それ、問題です!

引退した大学教員(広島・森田信義)のつぶやきの記録

この国の国民の幸福度

2019-04-06 10:10:06 | 教育

 教員養成大学、学部の入学試験の受験者が激減しているという。メディアが伝える教員の労働内容には明るいものはない。際限のない労働時間(それにしては低賃金)、厳しい管理体制(独裁国家に似ているという)、非常識な保護者の存在、教師を軽視する児童、生徒の存在などなど、多くの若者が敬遠する職場であることはよく分かる。それでも、国公立の大学、学部で定員割れが見当たらないのは、わずかな救いである。ただし、低倍率は、有能な若者が敬遠していること(人材不足になること)を示してもいる。/  介護施設では、不祥事、事件が続いている。老人側にも問題があることが報じられてはきたが、介護士による暴行、暴言、殺人などは度を超している。なぜ、無法な介護士が存在するのかといえば、優秀、有能な若者に敬遠されるブラック職場だからであろう。日頃から不満を持っており、それが溜まりに溜まって一気に噴出する時があるのであろう。/  幼稚園、保育園でも同様である。教諭、保育士による暴行、園の不法な経営など、常識では考えられない事例が多発する。保育、教育に関する考え方が根本的に非常識なのである。保育士、介護士の劣悪な待遇に加えて、保育園建設まで、反対される昨今である。こういう環境にすすんで飛び込む、優秀な若者がどれほどいるであろうか。 / 人の生き死に(命)に関わる職場と、人間の内面的成長に関わる職場という、私たちにとって最も切実で、重要な分野がひどいことになっていると言ってよい。その理由は、これらの職場が人間の根幹に関係する重要な場であるという認識と配慮が、政治家や官僚、国家や自治体、国民、市民に欠けているということに尽きよう。決して無視できない額の税金が、人間尊重という根幹部分の支えとして使われていないことの責任は、だれがとるのであろうか。

 この国に生まれ、この国で育てられ、この国で生を終えられることが幸せであったという国になるには何が必要か。平成が終わり、統一選挙が行われるこの時期に、ゆっくり、しかし本気で、考えてみてはどうだろうか。