『 これからが、もっと心配 』
神戸市当局や担当者は、現在の高齢者対象の接種期間であれば、“半強制的” 予約代行システムや、「パスワード」の無い “手書き” での案内は、さほど大きな問題として認識をしていないのかも知れません。が、PCやスマホの利用に慣れた人達の接種が本格化する期間になれば、接種予約照会ができない事から、ワクチン接種への不信感が更に増すでしょうし、ワクチンパスポート発給を急いでいる人達にとってはもっと深刻な状況に映るでしょう。
今回の 1回目のワクチン接種を終えて、上記に挙げた問題点を確認したので、ワクチン接種の翌日に接種会場へ改めて赴いて、接種の会場責任者とシステム担当者の方に問題点となっている事を資料を添えて伝えて、改めて連絡をして戴く約束をしてきました。
ワクチン接種という全国家的事業を短期間で成し遂げるため、多額の税金を投入してワクチンの購入や搬送・管理して、高額のシステム(プログラム)を導入して、多くの部門の人やボランティアスタッフの数多くの人々が動員されています。それらを総てをまとめて運用する事は、国・行政の指示や指針が臨機応変に変更される事もあって、容易な事ではないと理解しています。しかし、民間企業的な視野で見れば直ぐに見えてくる様々な 弱点や欠陥も多くあるのが神戸市の現行のシステムです。
どうぞ、一日も早く正しく効率的に運用される日が来る事を願っています。