窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

野付半島のアマツバメ(A. pacificus)

2019-09-02 22:55:11 | 山野の鳥

 8月から9月にかけ、野付半島にアマツバメががやってきます。5月、6月、7月は

全く見かけないので、遠征してくるのです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

           ◆  野付半島のアマツバメ  ◆

普段は知床連山の山間の森林や山頂部に発生する昆虫を飛びながら捕り棲息している

アマツバメです。この時期に大発生する野付半島の草原や森林の昆虫を捕りに来て

いるのです。

確かに8月や9月は羽化した昆虫が草原の上を飛んでいるのが私でも分かります。

飛びながら虫を食べるツバメチドリやハジロクハラアジサシ、クロハラアジサシなどが

渡りの途中に寄って行くことがあります。それほど多くの昆虫が普段見られない渡り鳥

を引き付けるようです。

さらに根室海峡の洋上で魚を捕り生活するウミネコが集まってきて、上昇してくる虫を

捕っている光景をたびたび見かけます。

アマツバメの体の中には虫が羽化し、上昇気流に乗り移動する時期と場所が記憶され

伝承され、世代が変わってもやってくるのです、きっと。

毎日、地上に降りて休むことなく飛びながら生活するアマツバメ。時速160キロ以上の

スピードで飛ぶんですから100キロ、200キロを移動してくるくらいどってことない

はずです。

以前からアマツバメは飛行し続けて生活すると言われていました。ヨーロッパアマツバメ

が10か月間にわたり、一度も着地することなく連続で飛行することが立件された研究

結果が、2016年10月、アメリカの科学誌カレント・バイオロジーに発表されたんです。

飛び続け、食事をし、寝て休む、排便をし、交尾をし、子育ての時だけ地上に降りる

天空の鳥なのです。

野付半島で私がカメラに収められるのは天気はいいが、海霧が発生しているときです。

朝、太陽が出て地上を温め、上昇気流が起こり、虫が気流に身をゆだね、上へ、上へ

と飛んでいくが、海霧のせいで急上昇にならず、地上に近いところでふわふわしている。

それを狙いアマツバメが地上近くで飛び回る。高速で目の前を通過して行くところで

シャッターを押しまくるのです。

ユスリカみたいな小さな虫を口を大きく開き、吸い込んでいく。繰り返しているうちに

咽喉が膨らみ、凸ぱってきます。直径2センチの塊になるほど虫を固めていきます。

数えた人によると1000匹以上の虫が固められていました。

何ともすごい量です。写真で見ると咽喉ちんこみたいです。笑ってしまいます。