2019年7月1日 産経新聞 P.10
人生相談「愚痴と批判だらけの夫・・」
私なら、次の言葉を送りたい。
〔著者〕キケロ/セネカ/アウレリウス
〔訳者〕金森誠也・長尾剛
『超訳 古代ローマ三賢人の言葉』
PHP研究所 2012年
(p.29)
● 大所高所に立って物事を観察せよ
目の前のことを、
「目の前のこと」として見るな。
より高いところに心の目を置いて、
「ずっと下で起こつていること」
として観察せよ。
[アウレリウス『自省録』第九巻第三〇章]
(p.43)
● 怒りは自分の欠陥である
怒りは、欠陥である。
怒りを感じたら、それが自分の欠陥だと知れ。
[セネカ『怒りについて』]
(p.49)
● 他人の言葉は人を翻弄させ、平穏になれない
私は、さまざまな騒音よりも、
人が語る言葉のほうが、耳に入れるのが恐ろしい。
騒音は不愉快なだけだが、人が語る言葉は、
心のなかに容赦なく入り込んでくるからだ。
[セネカ『ルキリウスへの手紙』]
(p.50)
● 面倒なことはすべて自分の心のなかにある
面倒なことから解放されたければ、
そう願うだけでよい。
なぜなら、面倒なこととはすべからく、
心のなかにあるからだ。
実際にある出来事はすべからく、
面倒と思わなければ、面倒にならない。
[アウレリウス『自省録』第九巻第一三章]
(p.128)
● 親しむに足りない人物とは
親しむに足りない人物とは、
自分自身を不満に思い、
自分自身の言動のほとんどすべてを
後悔しているような者である。
自分で自分を認められない者は、
他人の心に何の光も与えられない。
[アウレリウス『自省録』第八巻第五三章]
(p.140)
● すべての事物の源泉は極小である
大事件とは、往々にして原因が複雑で、
だから解決が困難だー
と、おまえは思うだろう。
しかし、「複雑な原因をつくりだしている原因」は、
じつは、きっと些細にして単純なことなのだ。
だから、「原因の原因」までさかのぼれば、
どんな大事件も、簡単な解決方法がきっと見つかる。
[キケロ『善悪の限界について』]
(p.145)
● 怒りに対するもっとも効果的な鎮静手段
怒りを静める効果的な方法は、怒ったまま放っておくことである。
怒りを無理に抑えようとしても、できるわけがない。
しかし、時が経てば、何もしなくとも人は冷静になっていく。
怒りとの戦いは、延長戦に持ち込むにかぎる。
[セネカ『怒りについて』]
(p.166)
● おまえを悩ますのは、おまえの判断である
おまえが悩んでいるのは、
おまえの目の前にあるもののせいではない。
それに対するおまえの判断のせいである。
[アウレリウス『自省録』第八巻第四七章]
(p.183)
● 愛情を育てるのはやさしく、憎悪を消すのは難しい
やさしさや愛情を育てる教育は、それほど難しくはない。
ほんとうに難しいのは、残虐さや憎悪を消し去る教育である。
[セネカ『怒りについて』]
(p.196)
● 善人について議論するより、みずから善人になれ
善人とはどんな人なのですか。
-などと聞く暇があったら、おまえが善人になれ。
おまえはほんとうは知っているはずなのだから。
[アウレリウス『自省録』第一〇巻第一六章]
以上