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結論は「日本必敗!」…開戦前に存在した「奇跡の組織」総力戦研究所とは? 〔TVディレクター 飯村和彦 BLOG 2017.8.7〕

2017-08-14 23:15:15 | 平和 戦争 自衛隊

TVディレクター 飯村和彦 kazuhiko iimura BLOG

http://kazuhiko-iimura.blog.jp/より転載

2017年08月07日

結論は「日本必敗」…開戦前に存在した「奇跡の組織」総力戦研究所とは?


彼らが導きだした結論は「日本必敗!」
それはまさに「奇跡の組織」だった。

太平洋戦争の開戦直前、1940年9月、
勅命により内閣総理大臣直属の機関として設立された「総力戦研究所」のことだ。
たぶん、ほとんどの日本人はこの総力戦研究所がどんな目的でつくられ、
何を行ったのかを知らないだろう。
それよりなにより、
そんな組織が当時あったことすら関係者以外は知らないに違いない。


総力戦研究所
(photo:kazuhiko iimura)



総力戦研究所

これまで多くの時間を費やして総力戦研究所に関する史料や文献にあたり、
関係者にも話を聞いた。その結果到達した結論が、
冒頭に書いた通り、それは「奇跡の組織」だったのではないだろうか、
ということだった。

「総力戦研究所」設立の目的は、文字通り総力戦に関する基本研究。
各官庁・陸海軍・民間から選抜された若手エリートたちが、
出身機関・組織から持ち寄った重要データをもとに率直な議論を行い、
国防の方針と経済活動の指針を考察し、統帥の調和と国力の増強をはかることだった。


では、なぜ「奇跡の組織」だったのか

その最大の理由は、この組織が、内閣総理大臣直属の機関でありながら、
官民軍の垣根を越えた純粋な研究教育機関だったこと。
教育において重要視されたものは“縄張り意識の払拭”だった。
前述した通り、研究員には各省庁や陸海軍はもとより、
日銀やメディア、民間企業から選りすぐりの人材が登用された。
平均年齢は33歳。
つまり、次世代の日本を担う現役中堅幹部たちが、出身母体の利害を越え、
開戦へと突き進む世相に惑わされることなく、
冷静に当時の日本の国力を総合的に分析した訳だ。

翻って現在の総理大臣直属の各機関の在りようを考えて欲しい。
構成メンバーの多くには、総理や時の政府の思惑に沿った人物が任命され、
だされる提言はといえば、政権が実行したい政策を後押しするものがほとんどだ。
ある政策に対して多くの国民が「NO!」を訴えている場合ですら、
政府方針に真っ向から異をとなえる提言をだすとは考えにくい。

ところが開戦直前の時期、総力戦研究所のメンバーたちは、
勅命による総理直属の機関でありながら、堂々と自分たちの研究結果を発表、
政府に異をとなえることも厭わなかったのだ。

総力戦研究所が行った研究の中から、特筆すべきものを二つあげよう。

まずは、開戦のおよそ10ヶ月前にだされた、
日本の戦争指導機構の致命的な欠陥を指摘した研究、
「皇国戦争指導機構ニ関スル研究」


文書グループ
(photo:kazuhiko iimura)



この研究報告書は、昭和16年2月3日付で作成され、
40部が関係方面に配布された「極秘」扱いの文書だった。
内容は、
「総力戦段階に適した戦争指導機構は、“政府を戦争指導の実行責任者”とする機構。陸海軍は「強力ナル支援」の立場にあるべき。
ところが実際には統帥権が国務から独立し、それ自体が自己運動している現状がある。
これでは到底総力戦段階に適合した戦争指導は望むべくもない」
として統帥権独立制を正面から批判。
さらに、
「可能な限り統帥権を狭義に解釈することで政軍関係の調整を行うべきだ」
として、独自の戦争指導機構改革案を提示した。


統帥権の独立

ここでいう「統帥権」とは、
大日本帝国憲法(明治憲法)第11条が定めていた天皇大権のひとつで、
軍隊の作戦用兵を決定する最高指揮権のこと。
明治憲法下の日本では,統帥権を天皇の大権事項として内閣,行政の圏外においたので、
陸海軍の統帥権の行使に関する助言は国務大臣の輔弼によらず、
もっぱら陸軍では参謀総長,海軍では軍令部総長によるものとされ、
「統帥権の独立」が認められていた。
つまりここに「国務と統帥の二元制」という帝国憲法の欠陥があった。

太平洋戦争においては軍部が、「統帥権」をたてに天皇を利用。
結果、日本は負けると分かっていた戦争に突き進んでいった訳だから、
開戦直前の時期に、政府肝いりの機関だった総力戦研究所が、
軍部暴走の主因であった「統帥権の独立性」に関して、
ここまではっきりと否定していた事実は歴史的に重い。


日米開戦のシミュレーション

総力戦研究所が行った特筆すべきことの二つ目は、「日米開戦のシミュレーション」
いま開戦に踏み切った場合、
戦況はどのように推移し、結果どうなるのかを見極めることだった。

ここで用いられた手法は、
模擬内閣を組閣し、国策遂行と総力戦の机上演習を行うというものだった。
模擬内閣は総力戦研究所の研究生34名で構成され、
彼らは出身機関・組織から持ち寄った第一級のデータをもとに、
想定される戦況の推移を仔細に検討した。
この研究結果は、開戦直前の昭和16年8月27,28日、
首相官邸で行われた「第一回総力戦机上演習総合研究会」で報告された。

総力戦研究所の模擬内閣の導き出した結論は、
「開戦後、緒戦の勝利は見込まれるが、その後の推移は長期戦必至であり、
その負担に日本の国力は耐えられない。
戦争終末期にはソ連の参戦もあり、敗戦は避けられない。ゆえに戦争は不可能」
という「日本必敗」のシナリオだった。
これは真珠湾攻撃と原爆投下以外、現実の戦局推移とほぼ合致していた。

この机上演習に関する報告は、当時の近衛文麿首相や東條英機陸相以下、
政府・統帥部関係者の前で行われたが、
結論を聞いた東條陸相は、

「…これはあくまで机上の演習でありまして、…戦というものは、 計画通りにはいかない。…(この演習の結果は)意外裡の要素というものを考慮したものではないのであります」と発言し、「この机上演習の經緯を、諸君は輕はずみに口外してはならぬ」として、演習について口外しないよう求めたという。

結局、総力戦研究所の研究結果は現実に生かされることはなく、
日本は「必敗」の戦争に突入していく。

歴史に「if」は禁物だか、あえて考えれば、
もしも総力戦研究所のような組織・機関が、開戦間際の時期ではなく、
もっと早い段階、昭和初期にできていたら、
あの不毛な戦争を回避できていたかもしれないし、
そうすれば約320万人もの尊い国民の命が失われずに済んだかもしれない。

では、戦前の総力戦研究所のような、官民の責任ある立場の人たちが、
それぞれの抱える利害を越えて、
一緒になって日本という国の在り方を真剣に考えるような組織なり機関、
あの「奇跡の組織」はもう二度と登場しないのだろうか。

少なくとも今の政治家や官僚にはまったく期待できない。
その意味では「奇跡」がもう一度起こることはまずないように思える。

けれども少し先を見れば、
「もう一度奇跡が起こるかもしれない」との微かな希望がないわけじゃない。
そのほう芽のようなものは、2年前の安保法案反対の運動の中にあったような気がする。
立場を越えた人たちによる縦横の連携だ。



安倍政治を許さない
(photo:kazuhiko iimura)



安倍政治を許さない

将来の日本を支える多くの大学生や高校生が、
自分自身でこの国のあるべき姿を考え始めた事実は大きかった。
彼等の中から、
間違いなく有能な政治家や官僚、各分野の次世代のリーダーが登場してくるだろうし、
そんな彼等であれば、
省益やら政治的な利害、企業エゴなどを越えた横の繋がりをつくれるに違いない。
そしてそのことが、
次なる「奇跡の組織」の登場を現実のものにしてくれるのだろうと想像する。

ではその実現のために、
彼等の親の世代である自分たちは何をすべきなのだろう?

考えるまでもない、
ダメはダメ、
許してはいけないものに対しては躊躇することなく声を上げて行動するしかない。
もうためらっている時間はないのだから。
でないと、懸命に頑張っている次の世代に申し訳ない。

(飯村和彦)
 
 
 
 
 
 
 
 

 


激震!【加計学園獣医学部の図面流出】〔日刊ゲンダイ〕・・・巨大詐欺事件に発展か

2017-08-14 18:04:14 | 加計疑惑

 【関係記事】
加計獣医学部】設計図流出「建設補助金・水増し請求詐欺事件」に発展か 
〔田中隆作ジャーナル 2017.8.13〕

 ・・・鉄骨1本に至るまで指示した設計図は、膨大かつ緻密な書面であった。建築専門家に時間をかけて見てもらった。

 建築専門家は「坪80万円、高くても100万円」と分析する。ところが加計学園の見積もりによると坪単価は約150万円。(総坪数9,857坪)

 建築専門家の見積もりが正しければ坪当たり50〜70万円の水増し請求となる。水増しは総額で約49億〜68億円に上ることになる。


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激震!【加計学園獣医学部の図面流出】

施設・設備概要もベラボーに高い建築単価のウソもすぐにバレる 
いよいよ森友疑惑とソックリの状況になってきた
インチキ計画を認めた国家戦略特区諮問会議はもちろん、議長である安倍首相も責任を免れないのは言うまでもない
(日刊ゲンダイ)

 

 【関連記事】

加計獣医学部の図面流出…法外な建築単価のウソも露呈か 日刊ゲンダイ 2017.8.15

・・・ 加計学園は、このバカ高い建築費を根拠に、今治市に96億円(うち愛媛県が32億円)の補助金交付を申請していた

・・・加計問題は森友問題とケタが2つも3つも違う。刑事事件に発展するのは間違いないだろう。

 

 

 

 


【加計獣医学部】 設計図流出「建設補助金・水増し請求詐欺事件」に発展か 〔田中隆作ジャーナル 2017.8.13〕

2017-08-14 17:40:08 | 加計疑惑

田中龍作ジャーナルhttp://tanakaryusaku.jp/より転載

【加計獣医学部】 設計図流出「建設補助金・水増し請求詐欺事件」に発展か

2017年8月13日 21:07

来年4月の開学を目指し急ピッチで建設が進む加計学園・獣医学部キャンパス。=今治市いこいの丘 撮影:筆者=

来年4月の開学を目指し急ピッチで建設が進む加計学園・獣医学部キャンパス。=今治市いこいの丘 撮影:筆者=

 文科省の大学設置審が認可の判断を保留した加計学園岡山理科大学・獣医学部。ここに来て建設補助金の水増し請求を立証する資料が流出した。獣医学部棟の設計図である。

 田中は工事関係者の はからい で設計図を つぶさに 見た。タイトルは「岡山理科大学 獣医学部 今治キャンパス 新築工事及び周辺工事」。加計学園のファミリー企業であるSID創研と大建設計が平成29年3月に作成した。

 鉄骨1本に至るまで指示した設計図は、膨大かつ緻密な書面であった。建築専門家に時間をかけて見てもらった。

 建築専門家は「坪80万円、高くても100万円」と分析する。ところが加計学園の見積もりによると坪単価は約150万円。(総坪数9,857坪)

 建築専門家の見積もりが正しければ坪当たり50〜70万円の水増し請求となる。水増しは総額で約49億〜68億円に上ることになる。

今治市による「土地の無償譲渡」と「建設費の補助金提供」の差し止めを求めて、住民たちが監査請求をした。=6月12日、今治市監査委員会 撮影:筆者=

今治市による「土地の無償譲渡」と「建設費の補助金提供」の差し止めを求めて、住民たちが監査請求をした。=6月12日、今治市監査委員会 撮影:筆者=

 森友学園の籠池理事長夫妻は小学校建設にあたって、国土交通省の補助金5,644万円を詐取したとして逮捕された。

 加計学園獣医学部の32億〜45億円と比べれば実に可愛いものである。(建築専門家の見積もりが正しい場合)

 今治市と愛媛県は建設費192億円のうち半分にあたる96億円を負担する。

 税金として搾り取られることになる住民が設計図と見積書を出すよう求めても、行政は「審査中なので公開できない」と言って拒んできた。

 いくらでも水増し請求ができる構造だ。私学建設をめぐるブラックボックスともいえる。そこに文教族の政治家と建設業者が蜜を求めて群がった。 

 設計図の流出は不正にメスを入れる絶好の機会となるだろう。安倍一強が揺らぎ始めた今、捜査当局の奮起を期待する。

  〜終わり~

 

 

 

 

 


三浦 瑠麗さん、懸賞論文で自民党総裁賞をもらっていた。最初から御用学者になる気、満々?〔想田和弘ツイート 2017.8.13〕~その論文とは

2017-08-14 14:58:10 | シェアー

 【関連記事】 最近、人気の?「三浦瑠麗を真似してみた」 北原みのり 〔AERAdot.〕 / まんが・三浦瑠麗さん

 

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画像に含まれている可能性があるもの:テキスト

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 https://www.jimin.jp/involved/campaign/pdf/1-1.pdfより転載

第 1 回 国際政治・外交論文コンテスト 自由民主党 総裁賞

「日本の国際貢献のあり方」を考える

三浦 瑠麗  

1、国際貢献とは日本の生き様を示す舞台でなければならない 日本の国際貢献のあり方について考える際には、その前提として、そもそも国際貢献とい うものをどのように捉えるかについて明確にしなければならないだろう。と言うのも、国際貢 献という言葉ほど、使う者によってその内容が異なり、その目的と手段に様々な議論がある 言葉も尐ないからである。

思うに、日本の国際貢献のあり方を考えることは、単にイラク復興支援にいかなる貢献を 行うか、或いはODAの望ましい形とはいかなるものであるべきかを問うことにとどまらない。 国際貢献の究極の目的は、国際社会の住人としてその責任を果たすことであり、日本の信 じる正義を実現することである。そのためには、世界全体が抱える課題を主導して解決して いくことも必要であろうし、日本ほど恵まれない国々に手をさしのべることも必要であろう。ま た、時には、日本が信じる正義を阻もうとする勢力に厳しく対処することも必要かもしれない。 しかし、私は、日本の真の国際貢献とは、国際社会に日本の生き様を示すこと、日本の理想 を高く掲げることでなければならないと考えている。
 我々日本人は、過去10年間の長引く不況と漠然とした閉塞感の中で自らの姿でさえ見失 いがちだが、国際社会において、日本は類い稀な国であることを今一度自覚すべきである。 日本は、アジアの諸国家の中で最初に近代化を成し遂げ、戦後は、平和主義の理想を高く 掲げつつ世界有数の経済大国・技術大国となった。日本は、世界一の長寿国であり、世界 一安全な国である。世界に誇れる独特の伝統を保持しつつ、世界にも例を見ない美しい国 土を持った国である。我々日本人は、国際社会においては、まさにジャパニーズ・ドリームの 体現者であることをまず自覚すべきである。その上で、どのように具体的な国際貢献をなし 得るか考えてみるべきであり、国際貢献とは、日本の生き様を国際社会に示す舞台でなけ ればならない。

2、国際貢献を取り巻く議論の特徴 過去10年の日本の不況は、バブルの後遺症であり、中小企業不況であり、金融不況であ ったというように様々な性格付けができるであろうが、何よりも、日本人の自信の不況、理想 の不況だったのではないだろうか。国際貢献をめぐる議論の設定もまた同様であり、日本の 考える理想の姿が映し出されていない昨今の状況は真に由々しき事態である。
 例えば、イラク戦争後の復興支援をめぐって展開された議論も、「日本は自衛隊を派遣す るのか」、「イラク復興で日本の分担資金は幾らか」或いは、「日米協調と国際協調主義の矛 盾にいかに対処するか」等々であった。いかにも自信がなく、ほとばしるような理想の力は微 塵も感じられない。問われるべきは、むしろ「世界の平和と安定は如何に確保されるべきで、 日本はいかにしてリーダーシップを発揮できるか」或いは、「中東の未来をどのように描き、 日本の貢献はいかにあるべきか」ではなかったか。イラク復興をめぐっては、第2次世界大 戦後、外国の軍隊による占領の経験を持つ日本の経験を生かす余地は大いにあったはず である。また、北朝鮮による大量破壊兵器の脅威を身近に感じる日本は、イラクの周辺国が 感じる、イラク政権への憤りと、地域の不安定化への懸念の両方に対して理解が示せたの ではないだろうか。さらには、イラク問題の核心を貧困や貧富の差に由来する人々の閉塞間 に求めるとすれば、日本の経済復興と人作り中心の成長戦略こそモデルとなるはずではな いだろうか。発想の第一歩を変えただけで、様々な論点が見えてくるではないか。
 日本はODA政策全般について、新ODA大綱の掲げる国益重視の原則は当然としても、 今以上に日本の理想にこだわった貢献策を打ち出すべきではないだろうか。持続可能な経 済発展のためには、最終的には技術力の向上が不可欠であるが、技術を支えるのは人作り であり、元気な中小企業群であるということ、資本主義経済においては競争を軽視してはな らないが、競争至上主義は必ずしも成功しないこと、安定した労使関係の必要なこと、経済 発展が環境に与える影響に配慮すべきこと、都市化との関連ではコミュニティーや家族を重 視すべきこと等、ODAには、日本の貴重な経験を凝縮させ、伝えていく義務があるのではな いだろうか。日本の国際貢献の隅々には、日本人の知恵と生き様が体現され、日本の理想 を掲げられているべきである。

3、アジア諸国の理解が鑰 日本の理想やジャパニーズ・ドリームと一言で言っても、それを受け入れる土壌がなけれ ば広範な効果は望めない。この点については、現代の我々も戦前の経験から学ばなければ ならないであろう。私は、戦前の日本が掲げた理想が一から十まで全て誤っていたとは思わ ないが、それを日本人以外にも分かりやすく伝達し、日本の理想に共鳴する人々を増やして いく作業がうまくいったとはお世辞にも言えないだろう。
 日本の理想を掲げた国際貢献策を推進していくことは、「日本はいい国だなあ。」と言う一 種の素朴な感情の基づいている。日本人としては、素朴な愛国心を持つことは重要でなこと であり、自然なことである。もっとも、だからと言って外交も素朴であって良いということには ならない。外交は戦略的でなければならず、独りよがりは許されない。効果的な外交政策を 実施するにあたっては国際社会において多数派を形成する能力、説得力を持つことが何よ りも重要である。日本は自らの主張を国際社会で実現していくためには、日本の良き理解者、 日本の理想に共鳴する国家群の存在が不可欠である。このような観点から、日本の理想に 基づいた国際貢献を実現していくためには、何よりも、日本とアジアとのつながりを密にする 新たな対アジア戦略の構築が不可欠である。
 新たな対アジア戦略を考えるにあたってのキーワードは、やはり地域統合であろう。国際 社会の様々な問題を適切に処理していくにあたって、地域の担う役割は益々強まってきてお り、アジアの地域統合において日本の果たすべき役割は非常に大きい。我々の眼前には、 日本の理想を堂々と主張し、その実現を通じてより良いアジアの未来を形成していく広大な フロンティアが広がっている。

4、日本こそが地域統合の流れを主導するべき 地域統合の2つの大きな柱は、安全保障分野と経済分野である。安全保障の分野におい て地域統合の流れを大きく左右する要素は、アジア全体に駐留する約10万人の米軍の動 向と、勃興する中国の今後の方向性の2つであろう。そして、必ずしも自覚されていないが、 これらの2ヶ国に対して最大の影響力を有するのが他ならぬ日本なのである。
 米国にとってアジアにおける最大かつ最重要の同盟国は、間違いなく日本であり、財政的 な貢献能力や、安定的な親米世論の存在から言っても、日本はアジアにおける米国の国益 に対して最大のレバレッジを有する国家であることは疑い得ない。一方、中国はというと、共 産党政権の存続と国家としての一体性の維持のために、継続的な経済発展を必要としてお り、そのためには、最大の隣国であるとともに、最大の貿易相手国である日本との良好な関 係を何よりも必要としている。
 以上のような戦略的な位置を有する日本が理想とすべきアジアの安全保障とはいかなる ものであろうか。それは、一言で表現するならば、平和と正義が両立する安全保障体制の構 築であろう。すなわち、地域の問題を不断に話し合い、何が正義にかなうかの共通認識を育 みつつも、いざ有事が想定される場合には、果敢に行動に出られるような体制の構築である。 そのような体制は、日米中等を“常任理事国”に持つアジア版の国連に近い組織かもしれな い。日中関係を仏独と類似の関係まで高めたEUに近い組織かもしれない。そこには、アジ アの地域統合における米国の役割をどのように考えるかといった難問が山積しており、さま ざまな現実的困難はもちろん予想される。重要なことは、日本がアジアの代弁者となり、アジ ア統合の主導者となるだけでなく、日本こそが他のアジア諸国の最大の理解者となり、アジ アの正義と理想の体現者となって、真の“共栄圏”を確立するための努力がなされることであ る。
 地域統合のもうひとつの柱である経済分野については、さらに日本のリーダーシップが必 要とされている。なぜなら、日本はアジア地域において圧倒的な経済規模と技術力を誇って おり、日本なしで経済統合を推し進めたとしても各国の得られる利益は決して大きくないのに 対し、日本と他の諸国を含んだ自由貿易地域が実現すれば、アジア地域に相互補完的な経 済の流れが大きくなり、各国の受ける利益も大きいからである。
 現在、地域統合の文脈でよく議論されている自由貿易協定(FTA)についても、今尐し、高 次元の日本の理想を踏まえた議論を展開すべきではないだろうか。FTAの文脈では、農業 問題の存在を取り上げてその実現困難を指摘する議論が多いが、これこそ、後ろ向きの問 題設定の典型である。日本が農業の“自由化”を迫られている中で様々な主張を展開したと しても、他国には残念ながら言い訳としてしか認識されないであろう。
 それよりも、農業問題はわれわれ人間としての根本の問題であることを正面きって主張す ればどうであろうか。全ての国家がある程度の食糧自給率を確保する権利を尊重すべきこ と、農業が環境に対して果たしているいわゆえう“多面的機能”を尊重すべきこと、全ての人 は食の安全を確保されるべきであり、それを保障するための制度が構築されるべきこと等は、 日本の考える一種の理想として堂々と主張すべきである。
 農業問題意外についても、経済統合の過程においては、モノの貿易の自由化に加え、金 融政策、投資政策、競争政策、知的財産政策等の分野のほか、環境政策や福祉政策等も 含めた、社会のあるべき姿全体を念頭に置いて議論が行われなかればならず、それぞれの 分野において日本の経験と理想をもって議論をリードしていくべきである。地域の経済統合 を実現し、我々の未来にどのようなアジアを実現できるかは、現在の日本人がどれだけ主体 的に行動できるかにかかっていると言っても過言ではない。

5、結語 日本の国際貢献を考えるにあたって、我々日本人も、そろそろ他国に何を求められている かを中心に考えるのをやめ、日本は何を理想とし、その理想を実現するための戦略的な方 法は何かを問うべきではないだろうか。そのためには、日本人自身が自らの価値観に自信 を持たねばならないし、世界の中における日本の地位を客観的に認識できるようにならなけ ればならない。外国のことだからよく分からないと言うことでは通用しない。日本の理想を掲 げることは、他国に対して優越的な地位を主張したり、、威張ったりすることではない。むしろ、 日本と言う類い稀な国に生まれた我々の、世界とアジアに対する特別の責任を自覚した覚 悟の必要な姿勢である。日本の国際貢献のあるべき姿は日本の理想を高く掲げることであ ると考えるが、それは、日本人自身の生き様を世界に対してしめしていくことに他ならない。

 

 【関連記事】

★防衛省・自衛隊HPより⇒http://www.mod.go.jp/j/publication/ronbun/17/miura.html

平成17年度「安全保障に関する懸賞論文」三浦瑠麗
優秀賞:三浦瑠麗
主題  ①新たな脅威や多様な事態への対応に関し防衛庁・自衛隊に期待すること
副題  備える平和の実現に向けたリーダーシップ -民間協力と官庁間協力のさらなる推進-
本文  「備える平和」論


 

 

 


最近、人気の?「三浦瑠麗を真似してみた」 北原みのり 〔AERAdot.〕 / まんが・三浦瑠麗さん

2017-08-14 13:08:01 | 紹介

ご存知のとおり今をときめく国際政治学者で、東京大学卒業、30代、美人…三浦瑠麗さん!


AERAdot. https://dot.asahi.com/wa/2016052600056.html?page=1

北原みのり「三浦瑠麗を真似してみた」

2016.5.29 07:00

三浦瑠麗さんの話法を研究したら、なんと…(※イメージ)

三浦瑠麗さんの話法を研究したら、なんと…(※イメージ)

 

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。オジサン社会で、女の声を通すための方法がわかったという。

*  *  *
 女友だちと会うと、なぜか三浦瑠麗さんの話題になる今日この頃。ご存知のとおり今をときめく国際政治学者で、東京大学卒業、30代、美人。私たちの話題は残念ながら「ご活躍素晴らしいよね」というものではなく、「なぜオジサンは三浦瑠麗さんが好きなのか」である。そうですよね。オジサンは右も左も関わらず、メロメロですよね。

 確かにテレビ討論などを見ていると、三浦瑠麗さんの存在感は圧倒的だ。言葉は悪いが、たとえご発言に中身がなくても、自信に満ちた調子で場を制する様子は、対論側が視野狭く、物知らない人に見えてくるほど。

 先日、友人が、大発見をしたという感じで言った。「会社で三浦瑠麗を真似してみた」と。ふだん、会議でオジサンたちに疎ましがられるのを感じている彼女。ものは試しにと、テレビ討論の三浦瑠麗さんの話法を研究したのだという。

 それはまず顎を引き、首を傾け、上目遣いで相手をじっと見つめることからはじまる。
語る時も同様、首を傾げたまま、斜め下から目力強めに、でも口元には笑みを忘れず、かといってそれは媚ではなく寛容と不敵さを絶妙に混ぜること。そして発言する時も、自分の意見をまず述べない。
まずは「◯◯さんが仰ることはごもっともなんです」と肯定した上で、「◯◯さんが仰るのは、こういうことですよね」と頼まれてもいないのに解説をし、それから「ただ私が申し上げたいのは2点です」と論点の数を言ってから意見を言う。

 

 そうすると、「びっくりするくらい、オジサンたちの受けがいい! 企画がすぐに通った!!!」と。

 彼女によれば、美人じゃなければ無理なのではないか、若くなければ無理ではないか、との心配は無用だという。つまり強く言う女の言葉には自動的に耳がふさがってしまうオジサンも、まず肯定され、自分の意見を解説されると、後にどんなに否定されても気がつかないらしい。

 さらに彼女が言うには、これまでビジネスウーマンの間で御法度とされてきた腕組みイン・フロント・オブ・オジサンもOKとのこと。なぜなら「三浦瑠麗さんもやっていたから」。腕組みしながら首を傾け黙っていると、何故か話が通りやすくなるという。オジサンは女のぎゃんぎゃんを嫌うが、とはいえ女の沈黙は怖いのだ。ここでは腕組みししゃべるのではなく、腕組みし黙るのがポイント。ということで、会社で疎まれる傾向のある女性の皆さん、試してみてください。

 女が理詰めで怒り、痛みを訴え、それはあ~た女性差別よ、と批判しても「ヒステリック」だとか「誹謗中傷だ」と逆切れする(最近の国会でそんなことありましたね)オジサン社会で、女の声を通すのは難しい。フェミを名乗った途端に危険人物扱いされる男尊女卑社会で、オジサンに一目置かれる女の技に、社会に怒り続けてきた女たちはため息をつきつつ、首を傾げ斜め下から上目遣いで語る術を……学ぶべきかどうか検討中です。

週刊朝日 2016年6月3日号

 

≪ご参考に≫***********************:

まんがイラスト ぼうごなつこのページ

http://bogonatsuko.blog45.fc2.com/blog-entry-1459.htmlより転載

20170612御用ジャーナリスト