日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

承和の変は藤原氏による他氏排斥ではない?

2013-08-10 11:17:14 | 平安時代
暑中見舞い・・・ではなく、すでに立秋は過ぎて、残暑、となってしまいましたが、謹んで、残暑お見舞い申し上げます。しかし、東京は暑いですねえ。
こちらへのアップも滞っていて、申し訳ありません。

今週は、現在の勤務校の定時制高校で、世界史の補習をしていました。前の学校のように受験対応ではなくて、成績不振者のための補習です。何人来ることか・・・と案じていましたが、ちゃんと来ました!(来なかった生徒もいますが)しかも、毎日人が増えているという・・・
この夏休みのど真ん中、忘れずにちゃんと、予定通り来て、熱心に勉強している生徒達の姿を見て、感動しました!
どんな学校でも、自分の気持ち次第で、未来を明るく自分の手で変えていけると思います。教員は、そういうがんばりを後ろから後押しさせてもらいます。

さて、学校の先生達は、政府の政策として、教員免許の更新講習というのを、10年に1度は受けなければならないことになっています。政権交代などもあって、いつその制度がなくなるか、と期待していましたが?私の順番の年が来てしまいました。そのために、先週は、大学で5日間、朝から夕方までみっちり講習を受けて来ました。公立や私立、中学校や高校、地方の先生など、いろんな先生が一堂に会して、討論もしたりして、勉強にはなりました。
今どきのキャンパスも探検できました。立派な施設でした。大学生の皆さんは、それぞれの大学に高い学費を納めているのですから、めいっぱい施設を活用し、勉強にサークル活動に励んでください。

その大学の図書館は、朝9時~夜22時まで開いているそうで、キャンパスツアーで見学させてもらった時も、熱心に勉強している学生がいました。私なぞ、この齢になってから、勉強したくて仕方なくなってきて、ああ図書館に入り浸って本が読みたい、勉強したい、と、学生さんがうらやましくなってしまいました。リアルタイムで学生をやっている時には、勉強できるありがたみがわからないものなのかもしれません。

さて、免許更新講習では、必修と選択講習に分れていて、選択の方ではいろいろな内容が選べるのですが、私は日本史研究の最前線について大学の先生から講義を受けて来ました。
確かに最新の研究成果を踏まえて新しい考え方をいくつか学ぶことができました。
例えば、古代では、
○長屋王の変は、光明子を立后(皇后にする)するという目的のために藤原氏が起こしたのではない
○摂関期のはじまりに、承和の変などが起こり、それを教科書では伴氏や紀氏などの古い豪族を排斥(他氏排斥)するために藤原氏が起こしたというふうに書かれているが、そうではない

ということなど。

一つめの、長屋王の変と光明子立后を結び付ける件は、教科書そのままでは直接的にそう書かれてはいないので、私も教科書に沿って教えていましたが、前の学校にいた時に、ある同僚の先生の試験問題で、長屋王の変は、藤原氏が何のために起こした事件かというのを答えさせる問題があって、光明子を皇后にするため、というのが解答だと聞き、違和感を感じたということを思い出しました。
それではどういうことかという詳しい話は、今日は保留ということにさせていただきます。

二つめの他氏排斥は、確かに、当時の伴氏や紀氏は、あまり有力な貴族ではなく、どちらかというと、藤原氏同士の内部抗争だったようです。高校の授業的には、他氏排斥としておいた方が、まとめやすい、わかりやすい話になるのは確かです。でも、細かく見ていくと、そうではないのです。

どうしても、これまでの日本史は、藤原氏中心史観になってしまいがちで、別の、裏側からの視点というのも必要だと思います。私も、今、そのようにしてさまざまな本を読みあさって、わくわくしながら自主的に学んでいるところです。


今日は、おそまつさまですが、これにて。
写真を何か、と思いましたが、今年の5月に、実家で撮ってきた土星の写真など(笑)
口径12.5cmの反射望遠鏡に、携帯電話のカメラを押しつけて撮りました。不鮮明ですみません。天文は、一応私の趣味です。

土星の輪がわかるでしょうか?
では、引き続きよい夏休みを。