野付半島の干潟にアカアシシギの幼鳥がやってきて食事をとっています。今年生まれの
野付半島で生まれたアカアシシギです。
おばんです。小太郎でごじゃります。
前がアカアシシギの若鳥、後ろはキアシシギ
◆ 野付半島生まれのアカアシシギ ◆
今でこそ野付半島でアカアシシギが繁殖していることは図鑑等にはっきり記載されていますが、
1960年代は日本での繁殖記録は確認されていませんでした。
1972年、野鳥研究家・写真家の高野信二さんと国立科学博物館動物研究部の森岡弘之さんが
野付半島全域を調査し、ヒナを発見しました。前年夏季にかなりの数のアカアシシギを観察し
3羽を採収されていました。それに基づき翌年に本格調査されたのです。
成鳥に比べ脚の橙色が薄い幼鳥
当時は野付半島の道路状況は整備されておらず、漁師が番屋に車で行く踏み分け道のみでした。
観光客は皆、歩いて先の方まで行っていました。人の影響をあまり受けない環境がありました。
調査によると野付半島の基部から先端まで、アカアシシギが観察されています。半島全域の
草原で繁殖していたのです。
私は74年の8月に基部から先端まで歩いて行きましたが、あいにく気づきませんでした。
1980年ころから野付半島に通いだし、アカアシシギを観察しました。当時もまだ論文で確認
された場所にはアカアシシギがいました。
すでに道路が整備され、竜神灯台まで車で入って行けました。観光客も増加し始め、
道路の周辺に人の気配による影響が出始めました。
2000年に入り、道路の拡幅と観光地化に力が入りだしました。
そのころからでしょうか、野付半島の基部から今のネイチャーセンターまでのアカアシシギが
観察されなくなりました。
今季は、竜神岬灯台周辺から半島先端に広がる草原で姿や鳴き声を確認できるだけになりました。
沢山の人がやってこない環境に退避して、繁殖しています。
調査に入っても、以前ほどアカアシシギの警戒する姿に出会えなくなりました。
それでも、今年も生まれたアカアシシギのヒナが干潮時に干潟にやってきてくれます。