220525_島崎藤村_椰子の実_意訳
2022年5月25日
「椰子の実」 島崎藤村 <意訳>
むこうの浜辺に椰子の実が一つ流れ着いている
名前も聞いたことがないような遠い島から来たんだろう
「いったいおまえは、生まれた島の岸を離れてから、どのくらいさまよっていたんだい?」
「おまえが生(な)っていたという椰子の木はまだ残っているのかい?」
「その幹はまだ元気で、地上に影をつくっているのかい?」
「おまえが波を枕にしていたように、おれも、土を枕にするような流浪の旅だよ」
椰子の実を手に取って胸に当ててみれば、
帰るところがなく、世をさまよっている自分の、
忘れていた哀(かな)しみが、また胸にこみあげてくる
太陽が水平線に沈んでゆく
それを見ていると涙があふれてきてとまらない
沖の方から数えきれない波が来る
いったい、いつになったらふるさとに帰れるのだろうか?
以上
2022年5月25日
「椰子の実」 島崎藤村 <意訳>
むこうの浜辺に椰子の実が一つ流れ着いている
名前も聞いたことがないような遠い島から来たんだろう
「いったいおまえは、生まれた島の岸を離れてから、どのくらいさまよっていたんだい?」
「おまえが生(な)っていたという椰子の木はまだ残っているのかい?」
「その幹はまだ元気で、地上に影をつくっているのかい?」
「おまえが波を枕にしていたように、おれも、土を枕にするような流浪の旅だよ」
椰子の実を手に取って胸に当ててみれば、
帰るところがなく、世をさまよっている自分の、
忘れていた哀(かな)しみが、また胸にこみあげてくる
太陽が水平線に沈んでゆく
それを見ていると涙があふれてきてとまらない
沖の方から数えきれない波が来る
いったい、いつになったらふるさとに帰れるのだろうか?
以上