妖怪大魔王・コバ法王日記

オートバイを分解して磨き、正確に組み立て独自理論でラインを探り、ストップウォッチと頭脳で感性を磨き、日々の想い語ります

フロントフォークスプリング 迷走日記 ??

2017-08-29 23:27:30 | トラ再走計画
オートバイのセッティングで一番難しくて楽しいものは、エンジンを除くならば、フロントサスペンションと言って間違いない。

エンジンは、セッティングというより、様々な部品の加工やバランス取り、表面処理などの作業で素性が決まるけど、中型以上の 4stエンジンとなると、一日に一回以上完全分解して整備・調整する気にはならないから、よほど致命的な性格になっていない限り諦めもつく。

が、フロントフォークサスペンションは違う。
ちょっとでも気に入らない性格だと分かると、直ぐにフォークオイル量の加減など細かな調整をしてしまうし、それでも満足できなければ気軽に完全分解して再組立てできるから困ったものだ。

トラ君の場合でもそんな迷走が続いている。

前回(8/13)、WP社製 ZZ-R 1100 用スプリングでセットアップして試してみると、通常の練習走行での荷重域であれば良いマナーぶりだったのに、実際のタイムトライアル走行になると意外に “ ノミの心臓 ” な一面があったから困った。

早速に、原因を推測して、WP社製 FZR1000 用のスプリングへと交換してセットアップしてみると、一般道走行では今まで以上に良いマナーぶりだった。
期待して、先日、少しだけ練習走行へと連れ出してみれば、意外や意外、神経質な一面をオープンにしてくれたので、その夜から少し落ち込んでいたのだった。

でも、いつまでも落ち込んでばかりでは面白くないので、スプリング候補毎にその特性をグラフ化してみました。



すると、希望が湧いてきた。
(見合い相手に断られて、次の日に新しい候補が見つかった気持ちか?)

coerce社製・ZZ-R 1100用も候補に挙がっていたけど、HP(ハイパープロ)社製・ZZ-R 600 用も試す価値がありそうだからだ。
さあ、早く来い! 今週末 !!

* * * * * * *


【 グラフの見方と注意点 】

○ 棒線が途中で区切れている個所は、その領域で スプリングレートが変化している事を示しています。( ツインレートスプリングの場合のみ )

○ 横軸は荷重(Kgf)で 縦軸は縮み量(mm)を示すけど、横軸は 初期荷重(セット荷重)以降に加わった荷重を示しています。(初期荷重は、トラ君の場合には 10 Kgf が基準)

○ 荷重量が 32 Kgf (全荷重量は 42 Kgf )の領域が セッティングの基準になる「 乗車時(1G'時)」の荷重領域で、赤い帯で示しています。

○ この乗車時荷重領域に近い領域で レート変化している 2本のスプリング、純正・’98ホーネット600 用 と WP・FZR 1000 用のスプリングの場合には、バンク時の アクセルOFF時にフロントが細かく左右に揺れる症状が出たのも、きっと レート変化時のスプリングチャターがそのまま出てしまっていたのでしょう。

○ このグラフでは 大荷重時に変異量に大きな差が出てしまうようにも見えますが、実際には 車体セッティングの基本で、乗車時のフロント車高を一定の範囲に収めるためにフォークのつき出し量を調整するため、その分を差し引いてグラフを見る必要があります。

○ もちろん、フォーク内のエア成分によるスプリング効果が実際には加わりますが、ストローク量を一定に調整する限り、どのスプリングを入れてもエアスプリング特性は同じなので、ここでは考慮に入れていません。




恐るべし Valeo(ヴァレオ)社

2017-08-04 18:49:44 | トラ再走計画

トラ君の 丸型2灯式ヘッドライトを交換します。

マルチリフレクター式なのに暗くて、
高効率バルブとリレーユニットと専用回線を奢ってやっても、
3m先地面をスポット照射する等配光特性が悪くて、
ランプユニットを交換する事にしました。

車用丸型4灯式ヘッドライトの外側2灯を求め、
以前の2大ブランド、 MARCHAL や CIBIE、
国内マーケットで探したけど無く、
仕方なくイギリスから CIBIE を直接購入した。


* * * * *

1950年代後半以降、アメリカの販売規格に合わせ、
丸型4灯式ヘッドライトは多くの車両に採用されて、
2大ブランド以外、CARELLO、LUCAS、HELLA など
色々と選べる時代もあったのに。

大好きな MARCHAL 製品は無く、届いた CIBIEは
同じ フランスの VALEO(ヴァレオ)社に吸収され、
一ブランドとして残っているだけ。

この VALEO 社、ドイツの BOSCH と並び、
自動車用電装部品メーカーとして 世界屈指の会社だ。
日本の 一光(IKKO)や PIAA を 傘下に入れ、
自動運転時代、電気自動車時代へ向けて発展しているようだ。

* * * * *

それにしても、時代は既に LED の時代だ。

今さら H4バルブ形式のランプユニット買ったけど、
きっと、トラ君以外に使い道、無いなぁ ~

トラ再走計画・番外編 「ハブ ダンパー」

2017-03-13 23:09:08 | トラ再走計画
リアサスペンション の 組み付け完了し、新品タイヤ装着の前後ホイールも準備完了したから、さあ、リアホイール組み付けだ。

リアホイール作業時の交換部品と言えば 「ハブ ダンパー」だ。
ゴム製品だから定期交換するのが当然だし、前回交換は 1800 km 時だから、それから 4100 kmも走行しているから交換しよう。

と言っても 純正部品にそのまま交換するのはもったいない。
何より、輸入車部品だからコストが高いし、手配してもすぐに入荷しない事もある。
だから、国産車用の部品に交換した。


純正は カワサキ車でよくある一体型だけど、ヤマハ車純正の分割型へ交換だ。
ゴム部品の形状からみると R6純正型が近い。
でも、ここでは茶目っ気を出して、R6 レースベース車両用に交換した。

これで、スロットル操作への遅れが少なくなり、更にダイレクト感が増す!
・・ と いいなぁ ♪

* * * * * *


【 後がき 】

ホイール装着して、イニシャル荷重(サグ)を基本値に設定して、
試しに エンジンを掛けて、ギアを入れてみた。

う~~ん。
ホイール側での遊びが少なくなったせいか、ニュートラルが出し難くなった。

さあ、残るは 車検だ。
あぁ、問題は無いと思うけど、他人に審査されるのって ・・ 億劫だなぁ ♪



トラ再走計画・リアサスペンション / 番外編 2

2017-02-20 22:06:50 | トラ再走計画
オートバイ各部のフリクション(摩擦/摺動抵抗)を少なくする事は、オートバイ本来の正しい動きを引き出して、素直な操縦性や運動特性の実現には欠かせない大切な事だ。

しかし、一般的な整備工場で行われる整備作業では重視されず、時には部品メーカーでさえ全く無視している現状では、新車を含む殆どのオートバイは本来の動きや実力を発揮していないと言える。

そんな現状に背を向け、ひたすらフリクション低減の作業は、求道者と言うべきか? 単なる“おたく”なのだろうか ??


『 かわいそうな ピロボール 』
リアサスペンションユニットは、その上下部分を車体に固定されていて、その固定部は殆どのオートバイの純正仕様では「 ラバーブッシュ(ゴムブッシュ)」タイプの軸受だ。


この 「ラバーブッシュ」は軸受部の周りをゴム製品(ブッシュ)で支える形式で、そのメリットは メインテナンスフリー(整備出来ない)性と廉価性だけだ。

逆にデメリットは二つある。
一つ目は、その固定軸部には 軸周りに回転する力や 軸を前後左右の方向にねじる力が加わっているが、それらの力によって ダンパーロッドやダンパーピストンに曲げ応力が働くため、フリクションが発生し易くダンパー本来の動きが阻害される事だ。
二つ目は、ゴムが介在する分だけ、車体側とサスペンションユニット側との間で動きにズレが必ず出るため、正しい動きを求める者にとってはやっかいな存在だ。

そんなデメリットを解消できる機構の代表格が「 ピロボール(軸受 / ジョイント)」だ。
「 ピロボール(軸受)」は 球面軸受とも云い、軸受は球体になっていて、その周囲の保持部に支えられた球体は自由に回転が出来るし、前後左右にねじる力にも回転し、曲げ応力が発生しにくいので、フリクションは発生し難くてダンパー本来の働きが実現できるのだ。

その上、ゴムは一切介在せず、ほぼダイレクトにサスペンションユニットが活躍できる優れモノだから、モータースポーツの世界では特に四輪車で多用され、オートバイの場合も 社外製高額サスペンションユニットで広く採用されている。

しかしだ、その本来の能力を発揮しているかと言えば、その重要性を殆ど理解されず正しく整備されず、精密部品ゆえに本来の動きが出来なくなったり固着してしまっている場合もあるから悲惨だ。
実は、トラ君用に仕様変更とオーバーホール(分解整備)を依頼したサスペンションユニット:「イギリス娘」もかわいそうな状態だったのだ。


『 イギリス娘の正しいしつけ 』
実家に戻ってオーバーホールされて帰ってきた「イギリス娘」を見てみれば、ピロボール部の汚れは確かに洗浄してあったが、洗浄したまま、つまり十分に給脂されていない !!(シンジラレヘン)

その上、生まれつきピロボール周囲の部品の加工精度がとても悪くて、ピロボール部横の Oリング装着部の内径が 上下左右4か所とも異なり、最大 2mm以上の誤差があるのに、装着された Oリングは全て同じサイズで、しかも Oリングを組み込むと 肝心の ピロボールの動きが大きく制限されてしまう構造だから困ったものだ。

そこで、無い頭を絞って解決策を練ってみた。
先ずは、大して役に立っていない Oリング を取り去って、ピロボールに本来の自由な動きをさせてやる。

次に、ピロボール内部の隅々までたっぷりと グリスで給脂してあげる。
そして、そのままでは グリスが漏れ出易いので、ウレタンラバーで軸受部外周をすっぽり覆う特製のシールを作成した。

特製のシールがどの程度活躍してくれるかは分からないけど、取付け部は左右からプレートではさみ込む形だから、結構長く活躍してくれるだろうし、最長で 5 ~ 6000 ㎞ 頑張ってくれればよい。

これで、少しは フリクション減ったかな?
減ってくれているといいのだが ・・・ 。



トラ再走計画・リアサスペンション / 番外編

2017-02-18 23:12:27 | トラ再走計画
トライアンフの整備を通じて、もっとオートバイの各部品の一つひとつが正しく動作して、もっとバランスが整った車両作りを語るこのページ。

今回は、リアサスペンションに新しく試みた企て(くわだて)が挫折した話だ。


『 スプリングは素直じゃあない 』

オートバイに使われているスプリング(ばね)の多くの形式(形)は、らせん状にぐるぐると巻かれた形、“ コイル ” スプリング だ。
円筒形状に巻かれたスプリングを、その円筒形の軸方向に縮めたり、時には伸ばしたりして、その反力を利用している。

が、このスプリングは本当は素直なヤツではない。
特に、オートバイの操縦安定性の要・サスペンションに使われているコイルスプリングで悪さをする。

どういう風に素直じゃあないかと言えば、製造された時の “ クセ ” が残っていて変な抵抗をしながら縮むとか、円筒形の軸方向に沿って真っすぐに縮めてやっても少し曲がってしまったり、縮めて外径が少し大きくなる時にスプリング自体が回転しようとしたりするのが普通だ。

変な “ クセ ” を無くすには、製造後に一品ずつテストして “ クセ ” が少ないものだけを販売しているメーカーの製品を使うに限る。

残りの “ 曲がり ” と “ 回転 ” については、スプリングの固定をきっちりさせてしまうとサスペンションの動作に余分なフリクション(摩擦)を発生させるので、スプリングの固定方法に自由度を与える方法が一番だ。

今回はリアサスペンションだから、スプリングは短く “ 曲げ ” では悪さはあまり気にする必要はない。
しかし、“ 回転 ” は違う。
スプリングに掛かる力が大きい ため、固定金具との間に掛かる力も大きく、回転しようとする力が発散できずに “ 悪さ ” (フリクション発生)をするからどうにかしたいのだ。


『 スプリングを自由にさせる 』

その解決方法は難しくない。
スプリングが自由に回転できるようにしてやればよいのだ。

上の画像の「スラストベアリング」を組み込む事によって、スプリングは回転できるのだ。
中央にあるのが 「スラストベアリング」(ベアリング本体)を、右側にある 「スラストころ軸受け」(正式な名称は スラストベアリング外輪 と スラストベアリング内輪 )で両側から挟みこむ様にして、三つの部品を一体にしてベアリングとして使えるのだ。

その 「スラストベアリング」をサスペンションユニットに仮組みすると、下の画像の様な配置になる。

が、これでは組み込めない。
「スラストベリング」全体で 12.5 mmの厚みになり、このサスペンションユニットにはそれを組み込むだけの余裕は無いのだ。

そこで、余裕の無さを予想して、一緒に購入した「スラストワッシャー」を 「スラストころ軸受け」の代わりに仮組みした。

この組み合わせだと、「スラストベアリング」全体で 5mm の厚みになり、余裕で組み込める。
しかし、この段階で このサスペンションユニットに組み込むのは断念したのだった。


『 断念した二つの理由 』

断念した理由は二つだ。

一つ目は、本来は組み合わせるべき「スラストころ軸受け」が使えない事だ。
「スラストワッシャー」であれば組み込む事は出来るが、そこには最大で 600 Kgf を超える荷重が掛かるので、厚み 1mm のワッシャー が変形せずに作動できるとは考えられないからだ。

特に、スプリングガイドに接する側では変形が大きく出て、ベアリングとして作動する以前に きちんと荷重を受け止められないサスペンションの作動になるのが予測できる。

二つ目は、サイズがぴったり合っていないからだ。
スプリングのサイズは内径が 約 58 mm、 外径は 約 82 mm だけど、ベアリングは このスプリングのサイズに一番近いサイズで 内径が 60 mm、外径は 85 mm と少し大きめだ。

特に、内径の差を埋める為のカラーなどの部品の調達・製作が未解決だった。
やっぱり、きちんと“回転”させる為には、スプリングとベアリングの回転軸を正しく合わせてやりたいものだ。


『 備考 』

スプリングを自由に作動させて、その作動フリクションを除く解決策は見えてきた。
決して、今回の出費と加工は無駄にはしない。

練習用車両:VTR 君には、あの “ アメリカ娘 ”が装着されているし、そのサスペンションユニットに 15 mm程の組み込みスペースがある事は確認しているのだ。

しかし、迷っている。
総重量 260 g になる 「スラストベアリング ユニット」は、重量的にどの程度のタイムロスになるのだろうか? それとも、自由に回転するスプリングでタイムアップになるのだろうか?
小さな事だと思うだろうが、結構悩んでいるのだ。