門前の小僧になりたいくらげ

学究的な空気に憧れて専門家の周りに出没しては雑感を綴るブログ。化石鉱物系がやや多し、の予定。

大野市手取層群発掘体験〜2017.09.10ジュラシックアーケードin柳ヶ瀬その1〜

2017年10月16日 | 古生物学・地学

 美川憲一さんの柳ヶ瀬ブルースで有名な岐阜市内の商店街、最近は恐竜やお化けでも町おこしを行っています。恐竜ロボなどが10体以上集まり、毎年スタンプラリーで大賑わいなのですが、息子その3がまだ幼くて歩き通せないだろうなということもあり、くらげびと一家は参加を見送っていました。ところが今年は作り物の恐竜はもういいわ、と斜に構えていた息子その1が珍しく行きたがりました。なんで?

「タンバリュウが来るっ!!」

・・・毎度のことながらすごい情報収集力ですな。(その情熱を勉強にぶつけてくれれば、、、っていうのは親のエゴか。)

 そんなわけで息子3人引き連れていざ会場に着いてみると、半ば諦めていた化石発掘体験ができそうな行列の並び具合です。福井県大野市産出の手取層群の石と聞いて迷わず並ぶ息子達。列は意外に早く進み、40分ほどで順番が回ってきました。

 

 すでに化石が含まれている石を用意していただいているのですから、あとは探し出すのみ!息子3人がそれぞれ二枚貝を割り出し、大満足の15分でした。石の硬さからいくと手持ちのカッターナイフでのクリーニングは難しそうです。息子たち、どうするつもりなんでしょうか。

 割った中から各々お持ち帰り用の石を一つ選んで袋に入れてもらうと、スタンプラリーをしながらタンバリュウの元へと向かいます。

追記:恐竜ロボなど10体以上と書きましたが、特殊造形製造・レンタル会社<郡上ラボ>から今年やってきた恐竜は9体です。あとは風船恐竜とか、まちかどアートの恐竜とか、いろいろ入っています。   


国際化石の日〜2017.10.15&16〜

2017年10月15日 | 古生物学・地学

 国際化石の日をご存知でしょうか?本年から国際古生物学協会によって制定され、今年は今日と明日の2日間だそうです。(・・・ということは日にち固定ではないのですね。)”すべての人が「化石を」楽しむ日”がコンセプトのこの日、博物館などでは協賛イベントもあるようですので、調べてお出かけ、も楽しいかと。

 

参考:International Palaeontological Association 公式サイト内 International Fossil Day

   日本古生物学会公式サイト内 国際化石の日(2017年10月15日・16日)が制定されました


名和昆虫博物館〜2017.08.20〜

2017年10月14日 | 博物館

 

  岐阜市は金華山のふもとにある個人設立の昆虫専門博物館です。設立当初の害虫駆除のための研究や啓蒙から昨今の自然教育の一環としての一般昆虫啓蒙普及に軸足を移しつつ、5代にわたって続いている博物館で、沖縄県の小浜島に名和昆虫博物館はいむるぶし分館があります。

 第一印象は、、、まず建物が凝っています。設計者は武田五一氏、奈良唐招提寺金堂と講堂の古材が支柱に使われていて(初代館長がシロアリ研究の一環としてシロアリ被害木をもらいうけたそうです)、昆虫ではなく建物目的の来館者も多いとか。確かに趣あります。登録有形文化財であり、岐阜市の都市景観重要建築物にも指定されています。

 さて、一歩入るとそこは昆虫ワールド。壁という壁、ケースというケースに標本がずらりと並んでいます。合間合間に生体展示があり、運が良ければタガメが捕食する様子を見ることができたりします。初代館長が発見したギフチョウの展示コーナーも当然あります。スタンプラリーあり、クイズあり、アンケート抽選で標本のプレゼントあり、など、子どもが喜ぶ仕組みがたくさんですが、何よりありがたいのはスタッフの皆様との距離が短いこと。来館者の素朴な質問や疑問に付き合ってくださったり、標本作成教室などのイベントがあったり。夏休みは自由研究の相談などで毎日大賑わいだとか。友の会である「昆虫楽会」に加入すれば年間入館無料やミュージアムグッズ割引などの特典があるそうです。

        

                

 

 

参考:名和昆虫博物館 

   岐阜市公式サイト内 岐阜市都市景観重要建築物一覧


殺虫の是非〜飼育・標本作成について昆虫の専門家に聞く〜

2017年10月13日 | 生物

 昨日昆虫標本の作り方Q&Aみたいなのをアップしておいてなんですが、標本作りについてどういう態度をとるべきか、くらげびとは実のところ迷っておりました。手当たり次第に虫をちぎるよりはマシとはいえ(あ、息子達これはやってませんよ^^;)、息子達の性分から言ってのめりこむと昆虫の大量虐殺につながってしまいそうだし、知的探究心は満たされるだろうけど命の教育?としてはどうなんだろうと。。。(倫理学のトロッコ問題※1のような?あるいは「目的が正当な殺人(もとい殺虫)はあり得るのか?」みたいな?)

 で、名和昆虫博物館にお邪魔した時、その手のことをポソリ、とつぶやいてしまいました。虫の研究を生業としている方に。今思い出しても失礼なことをしてしまったと冷や汗ものなのですが、、、。大事なことだからと、わざわざ時間を取ってじっくりお話ししてくださいました。以下、博物館の方のお話です。

 『博物館の立場としては、お子さんには虫にたくさん触らせてあげてくださいと言いたいです。興味や好奇心の赴くままに虫を触っていると死なせてしまうこともあるでしょう。でも、その積み重ねこそが、身体の深いところで<殺したらかわいそうだな>と感じることにつながってきます。それが倫理観の形成にもつながると信じています。』

『小さいお子さんって、大人からみると残酷なことを平気ですることありますよね?虫の羽や足をちぎったり、カエルのお腹を割いてみたり。・・・あれは、いじめてやろう、痛めつけてやろうと思ってやっているんじゃないんです。純粋に仕組みはなんだろう、どうやって動くのだろう、と中を覗いてみたいだけなんですよ。そういう時のお子さんの目の輝きを大事にしてあげて欲しいです。そうやって自然に親しんだ人の方が長じて自然に共感できるし、他者への思いやりも芽生えると思います。その中から大きな視点で人や自然のことを考えて行動する人が出てくれると嬉しいと私たちは考えています。』

『なお、虫は人間の子供が多少採ったところでそうたやすく根絶やしにはなりません。弱い個体が淘汰されて、広い意味では種にとっての益になるとも考えられます。むしろ人間の大人による環境破壊の方が虫にとっては打撃となると思います。』

『話は少し変わりますが、種の保存について付け加えると、、、私たちは研究や展示のために虫を飼育することがありますが、その個体は自然界には決して戻しません。飼育個体はいくら飼育環境を自然に近づけても結局は過保護に育てられているので、いろんな意味で自然の個体より軟弱なのです。その軟弱な個体が運良く繁殖してしまったらその種全体としては逆に不利益につながります。だからウチではたとえ博物館の敷地内で採取した卵からの飼育個体であっても(=国内外来種に該当しなくても)、再度自然界には放しません。』

 

 他にも精神病理学的なお話や道徳に関するお話、環境問題にまで内容は多岐に渡りましたが、要旨は大体このようだったと記憶しております。迷えるくらげびとにとって大きな道標となりました。ご助言ありがとうございます。博物館のご了承を得て今回の記事にしました。くらげびとと似たような迷いを持たれた方のご参考になれば幸いです。

 

 ↑飼っていたカマキリが死んでしまったので息子その1が標本作りを始めたところ。

※1 分岐の先、右のレールに5人の作業員、左のレールに1人の作業員が作業中、ブレーキの壊れたトロッコが走ってくる。そのまま行くと右の5人が確実に死亡、分岐レバーを切り替えると左の1人が確実に死亡する。レバーの切り替えの有無以外に選択肢のない場合、あなたはどうする?という問いかけ。

 

 

参考:名和昆虫博物館

 

 

 

 

 

 

 

 


昆虫標本の作り方〜2017.08.20名和昆虫博物館〜

2017年10月12日 | 生物

 息子その2その3のために岐阜県の名和昆虫博物館へ行きました。最近息子その1の恐竜イベントのために留守番続きでしたので。。。今回の目的はズバリ昆虫標本の作り方を聞くことです。くらげびとにその手の知識が全くないため息子その2が一人で作った作成中の標本を元にご指導いただきました。

  まずは死んだ虫を湯につけて軟化、展足展翅台代わりの発泡スチロールに昆虫針で固定したら仮止め針で足や羽を固定。この手順自体はOKだそうです。あとは防虫剤を置いて乾燥させ(今ココ)、仮止め針を抜いてラベリングするのですが。。。

 

『昆虫針を打つ位置が違います。前翅の硬いカブトムシなどは中心から左右どちらかにずらしますが、他の昆虫は原則胸の中心に刺します。』

「はい。」

 

『トンボの横向き標本は頭部を回して頭頂部と両眼が見えるように整えると学術標本と同じ仕様になります。』

「がく・・じゅ・・・?」

『研究者が作る標本と形が同じということです。』

「!」

『ところで、トンボのお腹の糞は出してありますか(絶食死させてますか)?』

「大きいの5個くらいポロポロしてました!」

『では、トンボのお腹に何か芯は入れてありますか?』

「エノコログサの茎を。。。」

『ああ、いいですね。芯が入ってないとトンボのお腹はすぐバラバラに壊れちゃいますから。。。』

「でもエノコログサの茎は胸の昆虫針で止めてない(=トンボの腹部に突っ込んでいるだけ)です。」

『そこまでしなくてもいいと思いますよ。むしろ何回も昆虫針を刺し直して標本を穴ポコにしない方がいいです。』

「あ、ほんとだ。」

などなど、質問者(息子その2、未就学児)のレベルに合わせて丁寧に教えてくださいました。お忙しい中ありがとうございます。教えていただいたことを念頭に置いて、また息子たちは標本作成に励むことでしょう、、、。 

 

参考:名和昆虫博物館