#い行き逢ひの……★☆ い行き逢ひの 坂のふもとに 咲きををる 桜の花を 見せむ子もがも: 高橋虫麻呂 : 歌意:あちらの道こちらの道と行き違う国境の坂の麓に咲き乱れている桜の花を見せてあげられる娘がいたらいいな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集第九巻 より■□■
みんなぁ、元気ぃ~?
今日はウチは街頭でインタビューするでぇ。
ちょっとインタビューいいですか?あなたのお名前は?
男 高橋虫麻呂です。
虫麻呂さん、えらいにぎやかですが、ここで何してるんですか?
虫麻呂 あー、ここで送別のお花見です。
送別?どなたの?
虫麻呂 藤原宇合(ふじわらのうまかい)さまです。
宇合さまが西海道節度使に任命されて着任するので見送りに来たんです。
そしたら、桜が満開であんまりにもきれいやから、みんなで別れや桜の花の歌を詠んで宴を催してるんです。
この歌はボクが詠んだんです。
歌の詠み方教えてもらっていいですか?
虫麻呂 読み方ですか? いいですよ。
いゆきあひの さかのふもとに さきををる さくらのはなを みせむこもがも
「い行き逢ひ(いゆきあひの)」っていうのはどんな意味ですか?
虫麻呂 「い行き逢ひ」っていうのは、国の神様どうしが出会った場所を人々が大勢行きかうようになった坂の頂上のことで、平たく言うと国境のことですわ。
そしたら、「咲きをを」るは?
虫麻呂 それは、「咲き撓(さきおおる)る」で花や葉の重みで枝がしなう。たわむほどに茂る。っていう意味です。
どうです!この景色!
ほんまですね。桜、満開ですね。
宴もたけなわ。忙しいところありがとうございました。
みんなぁ~、私、マナ女が、ここ、大阪府と奈良県の国境、龍田道より、藤原宇合卿の送別の宴の生中継のインタビューをお送りしました。