高校を出て、綱島の東京通信機に入社し、寮で生活しました。
入寮の社員は6名で、1部屋2名でした。
寮と云っても、普通の民家で、
会社の敷地内に、民家が建てられていると云う感じでした。
住んでいる社員6人が、自室の掃除は当然として、
トイレの掃除もしなければなりませんでした。
1日置きに順番でトイレ掃除でした。
僕は、毎回自分の番は守りました。
このトイレは、昔の事ですから、昔のトイレでした。
このトイレ掃除を嫌がり、他の5名の寮生の内何人かは、
自分の番でも掃除をしていないと思われました。
僕は母の言葉を思い出し、毎回サボる事はしませんでした。
生きていれば、誰でも排便しますし粗相もします。
自分も粗相をし、他の人の手を煩わせるのですから、
他の人の粗相も、自分の粗相だと思えば腹も立ちません。
この寮の主と云われる斎藤さんは、
口うるさく他の寮生に嫌われていましたが、
僕の事だけは目を掛けてくれていると思われました。
彼もトイレ掃除をしていたのでしょう、