言の葉花壇

何度聞いても美しい日本語に、今日もマナ女とカナ女がにぎやかに呟きます。ぜひお気に入りを見つけてください。

片糸にあれど

2021年05月30日 | 万葉集

#片糸にあれど……★☆ 河内女の 手染めの糸を 繰り返し 片糸にあれど 絶えむと思へや: 詠み人知らず : 歌意:河内女が手染めの糸を繰り返し紡ぐので、片糸だけれど 滅多に切れるようなことはない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第七巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

かふちめの てそめのいとを くりかへし かたいとにあれど たえむとおもへや

昔の河内国(今の大阪府の東部)では糸を染めることや機織りが盛んやったんやで。

糸は紡いで2本を撚り合わせて丈夫にして織物にするんやけれど、片糸はまだ撚る前の1本の糸ちゅうことや。

普通は1本だけやったら頼りないけど、河内の女性が紡いで染めた糸は1本でも丈夫で滅多に切れへん、二人の仲もまだ片思いやけども、自分は切れることなくず~っと思てんるからねっちゅことや。

健気に片思いしてたらいつか相手も思ってくれる、片糸も撚り合わさって布地が織れるくらい丈夫になるんや。

ウチにもきっと何本も撚り合わせて切れへん丈夫な赤い糸がつながった人がおるって信じてるでぇ~。


にほへる香かも

2021年05月26日 | 万葉集

#にほへる香かも……★☆ 橘の にほへる香かも 霍公鳥 鳴く夜の雨に うつろひぬらむ: 大伴家持 : 歌意:ホトトギスが鳴く夜の雨の中、橘の良い香りがどこからともなく漂っているようだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十七巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

みなさん、お元気?

読み方やでぇ~

たちばなの にほへるかかも ほととぎす なくよのあめに うつろひぬらむ

うつろひぬらむ(移ろいぬらむ)=ぬらむは(今頃)~しているだろう、という意味なんで「移動してるだろう」よ。

橘ってミカンのことやろ。

ミカンは秋から冬やんか。

そうね。でも、実は秋から冬にかけてなるけれど、今の季節は花が咲くのよ。

花橘と言って、とってもいい香りがするの。

暑くなり始めた今頃の雨は五月雨(さみだれ)と言って、しとしとと降り続け、なんとなく湿気臭く、じとじとした感じで、物がカビたりして気分も憂鬱になるでしょ。

昔の人は、良い香りで精神を安定させたり、虫よけ等の効能のある草花を知っていて、花橘もそんな植物なのよ。

それに、葉っぱは常緑で果実もたくさん生るので豊作の象徴でおめでたい植物なのよ。

今でも、柑橘系は、果実、皮、オイル等は、薬や洗剤、消臭剤などの用途によく利用されてるでしょ。

そう言えば、ウチの大好きなミカンはビタミンCがたっぷりで抗酸化作用もあってアンチエイジングに最適や。

こんな古い時代からすでに、そう言った作用があるって知っていたのね。

やっぱり、昔の人はエライなぁ。

でも、ウチは香りより実や!

たっぷり食べれる冬が待ち遠しい。

アンチエイジング!アンチエイジング!

フフフ、マナちゃんはわざわざアンチエイジングしなくても、いつも変わらずかわいいわよ。


軒の菖蒲の

2021年05月24日 | 後拾遺和歌集

#軒の菖蒲の……★☆ つれづれと 音たえせぬは 五月雨の 軒の菖蒲の 雫なりけり: 橘俊綱 : 歌意:やむこともなく音が絶え間なく聞こえるのは、五月雨が軒の菖蒲を伝わり落ちる雫だ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #後拾遺和歌集 第三巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

つれつれと おとたえせぬは さみたれの のきのあやめの しつくなりけり

つれづれと(徒然と)=次から次へととか変化がなくて単調な様子やで。

五月雨(さみだれ)=五月に降る雨やで

軒の菖蒲(のきのあやめ)=これはな、軒菖蒲(のきしょうぶ)って言うてな、昔の人は端午の節句に、家の軒に蓮や蓬と菖蒲の葉を一緒に束ねて薬玉を作って吊るして邪気払いしたんやで。

今では菖蒲湯(しょうぶゆ)って言うてお風呂に入れるやろ。

菖蒲(アヤメ)=菖蒲(ショウブ)と一緒で昔はアヤメって言うたんや。

寝殿造や茅葺屋根の軒先に軒菖蒲

そこにしっとり雨が降る。

なんか、雨も美しい光景やわぁ~。


馬にふつまに

2021年05月23日 | 万葉集

#馬にふつまに……★☆ 片思ひを 馬にふつまに 負ほせ持て 越辺に遣らば 人かたはむかも: 大伴坂上郎女 : 歌意:私だけの片思いを馬にすっかり背負い持たせ越の国の辺りへ遣れば、人が半分でも担ってくれるでしょうか。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十八巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

かたおもひを うまにふつまに おほせもて こしへにやらば ひとかたはむかも

ふつまに=はすっかり

おほせもて(負ほせ持て)=お負わせてやから、荷負わせてやで。

人かたはむ(片食む)=人に半分食べてもらう。つまり人に半分手伝ってもらうちゅうことや。

越辺越の国のあたり。今の北陸地方やで。

私の片思いのすべてを馬に負わせて送るからそっちで半分くらい担ってやっちゅう意味。

大伴家持が北陸の長官やった時に大伴坂上郎女が送った歌やで。

大伴坂上郎女家持の叔母で、しかも自分の娘の夫でもある家持の後見人やったんや。

だから、片思いも恋心というよりか、「元気にしてる?何の音沙汰もないけど、こっちばっかり心配してるんや。ちょっとは、そっちからも心配やって言ってきたらどうや。この思いをアンタも半分くらいは持ちや」的な「片思い」に感じるわ。

お姑さんのチクチク感を感じるけど、重い荷物を自分だけで持つんじゃなくて半分だけでも手助けしてって言えるのはええこっちゃ。

みんなも重たい荷物(心配事)があったら、誰かにちょっとでも持ってもらったら楽になるでぇ~。


千重に百重に

2021年05月12日 | 万葉集

#千重に百重に……★☆ 心には 千重に百重に 思へれど 人目を多み 妹に逢はぬかも: 詠み人知らず : 歌意:心では何重にも恋しく思っているのに人目が多いので、愛しいあの人に逢うことができない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十二巻より■□■

 

 みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

こころには ちへにももへに おもへれど ひとめをおほみ いもにあはぬかも

 みなさん、お元気?

千重に百重に(ちえにももえに)=は幾重にも幾重にもという意味よ。

思へれど(おもえれど)=思っているけれど。

人目を多み(ひとめをおおみ)=人の目が多いのでよ。

 な~んか、男の子の言い訳ぽいわ。

だって、人目があるから会われへんなんて・・・

ウチは恋したらいつだって会いたいやん。

 今ならそうね。

昔の日本人は謙虚だったのよ。

自分たちの恋を人に知られたくないって思ってたのね。

 そっか~!

「しのぶ恋」って言う訳や。

そうやなぁ~、それもそれなりにいいかも。

 ウフフ、マナちゃんは恋だったらなんでもコイね。


うちしめり

2021年05月11日 | 新古今和歌集

#うちしめり……★☆ うちしめり あやめぞかほる ほとゝぎす なくや さ月の 雨のゆふぐれ: 藤原良経 : 歌意:しっとりと潤った空気の中、菖蒲が香ってホトトギスも鳴いている五月の雨の日の夕暮れ時。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #新古今和歌集 第三巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

うちしめり あやめそかをる ほとときす なくやさつきの あめのゆふくれ

打ち湿り(うちしめり)=は水気を帯びてしっとりするとかしっとりと落ち着くとかの意味やで。

あやめ=むかしは菖蒲(ショウブ)のことをあやめって言うたらしいわ。

「五月」って言葉は面白いで。

「五月雨」って書いて「さみだれ」って読むんやで。

「五月蠅い」って書いて「うるさい」って読むんやで。

なんか、面白いやろ。

「さみだれ」はしっとり静かな感じやのに、「五月の蠅」はうるさいんやで。

それに「五月」「皐月(さつき)」って言うやろ。

「皐月」「早苗月」が変化したんやで。

「皐(さ)」は神様に捧げる稲の意味が転じて田植えの意味やで。

他にも、「五月」はいろんな言葉があって、ほんまに、にぎやかな月やわ。

みんなも、「五月」のつく言葉、色々探してやぁ~。


藤波の花

2021年05月09日 | 万葉集

#藤波の花……★☆ 霍公鳥 鳴く羽触れにも 散りにけり 盛り過ぐらし 藤波の花: 大伴家持 : 歌意:霍公鳥の鳴く羽に触っただけでも散ってしまった。もう花の盛りを過ぎているんだろう藤の花。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十九巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

ほととぎす なくはぶれにも ちりにけり さかりすぐらし ふぢなみのはな

羽触れ (はぶれ)=はばたいた羽が触れることやで。

この歌は奈良時代天平勝宝2年4月9日大伴家持さんが詠んだんやで。

このころの季節は今より1か月程度ずれてるから4月はちょうど今頃なんやで。

みなさん、お元気?

霍公鳥(ホトトギス)は初夏になったら鳴き始めるんで、「あー、もう春が過ぎてだんだん夏が近くなった」って昔の人は動植物で季節を感じてたようね。

夏の初めを知らせる、霍公鳥が羽を震わせて鳴くから、その、ちょっとの震えにも花の盛りが過ぎた春の終わりを知らせる藤の花も散ってしまうっていうことやろ。

つまり、季節の入れ替わりや。

いよいよ、夏の始まりや。

そうね。


ぬぎかへて

2021年05月01日 | 後拾遺和歌集

#ぬぎかへて……★☆ 櫻いろに そめし衣を ぬぎかへて やま郭公 けふよりぞまつ: 和泉式部 : 歌意:桜色に染めていた春の衣を夏の薄物の衣に脱ぎかえて、今日からは山からのホトトギスの訪れを待とう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #後拾遺和歌集 第三巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

さくらいろに そめしころもを ぬぎかへて やまほととぎす きょうよりぞまつ

今日から5月。

日本の昔の暦では5月はもう夏の始まりやねんで。

家の中の家具調度や着てるもんを夏物にするんや。

みんなはもう夏物に変えた?

ウチはなぁ~、ウチは・・・

まぁ、年中、お・ん・な・じ!

あかんなぁ~。

これからは四季を感じる女性になるように努力するわ。

だから、みんなぁ~、応援してや。