古里の暮らしの中で

私の住んでいる地域の文化を紹介する

ゲゲゲの女房(5)

2010-05-03 20:54:34 | Weblog
買い物ついでに安来の親戚へ庭の花を届けた。

偶然、米子の親戚が夫婦で、ゲゲゲの女房の大塚へ見学に行った帰りだと立ち寄られた。
お土産に、つなぎ石に彫られた水木しげるさん夫婦の姿と同じ焼印のついた、お饅頭を買って来ておられた。
今日も人出が多かったそうだ。
布枝さんの御実家で長靴を履いた中年の男性がおられて
「私がテレビで、おばちゃんいつ帰るの、と言った子供です。」と言われたとか。

安来の親戚への土産なら、千鳥羹のほうが喜ばれたろうにと内心思ったけど
たぶん、千鳥羹を知っておられなかったのだと思う。
千鳥羹はテレビドラマのお見合いの席へ、主人公が持って出たのだが
気づいた人はいただろうか。

安来がでる場面がこれで最後の放送だという時、王陵の丘の風景が写真で出たね、と
都会に出ている娘も連絡してきて、「ゲゲゲの女房のテレビ放送はこっちでもだんだん
評判が良くなって結構話に出るよ」と言う。

家に来た子供たちが水木さんの色紙を見て、どうしてこんなのがあるのと聞くので
遠い親戚だからと答えると、遠いと言ってもどんなに遠いか教えてと、子供は妥協がない。
私も良くわからないから、もう一度どんな関係か教えてくれという。

「大杉漣さんの安来節が、下手だけど歌ったという設定だとしてもひどすぎて、
聞いていられなかった」と私が言ったら、娘は「それはいつも聞きなれているからだ。
こちらの者はそんなことないと思うし、私はあれでも上手だったと思うよ。
うちのお母さんなんか、大杉漣さんが安来節を歌うシーンは涙を流して見ておられたよ」と言う。

地元では、思いがけない所や思いがけない人の上手な安来節が飛び出すから、うっかり唄えない。
一度でいいから、誰も本場の安来節を聞いたことがない所で、素人の安来節を唄ってみたい。
これなら案外、娘の所ならいいかな・・・

私は初めての見合いで結婚したので、母は、「一度でいいから断ってみたかった」と言った。
布枝さんの時代はもちろん、私達の時代のほんの少し前の田舎ではまだまだ見合いが多く、
仲人さんが行ったり来たりでまとめることが多かった。
なかなか返事がないと、お菓子を持って行ったりして仲人さんが動かれた。

早く返事が欲しい時には、生魚を持って行く。冷蔵庫のない時代のこと、早くいい返事をとせまった。
これで、その魚を食べてしまうようでは、しっかりした母親とはいえない。
賢い母親は、その魚に塩をしておくものだ、と母は私に言った。今ならさしずめ冷凍か。

最近は草食系男子が多くなり、自分でプローポーズも出来ない男が多くて嘆かわしいなどとテレビで言っている。
そうだろうか。昔の男はプロポーズなんかしなくても、みんな仲人さんがいい具合にしてくれて、
仲人さんにお願いします、と言えば全部段取りをしてもらえた。

私もプロポーズはなかった・・・思い出したら悔しい気持ちになってきた。
魚が来るまで待って、塩をしてもう少し粘ればよかったかな。