どんな悪人にも、処刑される前に裁判を受ける権利がある。その量刑は、数段階の審議を経て慎重に決定される。それが人権国家における司法制度の基本であろう。
ハマス最高幹部のシンワルなる人物が、イスラエル軍に殺害された。大戦果だとばかりに、イスラエルが嬉々として殺害の瞬間とされる
動画を公開している。破壊され尽くした室内で、ホコリまみれの犠牲者が最後の力を振り絞って棒状のものをカメラに投げつける。
アメリカのバイデン大統領も、これは世界にとって良い日だとの声明を出した。
そういえば、かつてビン・ラーディンがパキスタンの隠れ家で殺害された時も、当時のオバーマ大統領以下アメリカ政府の要人が得々として成果を誇示していた。
いずれの場合も、犠牲者が殺される前に正当な裁判を受けたという話は聞かない。
戦争だから、当たり前? 逆だろ。だから戦争は良くないのだ。
テロリストだから、当然? それは、イスラエル=アメリカ側の見方に過ぎない。日本ではテロリスト扱いの安重根が韓国では民族的英雄であるように、ビン・ラーディンもシンワルも、アラブ=パレスティナ側から見れば英雄かもしれない。
一方の価値観で他方を断罪する権利が、どの国、どの民族にある?
しかし、そうした無法がガザで、ウクライナで、世界でまかり通っている。その行き着く先は、第3次世界大戦以外にないのではなかろうか。