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箱根だの強羅だの、石和から野辺山・小諸・軽井沢、草津に伊香保、鬼怒川から那須なんだと言われても、毎週のように山に登ってる者にとっては、泊りで呑気に出掛けるエリアではなくって、日帰りで山に登るときに用があれば立ち寄る、そんな通り抜けるだけの場所でしかない。
良い湯もあるから、立ち寄ってるだけ。
画面ばかり眺めて暮らしてる現代人は、その行動範囲は狭いなんてレベルではなくって、お話にならない。
別荘を持ってたってそこばかり、都会の閉塞生活のまんま、孤立して籠っている。
外国から遊びにやってくる人間の方が、よほどに自由自在に、この日本という風土を楽しんでる。
躁だの鬱だのと言う神経・精神病も、勉強に忙しい、仕事に忙しい、朝から晩まで誰かにナニかに振り回されて、クタクタになって一日を終える生活の延長にある。
俺なんざ、人生60年、まだまだ遊び足りないから時間が無くて困ってる。
悩んでたり、悶々とするなんてことはまるでない。
そうして後悔もなにもない。
愛だの恋だのと逆上せあがって騒いでる皆さんの横で、せっせと女を口説いては子を育て、その繰り返しで生きてきてるから、ありもしない退屈で無意味な夢想すら持ってない。
さて、冬の寒さが厳しい群馬の奥のほうの山では、鹿と言っても毛がふさふさのカモシカばかりになる。
丹沢あたりをウロついてる、蛭をぶら下げてフラフラしてる痩せた鹿とは違って、良い身体をしている。
・・・ということで、仕事を終えて、たいして寝ないまんまで、また暗いうちに出発した。
関越も渋沢・伊香保で降りて、草津方面を目指すつもりだったが、腰と頭が痛いのがなんだか治らないので・・・どうすんべ~か? ということで、チョイとローカルな2000m弱の山を目指した。
スキー場には雪が足りないと言ってるが、奥山には雪が積もってるかな? 車はスタッドレスにチェーン積んであるし、アイゼンも軽アイゼンから10本爪の古いのは積んであったから、ま~ま~、のんびり行くべ・・・と、いつものように険しい山道に入って行った。
毎週のことだから、人間に会わずに、獣たちに会えて、大絶景でも見れば、頭の痛いのも治るだろうと想っておったが、右のわき腹がなんだか痛くなっておった。
オストメイトだからということでもなくって、腰と背中が凝っておって、氷点下の寒さのせいだったろう。
昼には下山して、いつものファイブ・スターの良い温泉に浸かって帰るつもりだった。
登山が目的ではなくって、帰りの温泉のために大汗かいて筋肉を使う登山をする、そういうこともある。
日常をじゅうぶんに愉しんで生きておると、山や海ではマイペースに大いに愉しむ。
霜柱と霧氷、山全体が凍りついている、そんな音が足元からしておった。
コンコンと良い音がする時は、下山するときには溶けてぬかるみになっておる。
コンコンと、可愛いキツネがついて来てる訳ではない。
熱く良い湯に浸かるために、寒く凍えるような山を歩く。
いつものようにいくつかのピークを越える頃には、大汗をかいておった。
足は軽かった。
ほとんど休むこともなく、一気に山頂まで登った。
朝のうちはお日様も出ておったが、昼前から雲行きが怪しくなった。
雪になるか・・・そんな強く冷たい風が吹いておった。
燧ケ岳や至仏山に武尊、榛名に妙義、八ヶ岳にアルプス、奥秩父の山塊のあいだには富士山が見えておった。
先週はあそこらへんで遊んでおった。
霜柱は溶けることもなく、ますます冷え込んでいたから、一気に下山した。
冬は、広葉樹の山しか登らない。
葉が落ちて、眺めが抜群に良くなってる。
明るい森になってる。
車まで下りるといつものように外で上半身裸になって着替えたが、湯気があがっておった。
そうそう、これから湯気の上がる良い湯に浸かるんだと想うと、笑いが込み上げてきた。
腹のパウチを包み込む、スイムラップを忘れて来たことに気が付いたのはそん時だった。
・・・ま~、しょうがあんめ~
手で腹のパウチの袋を押さえて湯に浸かるだけのこと。
たいした問題でもなかった。
だんだんに、オストメイトだという自意識がなくなってる。
露天の湯に40分ばかり浸かってうつらうつら、またまた大量に汗をかいて水分を取り、美味い飯を喰って一気に雨の降る東京へと戻ってきた。
たいして疲れてなかったので、そのまんま銀座の店に出た。
クリスマスと、年末年始、みなド阿呆面さげて消費に大騒ぎ。
俺にはなんということもないがな。
寝る前に腹のパウチの貼り換えをして、布団に入ったら爆睡した。
仕事終えて寝ないでこのくらいはまだ大丈夫だから、朝の勃起もカチカチだべや。
さ、仕事で今日も歩くよ。