#思ふなかをば……★☆ あまのはら ふみとどろかし なる神も 思ふなかをば さくるものかは: 詠み人知らず : 歌意:天の原を踏み轟かせて鳴り響く雷神様でも、恋しく思いあってる私たちの仲を引き離せるものではない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #古今和歌集 第十四巻より■□■
嵐や雷の季節やなぁ
ウチも雷、怖いから嫌いやで
でも、ウチのこと思ってくれる人が傍におったら平気かも。
雷と表現してるけれど、これはもしかして両親やったり、権威ある人から反対されてる恋人たちの決心の表れかもしれへんなぁ。
怖い雷や、反対してくる恐ろしい人たちから守ってくれる恋人!
頼もしいわぁ~。
第 2052
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◆ ◆ 七夕 |
この夕 降りくる雨は 彦星の 早漕ぐ舟の 櫂の散りかも
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詠み人知らず ◆ ◆ |
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::: 読み ::: このゆふへ ふりくるあめは ひこほしの はやこぐふねの かいのちりかも ::: 意訳 ::: この七夕に降る雨は彦星が急いで漕いでいる舟の櫂のしずくが散っているのだろうか。 |
七夕の季節やねぇ。
七夕のお話は、中国から伝わった星伝説が、古くから日本にあった神様の信仰と結びついて今のようなお話になったものよ。 天の川を見上げるとたくさんの星々があるけれど、中でも特に輝く、琴座のベガが織姫、鷲座のアルタイルが彦星、白鳥座のデネブが二人をとりもち橋を渡すカササギだと昔の人々は見ていたのよ。 結婚して一緒に暮らすようになった織姫と彦星が、おしゃべりばかりして全く仕事をしなくなったので、怒った天の神様に引き離され、7月7日の1日だけカササギの橋を渡って会うように許された七夕物語のお話やね。 二人はこの日を楽しみにお互いの仕事に励むようになったんやね。 でも、この日、雨が降るとカササギの橋を作れないので、次の年の7月7日を待たないといけなくなり、万葉の人々はこの日に雨が降らないように、二人が会えるようにと祈ってあげたのね。 この歌はもしも雨が降ってきたら、きっとそれは、カササギの橋を渡れない彦星が自分で一生懸命に船を漕いで、天の川を渡り、織姫に会いに行ってるんだと考えたんやね。 その船を漕ぐ道具である、櫂のしずくが地上に雨となって降ってきたと思ったんやね。 そうやね。 旧暦の7月7日は、今の日本ならちょうどお盆のころなので亡くなった人を偲んでいるようにも思えるわ。 昔の人は本当にロマンチックで、空を見上げ、星を見て、こんな美しいお話を想像していたんやね。 |
第 1068
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◆ ◆ 天を詠める |
天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
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柿本人麻呂 ◆ ◆ |
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::: 読み ::: あめのうみに くものなみたち つきのふね ほしのはやしに こぎかくるみゆ ::: 意訳 ::: 天上の海には、雲の波が立っていて、月の舟が星の林に漕いで隠れて行くのが見える |
今夜は七夕やね。
そうやね。万葉集には題詞が 「七夕」 となっていて七夕や天の川を詠んだ歌がたくさんあるわね。 でも、この歌の題詞にはただ単に 「天(あめ)を詠める(詠天)」 となっているから 特に七夕を詠んでいるわけではないけれど 「月の船」 ・ 「星の林」 なんて、とってもロマンチックなワードが出てくるわね。
なんか、すごく現代的な感じがして、1500年まえの人の言葉って感じがせぇへんわ。 そうやね。今夜は晴れて織姫と彦星が一年に一度のデートを楽しめるといいわね。
備考…出典は、「右ノ一首(ひとうた)ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ」 とある |