昔は『みすくみ』と読むのだと思っていたが正しくは『さんすくみ』と読む。いい年になるまで間違いに気付かず
使っていて他人が『三竦み』などと言うと『間違いに気付かないのは知らぬが花』なんて、知らぬが花を思うと今
更ながら赤面に至れり。
蛇(ヘビ)が蛞蝓(ナメクジ)をこわがり、蛞蝓は蛙(カエル)をこわがり、蛙が蛇をこわがる様子から「お互いに動き
がとれなくなる」膠着状態を表す。
ここのところの世界情勢は、連邦が崩壊したソ連と眠れる獅子中国が経済力をつけ、共に事実的な大国として大き
な影響力を発揮している。ソ連は崩壊後に豊富なエネルギー資源を武器に経済的な回復を図り、崩壊により独立し
たかつての連邦国を自陣に引き込もうと躍起になっている。その典型的な例がウクライナのクリミアの編入だ。
ヨーロッパはどこの国に行こうがある日本のようにほぼ単一民族が暮らす国など無く、沢山の民族が混在している
のが普通だ。歴史的に侵略、統一、分離で何度も国境線が書き換えられ、その度に人は移動を繰り返してきた結果
が今だから、単一民族だけで治まるはずはない。だからクリミアではロシア系の人が多く住んでおり独立を望む、
それを強引な手法でロシアが支援する、情では理解できそうだが理解することはできない。
ならばロシア国内にある、A地域に住むウクライナ人がウクライナに帰属すべきと同じ行動をとった場合、ロシア
はそれを正しいこととして認めるのか、絶対に認めない事は明白だ。これが許されたら国は存在できなくなる。
Imagineのように本当に国も宗教もない世界が存在できるなら、戦争や無駄な殺戮を繰り返した歴史などなかった
はずだ。もし本当に人間が霊長類の頂点に立っているのなら、過去に何度も過ちに気付いたはずだか、その痕跡は
なく、今も繰り返している。
アメリカ、EU諸国はロシアに不当として制裁を決議、ウクライナは歓迎する、ところがEU内にはロシアにエネル
ギーを頼っている国があり、制裁の在り方は昔のように足並みが揃わない。日本はロシアと北方4島問題で前進さ
せたいと考えているからロシアに強硬な姿勢を採り難い状況下にある。
アジアでは日本と中国、韓国、北朝鮮の関係が微妙になってきた。日本と韓国は竹島、中国とは尖閣列島、日本対
中韓だが北朝鮮と中国が微妙になったら北朝鮮と日本の扉が開かれつつある。それに中国は南シナ海に於いてベト
ナム、フィリピンなどと環礁地域の領有権を巡って対立関係にある。しかし、日本はこうした地域で中国以外の国
とは友好関係にあるから、日本の発言は中国の批判になり関係修復の傷口を広げてしまう。
かつてはフィリピンにアメリカ軍基地があったがフィリピンは追い出す形をとってしまった。経済力、軍事力をつ
けてきた中国はアメリカ軍が居なくなり力の空白になったこの地域に触手を伸ばしてきたという見方が一般的だ。
ウクライナもアジアでも『三竦み』のように3者がきちんとした力関係で睨み合っているのではないが、大局的に
は大きな力を持つアメリカ、ロシア、中国の3大国が鍔迫り合いを演じている。まさに三竦みの様相にある。
何れの国と友好的に接すればメリットが大きいのか思案する国も多いと思う。この話をドラえもんの世界に例えて、
日本の立場からみるとジャイアンが2人いるような・・・・・