7月8日に始まったイスラエル軍によるガザ空爆、そして17日から始まった地上作戦によって、パレスチナ人の死者は600人を超えた。多数の子どもたちを含めた一般市民が犠牲になっている。ガザで起きている事態について、7月23日、駐日パレスチナ常駐総代表部のワリード・アリ・シアム氏が記者会見を行った。
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- 記事目次
- パレスチナは占領下にある
- なぜパレスチナはロケット弾攻撃をするのか
- 大虐殺が行われている
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パレスチナは占領下にある
シアム氏は、パレスチナが軍事的な占領下にあることを強調し、イスラエルによる占領は、国連憲章や国際法や外交に関するウィーン条約などに違反するものだと述べた。この占領によって、パレスチナにおける電力や食糧や医療の供給といったあらゆる生活面に影響が出ているという。
7月8日から始まったイスラエルによるパレスチナ空爆のきっかけとなったのは、6月12日に起きたイスラエル人の少年3人の誘拐殺人事件だった。そして、その後には、パレスチナ人の少年が誘拐され殺されるという事件が起きている。シアム氏はこれらの誘拐事件に言及し、ハマスが誘拐を行ったという証拠が全くないにもかかわらず、国際社会はパレスチナを非難していると述べた。そして、誘拐されたパレスチナ人の少年について、「拷問されて、生きたまま焼かれた。彼がパレスチナ人だという理由からだけだ」と言い、「なぜイスラエル人3人の誘拐殺人は国際的に非難されるのに、パレスチナ人の誘拐殺人は非難されないのか。この違いは何なのか」と訴えた。
なぜパレスチナはロケット弾攻撃をするのか
イスラエルは、パレスチナがイスラエルにロケット弾を撃ち込んでいて、それに応戦するために空爆を行っていると主張している。だが、シアム氏は次のように反論する。「パレスチナ人は他の国に対してロケット弾攻撃をしていると非難されている。驚くべきことだが、誰もその理由を聞かない。その理由は、われわれがこの70年間、占領下にあるからだ」。これまで何度も交渉を行ってきて、数々の国連決議がなされたにもかかわらず、イスラエルはその決議に従ってこなかった。それにもかかわらず、今日、国際社会はパレスチナを「テロリスト」呼ばわりして非難しているとシアム氏は訴えた。
また、イスラエルが行っている攻撃について、「自衛」のためと言われているが、パレスチナ側の自衛は認められていないというのかと、シアム氏は問い質した。
大虐殺が行われている
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7月23日時点で、今回のイスラエル軍の空爆と地上作戦によるパレスチナ人の死者は600人を超えた。シアム氏は、これは「ジェノサイド」だと主張する。「自衛という名のもとで、大虐殺が行われている。これは受け入れられることではない」。
だが、イスラエルによる占領に抵抗するパレスチナ人は「テロリスト」と呼ばれ続ける。「われわれの尊厳を保つことのできる主権国家でありたいと願う」とシアム氏は述べた。
シアム氏は、この事態に対して日本が何をなすべきと思うかを問われると、「日本は平和のために重要な役割を果たすことができる」と述べ、中立的な立場を維持し、「武器輸出をしないこと。いかなる軍事的協力もしないよう求める」と述べた。
一方で、日本政府は、2014年4月1日に、これまで武器輸出を実質的に禁止してきた「武器輸出三原則」を撤廃し、武器輸出を解禁した。イスラエルへの武器輸出が可能であることも言明され、今年5月には安倍首相とイスラエルのネタニヤフ首相の間では両国の協力関係を築き上げていくことで合意がなされている。(取材:IWJ・ぎぎまき、記事:IWJ・ゆさこうこ)