ポスドク夫婦の海外珍道中:ヨーロッパ生活あれこれ日記

4年3ヶ月の週末婚(イギリス&ドイツの2カ国4都市)を経て、現在ブレーメン在住。旅行、子育て、日々の生活など。

指揮者コンクールに行ってみた

2010-11-08 20:18:47 | 音楽
11/4のこと。


ロンドンにあるBarbican Centreで開催された指揮者コンクールの最終選考「Donatella Flick Conducting Competition Final 2010」に行ってみました。有名指揮者の本やコンクールの裏話がかかれた本、そしてテレビドラマ(のだめカンタービレ)を見て、以前からコンクールというものに行ってみたいと思っていたので、ようやくチャンスに巡り会えました。一番安い8ポンドの席をゲット。1階席前から3列目の右側だったので、指揮者の表情や指揮の様子がよくわかるgood positionでした。


まずはコンクールの流れから。
70人の応募者の中から書類&DVD選考で20人がまず選ばれます。11/2に一次予選で10人に絞られ、11/3に2次予選で3人となり、そして 11/4に本選。1次、2次は非公開で音楽学校のオーケストラと競演。最終選考はロンドンの中でもピカイチのLondon Symphony Orchestra (LSO)と競演。優勝者は今後1年間LSOの指揮アシスタントになれます。



課題曲はヨハンシュトラウス作のオペレッタ「こうもり」序曲。大好きな「こうもり」で候補者3人の聴き比べができるのは楽しみ。自由曲は前日の2次予選後に行われた抽選で曲目が決められたそうです。


コンクールということで、全く関係ないのになぜかちょっとだけ緊張。皇室関係者がいらっしゃるということで、イギリス国歌の演奏から始まりました。



せっかくなので、Kapiなりの採点(10点満点)をしてみることにしました。


トップバッターは女性。32才、エストニア出身。黒い燕尾服を来て颯爽と登場。
「こうもり」:8点。なかなか軽快な感じでよいが、多少堅さを感じる。トップバッターだからか、オケの乗りがいまいちな気がする。自由曲はチャイコフスキーの「イタリア奇想曲」。「こうもり」でのやや堅い演奏とは別の雰囲気を期待したが、結局同じテイストだった。元気な感じはいいのだが、もう少し緩急の変化をつけてほしかった。6点。合計14点。指揮をしながら、途中で髪をいじる(邪魔になった前髪をあげたり、横の髪を耳にかけたり)のが気になった。スプレーとかで固めておけばいいのに。。。と思う。


2番目は世界的指揮者Kurt Mazurの息子さん。33才、ドイツ人。登場の仕方から、かなり場慣れしている様子。黒の学ラン風スーツで登場。見た目は真面目でちょっと頑固そう。スコアを見ながらの指揮。
「こうもり」:一言で言うと「堅すぎる」演奏。指揮は(素人目には)わかりやすいが、棒の振り方や体の動きが非常に堅い。長身を前後に揺らす様はまるでロボットのように見え、観ていてちょっと笑ってしまった(失礼!)。軽快に踊る感じの部分でも堅すぎて踊る気にならない。6点。自由曲はKodaly作の「Dances from Galanta」。初めて聴く曲。一曲目の印象がよくなかったので、どんな感じかと思ったが、オケをよくまとめていて、知らない曲でも最後まで楽しめて聴けた。こちらの曲の方が断然良かった。8点。合計14点。



最後は予選で選ばれた20人の中で最年少。27才、ドイツ人。黒い燕尾服にピカピカの黒皮靴。見た目は非常に優しい印象。
「こうもり」:見た目同様、まろやかな指揮。直前の人がかなり堅い指揮だったので、特に違いを感じた。丁寧な演奏をしていると思った。「こうもり」の情景が目に浮かび、踊るシーンの演奏では体が自然と動いてしまいそうになるくらい。とても良かった。8.5点。自由曲はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」。聴いたことはあるが、いつも最後の有名なフレーズの所しか印象に残らないというKapiにとってはなじみのうすい曲目。まろやか&しなやかな指揮は変わらず、最後まで飽きずに聴く事ができた。この人の指揮でいろいろなタイプの曲を聴いてみたいと思った。好印象。8.5点。合計17点。



Kapiの独断と偏見による採点では迷う事無く3人目の人。



審査結果を待つ間、会場では予選の様子や出場者のインタビューのDVDが流れた。そして、いよいよ発表。座席が空いていたので、前から2列目の中央の席に移動。出場者を目の前で見られました。



優勝は3人目のClemens Shuldtさん。Kapiの採点と同じ結果で嬉しかったです。本人は非常に驚いていたようでした。トップバッターの女性はちょっと悔しそう。2番目のMazurさんは笑顔で優勝を讃えていました。


同じ曲の聴き比べを生演奏でできる機会なんて、なかなかないですし、3者3様で面白かったです。最終選考に選ばれた3人はすでに一流オーケストラで指揮をしている人ばかりなので、レベルも高く、楽しんで聴き比べをすることができました。ヨーロッパに住んでいると、日本よりはコンクールに接する機会が多いと思うので、是非今後も積極的に出かけて行きたいと思います。



ちなみに、優勝者のShuldtさん、見た目も雰囲気も演奏も「のだめカンタービレ(ヨーロッパ編)」に出て来たジャン(千秋が出場した指揮者コンクールでライバルとなった人)に似ています。




コメント (3)
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