原田芳雄
2011-07-20 | 映画
この人が演じた中で忘れられないのと言えば、『竜馬暗殺』でも『父と暮せば』でもなく、断然『祭りの準備』の冴えない田舎ヤクザだね。ワルだが根は人がいいために損ばかりしている役。そういう負け犬を演じると、原田芳雄は絶妙にうまかった。はまり方において、アバズレを演じる京マチ子に匹敵した。
劇中、主役の江藤潤が原田のヤクザとホロ酔いで夜の街を歩いていて、ガールフレンドの竹下景子とすれ違う。二人は仲違いしているので憎まれ口をたたき合う。すると原田が、事情も知らないのに別れ際、江藤に調子を合わせて「バーロウ」と毒づく。
映画館で観ていて、観客がワッと沸いたのはあのシーンだった。あの瞬間、観客が一人残らず原田に感情移入した。多分あれは、原田が直感で演じたアドリブだ。
70年代半ばの当時、60年代の革命の夢は幻と消えて全共闘世代は失望と屈辱に苛まれていた。その挫折感を、原田は自然体ですくい取って表現してくれる俳優だった。
出演作のリストをネットで見ると、常に一癖あるシナリオを選んで出演していたようだ。ヤクザを演じてもヤクザ映画には出ない。それが彼のプライドだったのだろう。
日本映画の厚みがだんだん痩せていくね。
劇中、主役の江藤潤が原田のヤクザとホロ酔いで夜の街を歩いていて、ガールフレンドの竹下景子とすれ違う。二人は仲違いしているので憎まれ口をたたき合う。すると原田が、事情も知らないのに別れ際、江藤に調子を合わせて「バーロウ」と毒づく。
映画館で観ていて、観客がワッと沸いたのはあのシーンだった。あの瞬間、観客が一人残らず原田に感情移入した。多分あれは、原田が直感で演じたアドリブだ。
70年代半ばの当時、60年代の革命の夢は幻と消えて全共闘世代は失望と屈辱に苛まれていた。その挫折感を、原田は自然体ですくい取って表現してくれる俳優だった。
出演作のリストをネットで見ると、常に一癖あるシナリオを選んで出演していたようだ。ヤクザを演じてもヤクザ映画には出ない。それが彼のプライドだったのだろう。
日本映画の厚みがだんだん痩せていくね。