地獄に堕ちた勇者ども (★★★★★)
1969年・伊=スイス
制作:
アルフレッド・レヴィ
監督・脚本:
ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:
ニコラ・バダルッコ
エンリコ・メディオーリ
撮影:
アルマンド・ナンヌッツイ
パスカリーノ・デ・サンティス
音楽:
モーリス・ジャール
出演:
ダーク・ボガード、
イングリッド・チューリン
ヘルムート・バーガー
シャーロット・ランプリング
1930年代のドイツを舞台にナチスの陰謀と野心の犠牲となって滅ぴてゆく鉄鋼財閥の一家の運命を描いたヴィスコンティの大作
事堂放火事件の日の家族パーティーの夜、当主が何者かの陰謀によって暗殺されたことを皮切りに、一族の跡目相続をめぐる骨肉の争いが始まる。
ナチの格好の餌食となった一族の堕ちていく人間模様が醜くも華麗に描かれている。
裏切り、陰謀、殺人にはじまり、女装、幼児性愛、大量虐殺、果ては近親相姦まで性的倒錯限りを尽くす一族の御曹司マルティン演じるヘルムート・バーガーの魔性の美貌に釘付け。
狂気の沙汰の狂った時代が生んだ独特の世界は、自分の人生と何の共通点も見出せないにも関わらず、倒錯的で破壊的な人間を描いた作品にとりわけ惹かれるのは何故なのだろう、といつも思う。
潜在意識の中に潜むもう一人のわたしを垣間見ることがあるからかもしれない。
人間の持つ汚いどろどろとした部分を、実に魅力的で美しい俳優たちを起用して、エロティシズムに、甘美に描いているのでヴィスコンティの作品は強烈な印象を残す。
ヴィスコンティ監督に、12年に渡り寵愛されつづけたという妖しい魅力のヘルムート・バーガーがいい。
あれだけの倒錯の限りを尽くす人間にはあれだけの妖しい美貌がないと絵にならないのかもしれない。
イングリット・チューリンは、中年の女のいやらしさ、女のしたたかさ醜さを見事に演じている。
まあ実にいやらしいこと
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