移民

先日の東京新聞で、上野千鶴子が妙なことを言っていた。

「日本はこの先……移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか」
「日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。だとしたら、人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい」

これ、ごもっともなようで、ちょっと変じゃない？　移民を入れれば必ず社会が不安定化する、と言ってるに等しい。移民はすべてレイプ犯でドラッグ中毒と決めつけるトランプと同じ発想じゃん。

アメリカでもヨーロッパでも、移民グループに触法者が多いのは事実だ。しかしそれって、単純に彼らが移民だから？　移民を差別する社会は、まったく責任なし？

職も食も社会保障も平等に与えられるなら、誰が好きこのんで犯罪に手を出すか。ドラッグに逃避するか。

上野の指摘で正しいのは、「外国人に門戸を閉ざす日本が、ゆっくり衰退していく」ことだけだろう。すでに日本の子供の貧困率は、OECD中最低に近い。

オレや上野のようなトシ寄りは、若いころいい思いしたから貧しくなってもいいよ。しかし、これから巣立っていく若い子が一生、貧困に苦しめられるとしたら、あんまり可哀想ではないか。

彼らが出来るだけ幸せになれるように計らうのが、今の大人の責任だろうが。「平和に衰退していく社会のモデルになればいい」なんて、のんきなこと言ってる場合か。

若い世代の今後を考えるなら、外国人に対して門戸を開くしかない。そうしながら、治安を維持する方法はきっとある。まずは、ヘイトスピーチに象徴される「多文化共生に耐えられない」体質の矯正から始めることだよ。