蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

追悼演説

2022-10-27 | 政治
野田元首相の追悼演説が、絶賛の嵐。朝日の記者いわく、「歴史に残る名演説」だとさ。そら、女学生の惜別の辞もどきの菅義偉のセンチメンタルな弔辞なんかに比べれば、はるかに格調高く知性的なことは、全文を読んでみればオレだって分かるよ。しかし、文章がいいことは必ずしも即、内容がいいことではない。

何がいけないって、あの演説じゃ、まるで安倍さんが稀代の名宰相みたいに聞こえてしまう。日本には死者をムチ打たないという美風、というか偽善的伝統があって、だから言いにくかった事情は分かるが、モリカケ桜を見る会、いやそれよりもっと重大な、安倍が閣議決定でそそくさと決めてしまった安保法制と集団的自衛権の問題はどうなるんだよ。無視していいことか?

こんな、将来日本社会に深刻な影響を与えかねない問題を忘れてしまわないように、常に国民を覚醒させ続けるのが野党の務めの一つだろうが。プーチンがやってるように、ある日突然、国民が戦争に駆り出される事態にでもなったら、どうするつもりだよ。

さらに、何年も前から公然の秘密だった旧統一教会と政治家との (あえて自民党との、とは言わない) 癒着が、ここへ来て急にボロボロ暴露されだしたのは、安倍の重しが取れたからだろ。言い換えれば、これまでは暴露しないように安倍がメディアに睨みを効かせていた、ということだ。

ちなみに、ビビっている大手紙を尻目に早くから旧統一教会の内幕を容赦なく報じていたのは、なぜかフジサンケイグループ傘下のハーバー・ビジネス・オンラインだった。しかし、案の定というべきか、昨年5月に配信停止に追い込まれた。

こんな小さなメディアさえ親会社の方針に楯突いても報道する気骨を示したのに、朝日を含むマスメディアの情けないこと。権力の恫喝を許しておく野党のだらしないこと。自民の石井議員は謝罪したが、彼の発言は間違ってなかったと思うよ。
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粛清

2022-10-24 | 国際
中国共産党大会で前首席の胡錦濤が途中退席する映像ってのを今朝の朝日デジタルで見たが、あれは退席なんて生やさしいもんじゃないね。どう見ても、拉致。強制連行。

尖閣問題で当時の野田首相とやりあった頃とは別人のようにヨロヨロと足取りもおぼつかない、頭もすでに真っ白の胡錦濤が屈強な男たちに腕を取られて立ち上がり、男の持つ赤いクリアファイルに手を伸ばそうとするとサッとひったくられ、早く歩けと言わんばかりに前方へせっつかれる。

これ、どうしたって、かつて北朝鮮で金正恩が叔父の張成沢を情け容赦なく処刑したシーンを連想しちまうよね。あのときも、何かの大会の席からいきなり連行される張の写真が出回った。そして、そのあとすぐ銃殺された。

胡錦濤がこのあとどう遇されるのか知りようもないが、おそらくは消息不明になってオチだろう。公式発表はもちろん「体調不良」だが、こんなの信用する人、中国でも少ないだろうな。朝日の吉岡編集委員によると、党大会の茶番はトラックの運ちゃんでも知っているそうだ。

習近平が側近を気心の知れた連中で固めたのは、それだけ国内に敵が多く常に疑心暗鬼に駆られているからだろう。なんか、ますます21世紀のヒトラーになってきたね。彼がウイグルでやってることはホロコーストにほかならないし。ホントかウソか、ウイグル人は片っ端から不妊手術を施されているんだとか。

ナチス・ドイツは過去の歴史になったが、中国はいま、すぐそこにいる。やだねえ、こんな体制が一衣帯水の対岸で蠢いているなんて。
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有名税

2022-10-22 | 文化
昨日終わったが、少し前から漫画家の楳図かずおが回顧談を朝日に連載していた。大阪で個人展が開かれたり、朝日に連載で登場したりするぐらいだから大した人物なんだろうな、と思う。

だけどオレはこの人に、ちょっと負のイメージがあるんだよな。

ずいぶん昔のことで、たしか60年代の半ばだったと思うが、彼の作に能面か何かの面打ち職人の話があった。お面製作のために次々人を殺して顔面を剥ぎ、果てはゲラゲラ笑いながら自分の顔面まで切り取るというホラー漫画である。

なんか凄い独創的アイディアに聞こえるかもしれないが、これ、ジョルジュ・フランジュの詩的ホラー映画『顔のない眼』にそっくりなんだよね。

で、オレの中で楳図かずおはパクリ漫画家ということなってしまった。

同じころ、平凡パンチか何かに小中陽太郎が連載していた対談に浅川マキが登場した。対談の中身は忘れたが、対談終了後にマキが即興でササッと書いてくれたと言って小中が紹介した「ディレクターに捧げる歌」なる詩は、強く印象に残った。

小中は、さすが天才詩人と感じ入っていたが、実はこれ、ピエール・バルーの同名シャンソンの丸写しだったんだよね。印象に残ったのは、他ならぬこのオレがバルーのレコードの歌詞対訳をやったからだった。

で、オレの中で浅川マキは中身のないニセモノ歌手ということになってしまった (実際、彼女の歌に感銘を受けたことは一度もなかった)。

たった一つのマイナスポイントを因に人格と業績を全否定することは、たしかにフェアではない。しかし、人々の記憶に強く残るのは、往々にして善いことよりも悪いことの方である。特に有名人の場合は。これぐらい大したことあるまい、というのがあとあと祟ったりする。心されたし。

音楽評論の世界でも、先人の文章をパクってあたかも自分の発見みたいな顔をしている奴がいるが、世間は意外にちゃんと見てるもんだよ。ナメない方がいい。

四季の『美女と野獣』に呼んでもらったので、恐るおそる舞浜まで足を伸ばす。街にはディズニーランド帰りとおぼしい親子連れがゾロゾロ。レストランやカフェは若い女性グループ (どういうわけかカップルより多い) でいっぱい。劇場もほぼ満員。みなさん、マスクはしているが、もうほとんど日常が戻ってるんだね。第8波の襲来を前に小康状態、でしかないのかも知れないが。
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デスパイネ

2022-10-15 | スポーツ
現代フランス語の gnという綴りは、中世フランス語では ign と綴った。iはサイレントである。哲学者の Montaigne は、現代フランス語ではモンテーニュだが、彼の生きていた時代にはモンターニュと呼ばれていた (はず)。現代のmontagne (山)と同じですな。

で、ここに突如登場するのがソフトバンクのデスパイネさん。彼の背文字を見ると、Despaigne とある。これ、間違いなく d'Espagne の中世フランス語綴りだよね。彼の祖先がスペイン出身の出自を忘れないために、こういう家名を名乗ったんじゃないだろうか。この人、アフリカ系だから見当外れかもしれないが。

なお、モンテーニュも母方はスペイン出身のセファルディムだった。

ちなみにデスパイネ氏、ロッテ時代は登場曲に「ブブリチキ」を使っていた。キューバの野球選手がなんでロシアのジプシー民謡を、とか思ったが、そうか、あの曲、キューバ時代のセリア・クルースが「Mágica Luna」のタイトルで歌ってヒットさせたんだよな。デスパイネにすれば、懐かしい祖国の歌、以外の何物でもないのだろう。

彼にとって、今年のシーズンも終わっちゃったね。

それにしても、万年Bクラスだったオリックスとヤクルトが2年連続でシリーズ進出。監督が変わると、ここまでチームも変わるんだね。
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