近くに中規模のドラッグストアがある。品物が豊富なので、便利に利用している。 日によって、レジの前に長蛇の列ができることがある。どうしたのかと店員さんに尋ねてみると、二通りの答えが返ってきた。一つは、「ポイントが2倍になる日」であり、もう一つは、「買い物の総額の5パーセント引きの日」とのことであった。カードのポイントが2倍になるなど大したこととも思えないが、真剣な顔で並ぶ人々の行列を見ると、大したことでもあるようだ。
新しい年度の初めである4月は、諸物価の値上がりの時でもある。デフレ脱却は、回り回って庶民全体を豊かにするなどと、ファンタジーの如き話を作り出す政治家に、この行列を見せ、かつ並ばせてみたい。
スーパーのスィーツの棚の前で、高齢男性が、思案投げ首の体で、高額とも言えない商品を見つめている。糖尿病を気にしているのなら納得がいくが、財布の中身を気にしているのなら、気の毒である。消費税率が上がれば、悩みはさらに深くなるであろう。スーパーやコンビニで買い物をして、家に持って帰る場合とイート・インなどという店内で食する場合では税率が異なるとか、国がポイント還元するなど、煩雑かつ幼稚な操作は、真面目な庶民の怒りを買う所業である。
大借金国の政治、経済に責任と権限を持つ者は、庶民の心を忘れてはならない。
折しも統一選挙の後半期である。投票率の低下と、無投票当選の選挙区の増加は、政治、政治家に対する庶民の「ノー」の意思表明ではなかろうか。
東大の入学式では、辛口の祝辞が話題になっているが、その内容は、庶民にとっては、ごく当たり前のことであった。それよりも、東大生へのインタビューで、官僚になりたいという者が2割程度しかいないことに興味がある。初々しい学生は、まだ庶民の側に居る。