蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

日本シリーズ2016

2016-10-30 | スポーツ
常連のソフトバンクが脱けて地味めのシリーズだったけど、あー面白かった。去年の数倍。逆転逆転、時にサヨナラ。

オレはパリーグ・ファンだから日ハムが勝ってうれしかったが、でも、ここまで面白くしてくれたのは公平に見て広島だったと思うよ。選手層が若いチームは輝きがある。

栗山監督の言うとおり、どっちに転んでもおかしくない試合ばかりだった。日ハムが勝てたのは、ほとんどまぐれみたいなものだ。初めの二つを広島が獲ったときには、ペナント中の勢いのまま広島がぶっちぎりで行ってしまうのかと思った。

勝敗を分けたのは、だれもが見るとおり、継投の違いだろうな。栗山監督が4回で増井を替えるという、ア然とするような「非情采配」に出たのに対して緒方監督は8回表、ジャクソンが押し出しで1点与えてもなお動かなかった。シーズン中の実績が交代をためらわせたんじゃないかな。

その昔、星野監督時代の阪神がダイエーとのシリーズで、3勝2敗で福岡に乗り込み、6戦目で負けたのを思い出しましたよ。あのとき星野監督は、初戦で負けた伊良部を先発に立て、そして負けた。多分、シーズン中の実績がそうさせた。

緒方さん、試合終了後、眼を赤くしていたが、あれ後悔の涙だろうな。おそらく彼自身がいちばん自分の采配にハラを立てている。でもあの人、やっぱり優れたリーダーだと思うよ。ふたたびセリーグのお荷物化していた広島を優勝チームに引き戻したんだもの。ロッテの伊藤監督と双璧。

それにしても、テレビ局も露骨な。出番がなくてユニフォームすら着ていない大谷を撮りまくりだもんね。
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10 ans de Brassens

2016-10-24 | 音楽
マリア・カラスの初版LPはひととおり手に入れたから次はブラッサンスを、と(どういう耳じゃ)eBayを漁ってみて、参ったね。10インチLPが円換算で1万近くする。

いや、価格は仕方ないが、それより困ったことに、どれもこれも盤の状態がひどいらしい。ほとんどVG、よくてEX。つまり軒並み5段階評価の上から3番目以下。

レコードを粗末に扱うことにかけてフランス人はアメリカ人といい勝負だから、EX以下のレコードなんか危なくて、とても手を出せない。使ってるプレーヤーは7インチ・ターンテーブルと圧電カートリッジ(針圧がめちゃ重)のポータブルで、壊れるまで針は取り替えない、なんてのが彼らの常態だったもんね。

あ、新品同様で1000円以下てのも結構ありますよ。でもそういうのは、初版じゃなくて70年代か80年代に出た復刻盤なんだよな。レコード番号で分かる。ジャケットもレーベル・デザインも初版と同じだが、中身はリマスタリングしまくりのギスギス痩せた音。これならノイズがないだけ、CDの方がマシだ。



そんな状況の中で、どうにか行けそうだったのが、写真の6枚組ボックスセット。デビュー10周年記念だから1963年の発売である。つまり初版ではない。

しかし、コンピューターもまだアナログだった時代のレコードだ。リマスタリングはされているとしても、当然、諸悪の根源のデジタル・ノイズフィルターは適用されていない。さらに、当時のフランスはステレオ再生装置が普及していなかったから、疑似ステレオという、レコード史上もっとも愚劣な細工も施されていないはず。で、音質劣化は比較的に少なかろうと見当つけて落札したワケです。

正解。50年代のプレス(のブラッサンスも、1枚だけ手許に残ってるんです)に比べると、わずかにギターの切れ味が鈍り、ヴォーカルの輪郭が甘くなってる感はある。マスターのSN比が劣化した分、高音を丸めたのだろう。

だが、ブラッサンスの太いバリトン・ヴォイスがあたたかな感触でぐんぐん前に迫り出してくる点は同じ。CDの冷たく刺々しい音とは全然違う。満足。

もっとも、収録曲の配列が年代順ではなく、"La geste héroïque et gaillarde"(大胆かつエッチな行い)だの "Le printemps du poète" (詩人の春)だの、テキトーなコンセプトで組み合わせてある。しかもフランス人の常で、選曲の基準が音楽無視の歌詞一辺倒だから、似たような曲調がダラダラ続く結果になって音楽的なメリハリが乏しい。

こういうところがコンピレーションの嫌なとこなんだよな。ブラッサンスの了解のもとに構成してはいるんだろうけど、他人の主観が紛れ込んでしまう。作者の初心が濁る。

以前、森進一が「おふくろさん」に無断でセリフを入れたってんで川内康範が激怒したことがあったが、あれ分かるよ。オレだって、自分の文章に他人が勝手に手を入れたらアタマ来るもん。

ところで、ディランへのノーベル賞授与、オレも基本的にイキな計らいだと思うよ。ディランがちっともありがたがらないので、選考委員は権威主義モロ出しで怒ってるけどね。

たださあ、詩人ディランがやってることって、ブラッサンスがその10年前にやってたことなんだよね。ずっと繊細なマナーで、ずっと美しい声で。その事実は、知っといてほしいです。
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決別

2016-10-21 | 国際
また思い切ったことをやってのけたもんだねえ。元外交官の天木直人氏なんか、大絶賛。

確かに75年前の日本以後、アメリカの覇権にここまで大胆な反旗を翻した東アジアの海洋勢力はフィリピンが初めてだ。痛快と言えば、痛快ではある。

とりわけ、アメリカべったりから一歩も脱けられない現ニッポン外交を顧みると。沖縄を人身御供にして一顧だにしないニッポン国に比べると。

しかしだね、これって言い換えると、フィリピンはこれから中国の属国になる、と宣言したようなものだろ。大丈夫?

中国ってのは、歴史的に周辺各国を見下してきた中華思想の国だよ。属国に対しては、遠慮なく朝貢を要求するだろう。韓国はうかつに中国にすり寄ったばっかりに、いまではTHAADなんか配備したらタダじゃおかねえぞ、と脅されてる。

ともあれこれって、間違いなく米中パワー・バランスの歴史的大転換だよな。さあ〜、アメリカべったりの安倍さん、どう対応するよ。アメリカにとっちゃ、遠い太平洋の向こう端の事態なんぞ、実は大した問題じゃないが、日本にとっちゃ大問題だもんね。
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『たいこどんどん』

2016-10-18 | ステージ

これ、井上ひさしが前進座のために書き下ろした戯曲だと思い込んでいた。それくらいこの劇団になじんでいる、ていうか、劇団初演時に主演した故・中村梅之助丈の印象が強いってことなんだろうな。

いまネットで調べてみたら、井上がこれを発表したのは1975年のことで、前進座の初上演の12年前。元ネタの小説はもっと前の作らしい。つまり、どっちかというと若書きの作品だ。

そのせいか、後年の『國語元年』の緻密さとも『父と暮せば』の繊細な味わいとも違い、率直で豪快な展開で見せる。年代の近い『日の浦姫物語』を連想させるセリフも出てくるが、あれほど入り組んだ構成ではない。大筋はあくまで、肩の凝らないコメディである。

幕末、大店の若旦那と吉原の幇間の二人が運命のいたずらで東北各地を放浪する物語。若旦那の方は、江戸芝居の定番のカネと力のない色男の典型で、比較的に単純な性格設定だから、まあ歌舞伎の基本を身につけた二枚目役者なら、演じるのはさほど難しくないだろう。

しかしタイコ持ちの方は大変だ。序盤の情けない提灯持ちからやがて旦那に売られて恨み骨髄の復讐鬼になり、だが再会すれば情に負け、最後は戦友的同志感情で結ばれる。感情心情の起伏が激しいにもかかわらず、喜劇の洒落気を失ってはならない。その上、お座敷芸の披露まで要求される。

これを若手注目株の筆頭、中嶋宏太郎が演じている。梅之助の名演を覚えている客が多いから大変だろうと思うが、なかなかの健闘だ。全幕を通じて楽天的な軽妙さをうまく表現している。劇中で披露する富本節も見事な喉。随分と練習したことだろう。

ただ、梅之助だと、言葉遊びも幇間芸もサラリと体の中から湧いて出てくるような闊達さがあった。そこが宏太郎はまだ、努力している気配がある。場数を踏めば、もっとほぐれるだろうけど。

劇中、年増の女性キャラはどれもふてぶてしく、アッケラカンと悪事をやってのける。あまりに悪びれないので笑いを誘われるほどだ。これら悪婆役を一手に引き受ける北澤知奈美が実に達者で痛快なのだが、キャラごとの違いがはっきりしないため、似たようなエピソードのくり返しに見えてしまうデメリットもある。

ミュージカル仕立ての芝居だが、いずみたく作曲の音楽は独創的なひらめきに乏しく、とりたてて印象的ではない。そして前進座の歌とダンスのレベルは、もう一つのレパートリー劇団、四季に遠く及ばない。本業じゃないんだから無理もないが。

しかし三越劇場って久しぶりに行ったが、独特の雰囲気があって、やっぱりいい小屋だね。三越本店の建物が持つ古雅な風格を劇場も引き継いでいて、必ずしも覚えていたくはない現実をいっとき忘れさせてくれました。
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58万軒停電

2016-10-13 | 社会
千代田区から板橋、練馬までって、5年前までオレが住んでいた地域じゃん。

午後3時半は、ちょうどMacのOSアップデートをやってた頃合いなんだよね。もしもウチの方も停電してたら、と思うとゾッとする。間違いなくマザボが昇天していただろう。

いや、オレのパソコンなどというちっぽけな問題じゃない。エレベーターに人が閉じ込められ、信号が消え、電車が止まって何万人もの足に影響が出た。ビジネスその他への目に見えない影響を考慮すると、被害額はどれぐらいにのぼることか。

送電ケーブルが一か所燃えただけで、この始末。雪が降ったり豪雨が降ったりするたびに都市インフラの脆弱さが露呈したが、事態はさらに深刻だったわけだ。

東電しっかりしろ--ていうより、なんかもう日本中が劣化しまくってる感じ。高速も橋もボロボロだっていうし。

なんせ、白紙領収書は法律上問題ないなどと閣僚がイケシャーシャー答弁する国だもんなあ。

ところで、OSをSierraにアップデートしたら、6年前購入のポンコツiMacが予想に反して劇的に軽く動くようになりました。溜まっていたゴミファイルが一掃されたためかな。

ゴミ政治家も一掃されんかね。
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