#恋をも我れは……★☆ 石上 布留の神杉 神さぶる 恋をも我れは さらにするかも:詠み人知らず : 歌意:石上の布留の社の神木の杉ではないが、年齢を重ねても私はまた改めて恋をしよう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十一巻より■□■
読み方やでぇ。
いそのかみ ふるのかむすぎ かむさぶる こひをもあれは さらにするかも
「かむさぶる」とは神々しい様子とか神聖な感じということやで。
石上の社に古くからある神々しい杉の木を見上げていると、この御神木のように年齢を重ねても恋しい思いは変わらへん、いや、もしかしたらより恋しく思うやろってことや。
年をとっても恋心は忘れたらあかんのやなぁ。
#行くは誰が背と……★☆ 防人に 行くは誰が背と 問ふ人を 見るが羨しさ 物思ひもせず: 詠み人知らず : 歌意:あの防人となっていく人は一体誰の夫だろうと聞いている人を見るのが羨ましい。何も心配しなくていいのだから。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第二十巻より■□■
読み方やでぇ。
さきもりに ゆくはたがせと とふひとを みるがともしさ ものもひもせず
夫が防人に行くので見送りに行ったら、見物してた人の中に「あれはどなたの夫やろ」とヒソヒソ話が
聞こえたんや。
あ~、なんてのんきに他人事の話してんのやろ、私の夫は、今、まさに防人に行くところで、心配なことばっかりで、何の心配もないあの人たちが羨ましいと、妻の心の声が聞こえてくるやろ。
75年前の日本もきっとこう思ってた女性がいっぱいおったんや。
ウチも好きな人がもし、戦争に行くゆうたら心配で心配で泣き暮らすわ。
1300年前からの昔も今も戦争は絶対にいやや!
この気持ちはずっと変わらへんのや。
(75年目の8月15日に寄せて)
#夏のひるふし……★☆ うなゐこか すさみにならす むきふえの こゑにおとろく 夏のひるふし: 西行 : 歌意:幼い子供が戯れに吹き鳴らす麦笛に驚いてはっと目覚める夏の昼寝時。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #聞書集 より■□■
読み方やるでぇ。
うなゐこか すさみにならす むきふえの こゑにおとろく なつのひるふし
うなゐこか = おかっぱ頭の子どもやで。
すさみにならす= 気ぃの向くままちゅうこっちゃで
むきふえの(麦笛の)= 麦笛のこと。麦の穂は中が空洞やから音鳴るんや。
こゑにおとろく(声に驚く)= 音に、まぁ!えらいびっくりしたわ。
なつのひるふし(夏の昼臥し) = 夏の昼寝やで。
西行さんが昼寝してたら、外で子供らが麦笛作って、鳴らして遊んでたんや。
その笛の音にびっくりして目ぇが覚めたわということやで。
なんとまったりした夏休みの午後やろか。