ゆうとたいへ

六十を過ぎて始めた自転車旅行、山登りをつづります

2021年8月9日 ローマ帝国と過疎化

2021-08-09 | 昼間のエッセー
210809_2021年8月9日 ローマ帝国と過疎化

エドワードギボン 中倉玄喜訳『ローマ帝国衰亡史・上』<普及版>PHP研究所 2008年

p.99

 人が至福の世にあるとき、その背後に替行しつつある哀運を見抜くなど、おそらく不可能
に近い。ところが、今まさに、帝国の臓腑には、そうした長い平和と口ーマの単一支配によ
る害毒が徐々に広がりつつあつたのである。人心はしだいに画一化し、天才の炎は消え、そ
して尚武心までもが薄らいでいたのだ。

 <中略>

勇敢であった指導者たちの後裔も、いまや市民たると臣民たるとに満足していた。栄達を
志す者たちの願いは、宮廷か親衛隊に入ることであった。こうした状況下、過疎化が進んだ
属州では政治的求心力が消え、人々はものうげな私生活へとしだいに堕していつた。

 <引用終わり>